――さて、春のＧ�気鮨兇衒屬辰討澆襦�
牡馬クラシック路線は皐月賞と日本ダービーの２冠だが、両レースで１番人気になったマティリアルは勝てなかった。
それぞれ３着、１８着と距離が伸びるほど着順は下がっていき、スプリングＳの切れ味を再現出来なかった。
筆者はマイルぐらいの距離であの切れ味を発揮すると思うのだが、その点は走ってみないと分からないが。
結果の方は皐月賞をサクラスターオーが勝利したのだが、この後骨折が判明して長期離脱してしまった。
代わりに日本ダービーを制したのがメリーナイス――朝日杯フューチュリティＳの覇者だった。
皐月賞はまったく人気が無かったのだが、ダービーは競馬の祭典なので流石に調教を厳しくして調子を取り戻し４番人気になった。
このダービーでの着差――６馬身は歴代３位になり、近年の競馬でも滅多に見られない圧勝劇。
因みに最大着差は日本競馬初の３冠馬セントライトが叩き出した８馬身差である。
次は牝馬クラシックに視線を移してみる。
こちらは牡馬と違い、圧倒的な２冠馬が出現したので２年連続牝馬３冠馬誕生が見られるかもしれない。
その馬の名は――マックスビューティ。
桜花賞８馬身、オークス２.１/２と差は縮まっているがオークス前にフローラＳを使用したのが原因だろう。
続いては古馬戦線だが、骨折明けからいまいちな成績を残していたミホシンザンが年明け２連勝から天皇賞・春制覇。
その後は放牧に出されており、宝塚記念には出走しておらず代わりに勝ったのがルドルフ世代のスズパレードが制覇。
短距離路線の安田記念はフレッシュボイスがＮＨＫマイルカップ次いでのＧ�毅仮〔椶鮠紊欧拭�
高松宮記念はＧ�鞠呂僚仭�は無く、ダイナアクトレスが実力に相応しい走りを見せ付けた。
最後にダート路線だがカウンテスアップが引退した事で、ダービーグランプリを制覇したトミアルコが勝利。
混迷とは言わないが、古馬戦はマイルと短距離以外は王者がいない状態なのでどの馬が抜け出すかが楽しみである。
秋名は晴天の下でぺラぺラと競馬雑誌のページを捲って、草競馬が始まるまでの時間潰しに使用された。
ここはある牧場の敷地を使用した草競馬の特設会場。
とは言え、１週１５００ｍある調教コースを利用しているので、なかなかの規模。
サラブレットを使用してのレースではなくポニーなので、それほど早く走らないが盛り上がっている。
むしろ、大人達は競馬関係者らしく金銭が絡まない予想を行っており、競馬場とまったく代わりが無い。
違うところと言えば、コース脇に幟が数枚立っているくらい。
既に予選は終わり、残りは決勝戦を行うだけの状態だが、その場所には祐一は立てなかった。
上位２頭までしか決勝に進めず、祐一は惜しくも３着に敗れてしまい道は開けなかった。
代わりに名雪が奮闘して決勝に進出したのだが、祐一は素直に応援をする気になれずにそっぽ向いている。
「祐一くん、名雪の応援お願いね」
「……秋子さんが言うなら応援するよ」
秋子に言われて、ようやく祐一は名雪を応援する気になったようだ。
アナウンサーの声が音割れしたスピーカーに乗って、小学生女子部が本馬場入場しますと伝える。
名雪は８枠８番――つまり大外に近い枠。
殆どの人物は名雪より年上であり、乗馬経験では既に負けているだろう。
名雪はチラリと、隣の枠――９枠の馬に乗る少女の顔を見る。
黒く艶がある肩よりやや下まで伸びた髪がポニーテール状で結ばれており、紫のリボンが髪と一緒に揺れていた。
その少女の眼は、ジッと真正面を見据えていた。
５着。
名雪の着順は１０頭中５着なので、まずまずだろう。
少なくとも秋子の了承を得て乗れるようになってから、１年ちょっとでこれなら良い方だと言い切れる。
だが、名雪は柵に寄り掛かって表彰台に乗っている無表情の女性を見据えている。
「優勝は川澄 舞ちゃんでした」
アナウンサーの声に従って周辺から拍手が巻き起こり、名前を呼ばれた本人は無表情のまま手を上げて振っていた。
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この話で出た簡潔競馬用語
注１：セントライト……日本初の３冠馬であり、２戦目に皐月賞を勝利しつた。
注２：スズパレード……ルドルフ世代の１頭だが、重賞勝ちはＧ�靴�多く
Ｇ�気亙�塚記念のみ。