スプリンターズＳの結果はダンシングウイナーの勝ちパターンだったにも関わらず、タイキシャトルが全てを上回った。
ダンシングウイナーの騎手が好騎乗――タイキシャトルを絶対に内側へ入れない意志で進めていたのだから。
それなのに、タイキシャトルはしっかりと外から脚を伸ばして、ダンシングウイナーを交わしてしまったので、お手上げといえる結果。
まさに絶対王者と呼べる走りを見せた３歳馬は次走のマイルチャンピオンシップでもその走りを期待されている事だろう。
古馬を蹴散らして、長年不在だった短距離路線に新たな王者が誕生したのだから。
「勝てると思ったんだがな。最後の最後で余裕があったダンシングウイナーが交わされたのだから、相手が強すぎるな」
「大外を回し続けてあの脚ですからね。暫くの短距離Ｇ�気倭瓦謄織ぅ�シャトルに持っていかれそうです」
秋子と秋名はタイキシャトルを賞賛しているが、ダンシングウイナーも２度目のＧ�議�戦で２着だったのだから見所はあった。
だが、そんなダンシングウイナーの走りもタイキシャトルと比べてしまえば見劣りしてしまうのだから。
「まぁ、このまま引き下がる訳にもいかないし、まだ勝利するチャンスはゼロではないしね」
名雪が言う通り、ダンシングウイナーも脚はしっかりと伸ばしていたので、Ｇ�祇�覇を悲観するほどではなく、隙さえあれば栄冠は可能だろう。
次走のマイルチャンピオンシップでリベンジするチャンスもあり、３人は諦めた様子を微塵も見せなかった。
秋Ｇ�祇鐇�の１つ――スプリンターズＳは終わったが、まだまだ控えているＧ�気和燭�、これから順調に盛り上がっていくだろう。
そんな訳で今週の競馬は天皇賞・秋のステップレースである毎日王冠と京都大賞典が開催される。
共にＧ�鞠呂�出走しているので非常に盛り上がっているのだが、Kanonファームの生産馬は１頭も駒を進めていない。
その代わりにレッドミラージュとピクシーダンスが条件戦に出走する事になっている。
それぞれ出走するレースは河口湖特別ダート１３００ｍ、５００万下京都芝１４００ｍ。
ピクシーダンスは特別戦ではなく、一般レースの５００万下なので本来の実力さえ発揮すれば勝てるレースだろう。
河口湖特別に出走するレッドミラージュは得意の短距離戦で１３００ｍと非常に適している。
「レッドミラージュは連勝出来そうだね」
「短距離だしな。ピクシーダンスはそろそろ勝利してもらいたいがな」
３月のきんせんか賞以来勝利していないので、３勝目を挙げてほしいのが偽りの無い本心だろう。
ただ、逃げ馬という事もあって目標にされやすいので勝利に結びつかない状況である。
「逃げ馬ですから、大成しにくいのかもしれませんね」
「ペースの把握が上手くないと惨敗もありえるからね。騎手の乗り代わり考えた方が良くない？」
名雪はそう進言するが、秋子はあまり乗り代わりを好まないので頭を縦には振らなかった。
そうしている内に東京で毎日王冠の前哨として河口湖特別が発走時間に近づいていた。
レッドミラージュは前走を勝利した割には人気が低く、３番人気に支持されている状況。
前走のフロックが人気を影に落としている可能性が高く、評価はくっきりと分かれているのだろう。
レースが発走すると、レッドミラージュは大外からのスタートの為か、砂を被らないでスムーズにレースを進めていく。
１３００ｍ戦なので、前のペースは非常に早く中団付近から駆けているレッドミラージュには良いペース。
ただ、後ろにも良いペースなので仕掛け所を間違えると敗北に繋がりかねない。
３コーナーを過ぎた辺りから、後方に位置していた馬が徐々に進出してその馬に合わせるように慌ただしくなってきた。
レッドミラージュはまだ騎手が仕掛けていないので、他馬に釣られて付いて行こうとせず置いていかれてしまう。
直線に入り、レッドミラージュはバラけた集団を掻き分けながら１頭１頭を交わしていく。
しかし、仕掛けが僅かに遅かったのが災いして、１着馬に頭差で負けてしまった。
ピクシーダンスの方は他馬が警戒していなかったようで、すいすいと単独で逃げられたのが運良かったのか、道中は入れ込む事無く走っていた。
そして、直線に入ってもその勢いは衰えず、２着馬に２馬身の差を付けて久しぶりの勝利を飾る。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。