秋子がアメリカに到着した翌日。
いつものようにと言うか、長年の癖は時差などは関係なく体内時計はしっかりと機能していた。
むっくりと身体を起こし、寝台の上に置かれているデジタル時計には4:30と刻まれている。
秋子は長年刻まれている自分の癖を苦笑いしてから、寝ぼけ眼でベッドから降りる。
いつもだったら、着替えてから厩舎に行き馬の健康チェックなどをこなす時間だが本日はその事から開放されている。
なので、早起きをする必要は無く、本来ならゆっくりと起きるべきだったが2度寝はする気がしないようだ。
「はぁ……久しぶりにゆっくり眠れると思ったんですが……」
んー、と欠伸を洩らしながら背伸びをして、この時間に起きてもする事は無いので、秋子はいつもなら出来ない事をする。
ポンと掌を叩いて、添え付けのバスタオルを所持してシャワーを浴びに向かう。
Tシャツをベッドの上に脱ぎ捨て、惜しみなく裸体をさらけ出す。
Tシャツが当たり、プルンと揺れる胸。
肌の張りは10代と言っても良いくらい瑞々しく、娘が居るとは思えないほど余分な脂肪は付いておらずバランスが良い肢体。
ふっくらと盛り上がる豊満な胸にほっそりと引き締まったウエスト、桃の様に柔らかそうなヒップ。
サラブレットの調教で常に脂肪を燃焼させているお陰なのか、秋子の肢体は他の女性から見たら羨望を集めるだろう。
いつもしている既に三つ編みは解かれており、ハラリと揺れて肩、胸そして背中に密着している。
「朝風呂と言うか、朝シャワーとか初めてですし……気持ち良いのでしょうか?」
ふふっ、と秋子は微笑みながら、自身の年齢より可愛い水色の下着に手を掛けて脱ぎ下ろす。
そして、おもむろにバスタオルで裸体を包み込んでシャワーを浴びに向かって行った。
暫くして秋子はしっとり、と髪を濡らしたまま添え付けのバスローブに着替えて部屋に戻ってきた。
さっぱりしたのか、寝ぼけ眼だった眼は既にキッチリと開かれておりバスタオルで優しく髪を包んで拭いている。
「さっぱりしましたけど、まだ5時半ですか……」
いつもの癖がこういう風に影響するのは困るので、秋子は苦笑いを洩らしながらソファーに座る。
カーテンを少しだけ開けて、空を眺めると漆黒の空が徐々に色合いを変え始め、うっすらと陽光が照らしていた。
「こっちでも、日の入りは変わりませんね」
茜色に染まった空をソファーに座りながら、優雅に見ながらポツリと呟いた。
これでお酒を飲みながらだったら、と秋子は独り言を呟いてそのシーンを想像してみたのか、ブンブンと首を左右に振る。
どうやら、自分には似合わないと判断したのか口端を歪めて、苦笑いを洩らしてしまう。
そうしているうちに、空はオレンジ色からゆっくりと青色に染まっていき、完全に青空に切り替わったのは数分後。
「今日も良い天気みたいですね」
うーん、と小さく背伸びをしてから窓を開けて、白いペンキで塗られたテラスの柵に寄りかかり朝日を堪能する。
未だに三つ編みにしていない細絹のような髪がユラユラと風の悪戯で乱れていた。
短い時間だったのか長い時間だったのか曖昧になる程、秋子はその場所から動かず、ジッと佇んでいた。
「……クシュンっ」
可愛らしくクシャミをしてから、秋子は自身の服装が白いバスローブのままだった事を思い出し部屋に戻って行った。
秋子はラフな格好――白のタンクトップに赤いTシャツを羽織り、ジーンズの組み合わせに着替えると、朝食の為に1階に下りていく。
狐色に焼けたトーストを秋子は齧りながら、今日の予定を頭の中で組み立てていく。
食べ終わって周辺を見渡すと、日本人の姿はいないので秋子はやっぱりアメリカに来たことを実感する。
「さて……あと少ししたら出発ですね」
秋子は席から立って、ゆっくりと部屋に戻る。
部屋に戻り、ボストンバッグから様々な物をハンドバッグに詰めて変えて準備完了。
キチンと部屋に鍵を掛けて、秋子は昨日乗って来たレンタカーに乗り出発した。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。