本馬場入場となり上位人気の馬は入れ込むような素振りを見せず、悠々とターフの上をキャンターで駆けていく姿が見受けられる。

     アナウンサーに紹介されながら本馬場を駆けていくのはG�気覆蕕任呂瞭�場で、紹介される度に観客席が必然的に盛り上がっていく。

     だが、まだ実績が伴っていない馬にとっては未知の状況なので、繊細な牝馬には過酷なレースとなりえる。

     既にG�欺仭�した事がある馬には慣例行事なもので、精神的に落ち着いて優雅に駆けていく。

 

    「ルビーレイもタツマキマキマスカも落ち着いているようで何よりですね」
    「今の所は順調だしな。後は輪乗りしている最中に入れ込まない事を祈るのみだな」
    「ゲートもスムーズに入ってくれれば良いんだけどね。ファンファーレで入れ込まないと良いけど」

 

     牝馬という存在は些細な事で状態は変化してしまうので気難しさも含めて、どう転がるかは分からないのだから。

     そして、秋華賞に出走する精鋭の18頭が本馬場入場を済ますと、ターフビジョンには東京競馬場で開催される府中牝馬Sの映像が映りだす。

 

 

     その府中牝馬Sの結果は京王杯オータムハンデでダンシングウイナーに敗れて2着になっていたクロカミが初重賞制覇。

     こちらはG�靴覆里能�華賞に比べると盛り上がりは欠けるが、クロカミの強さは観客に十分伝わった事だろう。

     そして、府中牝馬Sが終わると同時に東京競馬場で観戦している観客は既に秋華賞の方に向けられる。

     終わった祭りの様に勝者の事は忘れられて、最大のイベントが注目されるのは必然なのだから。

     秋華賞に出走する各馬はゲート前まで移動をしており、後数分もすれば牝馬クラシック最終戦が発走となるだろう。

     そして、スターターが赤旗を振るうと、それに合わせて京都競馬場特有のファンファーレが演奏される。

     観戦している観客も丸めた競馬新聞を片手に手拍子を繰り出して、競馬場に一体感が現れる。

     3枠5番シーキングザパール、4枠7番ルビーレイ、7枠15番タツマキマキマスカ、8枠17番キョウエイマーチが奇数順にゲートの中に収まっていく。

     メジロドーベルのみが5枠10番と偶数枠からのスタート。

     そして、最後に8枠18番の馬が入るとゲートは開き、第13回秋華賞のスタートが今切られた。

     戦前の予想通り、キョウエイマーチが鼻を切って桜花賞を再現するような走りで2番手以降に差を付けていく。

     単独で逃げるのが成功すると、キョウエイマーチの騎手はジワリと差を広げて、余裕のある走りで導かせる。

     4番手付近にはルビーレイが虎視眈々とキョウエイマーチを狙っており、馬場の中心からのスタートだったため、内ラチへと寄せていく。

     メジロドーベル、シーキングザパールは中団辺りから切れ味を発揮する為にいつも通り、牙を磨いている最中だろう。

     そして、メジロドーベルとシーキングザパールよりも遥かに後ろの位置――後方3番手からタツマキマキマスカが駆けている。

     それぞれの位置取りは自分自身の武器を最大限に生かすためで、どの馬も自信があるから最後の最後まで使わないだろう。

 

    「後ろから行くのか。平均ペースで刻んでいる様だし、仕掛け所を誤ると厳しいな」
    「1000mのタイムが1:01.04ですからね。このままではキョウエイマーチにとっては楽なペースです」
    「とはいえ、基本的にマイラーだからどこかで入れるだろうし、そのタイミングで仕掛けないと脚を余す事になりそうだよ」

 

     一度、息を入れるという事は短い時間だけだが、タイムが遅くなるのでこれ以上、後方に居ると厳しいのが事実。

     残り800m。

     この辺りからメジロドーベルを筆頭にシーキングザパールもワンテンポ遅れつつ上がっていく。

     タツマキマキマスカは12番手付近まで上昇し、後は何処から前を捉えるかで結果はガラリと変わるだろう。

     ルビーレイは相変わらず4番手でキョウエイマーチの仕掛け所を観察する様にまだ動く素振りを見せない。

     ここらで射程圏内となった上位人気の5頭がキョウエイマーチをいつでも捉えられる位置まで上がってきた。

     この5頭の走りには観客席から絶叫が響き渡り、勝敗に関係なく盛り上がっている。

     残り300m。

     ここでルビーレイがキョウエイマーチを真っ先に捉えて先頭に立とうとするが、キョウエイマーチがまだ先頭は譲れないといわんばかりに粘る。

     その後ろからはメジロドーベルとシーキングザパールがお互いに競り合いながら、キョウエイマーチを捉えようと脚を伸ばしている。

     タツマキマキマスカは内ラチギリギリの位置から最短距離で、前を追い詰めようとしている。

     残り200m。

     5頭を除いた他馬は一切、相手にならなかったようで騎手が必死に鞭を振るって手綱を押しているが追いつけそうも無かった。

     ここでキョウエイマーチが限界になったのか、ルビーレイに交わされて2番手に後退してしまう。

     一瞬だけルビーレイが先頭に立ったが、外からシーキングザパールを競り落としたメジロドーベルが牙を剥きルビーレイを襲う。

     そして、一度先頭に立っただけでルビーレイは抵抗出来ずにメジロドーベルがあっさりと先頭を奪う。

     結果はメジロドーベルがオークスと秋華賞の2冠を得て、キョウエイマーチとの決着に終止符を打った。

     ルビーレイはまたにしてもG�毅加紊函⊆体呂�ありながら手が届かない結果でタツマキマキマスカは4着と過酷なローテーションの割に十分な結果だった。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特になし。