ジャッジアローは見事に慣れない新馬戦を初出走で勝利し、2歳ダート路線では暫定的にだが、トップクラスを示しただろう。

     今後の予定は北海道2歳優駿か或いは兵庫ジュニアグランプリを目指す事になるが、重賞で勝負になる実力かはまだ不明瞭。

     砂まみれになりながらも、最後の最後でキッチリと差し切った所には地力の高さを示しており、絶賛とはいわないが関係者から既に評価されている。

     2歳馬らしからぬ落ち着きも評価されたようで、関係者の中ではまた強いダート馬が輩出されたと話の話題になる事もあるようだ。

     とはいえ、まだまだ1戦1勝の2歳馬なのだから、過大評価をされすぎても次走次第で評価はガラリと変わってしまうのだから。

 

    「ここで勝ったのは運が良かったですね」
    「まぁ、1番人気の馬が入れ込んだ挙句に惨敗したので、こちらに運が傾いただけだからな。運が良かったのは確かだろう」

 

     2人の評価も次走次第と、今の評価は過信し過ぎない様に細心の注意を払う。

     それだけ強い競馬をしたのだから、じっくりと成長するのを待つのが後に繋がるのだから。

 

    「それにしても、指宿特別に出走したレッドミラージュは全然走りませんでしたね。距離の壁にぶち当たったと思いますが」
    「やはり、距離だろうな。私は兄弟揃って勝利するかと思ったんだがな。そう簡単には達成しないか」

 

     兄弟揃っての同日勝利は難しく、なかなか達成しにくいのが特徴でKanonファームの生産馬では1組も居ない。

     因みにレッドミラージュが出走した指宿特別は小倉ダート1700mと、非根幹距離のレース。

     距離が長いのか、これで1800m戦と1700m戦で敗れてしまい、短距離戦に戻るだろう。

 

    「本質的に1600mまでが限界なんでしょうね」
    「そうだな。それ以上距離が伸びると止まる節があるからな。実質的に1400m〜1600mぐらいだろう」
    「そうなると、ジャッジアローはどれくらいまで大丈夫だと思います? わたしの目論見では1800mぐらいだと思いますが」
    「私も秋子と同じくらいだな。まぁ、敢えて言うなら2000mくらいまで持って欲しいがな」

 

     2人はジャッジアローの距離適正を予想するも、この予想が合っているとは限らない。

     あくまでも、想像に過ぎないので距離適正はレッドミラージュよりも劣っている可能もあるのだから。

 

 

     さて、今週は秋の最大目標である秋華賞を目指す為に、オープンから降格したタツマキマキマスカが1000万下から始動する。

     選択されたのは函館で開催される牝馬限定戦の1000万下特別で、距離は1800m。

     2000m台のレースが多かったので、1800mは初の距離となるが、スピードも無ければ秋華賞で戦うのは厳しいので選ばれた。

     古馬牝馬との牝馬限定戦なので、このレースが5戦目となるタツマキマキマスカと古馬の経験の差は歴然としたもの。

     ここで勝利出来れば、間違いなく経験となり秋華賞へと進めた際に武器としてなり得るのだから。

 

    「ここはやはりというべきか1番人気ですね……秋華賞へ進むためにはあっさりと勝利してもらいたいですね」
    「1800mが気になるが実績面では1番だしな。オークス出走して4着になったから問題は無いだろう」

 

     どの競馬新聞もタツマキマキマスカの印は厚く打っており、◎が5つと本命に支持されている。

     間違いなくオークスで4着になった実績と体調は仕上がっている事が評価されての人気なので、ここは負けられない所。

     それだけG�気暴仭�し、大きな差が無く掲示板に載ったのだから観客もここは確勝と期待しているのが分かる。

     パドックではトモがゴツゴツとやや硬い動きを見せていたが、他馬よりも圧倒的に馬体の良さが際立っていた。

     そして、レースが発走するとタツマキマキマスカはポンとゲートを出て、逃げの体勢に入ると思われたが、外から来た馬に譲る。

     譲るといっても大きく下げるわけではなく、4番手辺りからレースを進める格好。

     初めての1800m戦なので、ついて行けるかが不安だったが走りを見る限りあっさりとこなしているようだ。

     そして、3コーナーと4コーナー付近に入ると、外に持ち出してから徐々に進出し、前を射程圏内に取らえる。

     騎手は鞭を1発も入れないで、手綱を握ったままだがタツマキマキマスカはしっかりと脚を伸ばしてゴール板に向かって駆けていく。

     結果は2着馬に3馬身の差を付けて、古馬が相手にならないまま圧勝して無事に1000万下を卒業した。

 

 

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     特になし。