夏競馬が始まり、各陣営は所属馬を放牧に出して英気を養う為に、或いは厩舎に置いたまま夏を過ごさせる所も。
Kanonファームの生産馬は大半が今年の出走数が少なく、疲労が溜まっている事が少ないと配慮にして厩舎に預けたままと決定している。
普段のKanonファームとは違い、夏の間は厩舎で過ごさせるのは異例に近く、大半の馬が暑い夏を過ごす事になるのだから。
本来なら休養に充てる事が多いが、北海道から残暑が激しい東西トレーニングセンターに戻すと夏バテになる可能性も。
今年は上半期の出走数も少ない事も踏まえて、厩舎で過ごす事が決定した訳である。
「うちとしては珍しい方針だけど、偶にはこんな方針もありかな?」
「ありといえばありだろう。帰ってきた馬が1頭も居ないから普段よりガランとしているな」
唯一、帰ってきたのは秋に秋華賞を目指すルビーレイのみだが、放牧先はKanonファームではなく、育成牧場となっているが。
それだけ、宮藤が秋華賞に賭ける思いは強い様で初のG�祇�覇を狙っているのがヒシヒシと感じ取れる。
秋子が所有している3歳馬3頭はまだOPクラスでは無いので、少々無理をしてもらわなければならない。
そのため、夏の間はそれぞれ2勝を目標にして、秋にはキッチリとOPクラスに昇格してもらうのが目標である。
「やれやれ、今年の下半期は少し厳しいかもな」
「せめて、タツマキマキマスカのみでもOPクラスに昇格して欲しいけど、あっさりと行くとは思わないし」
秋名と名雪はそんな会話をしながら、短い北海道の夏を堪能するように牧場作業を行っている。
因みに北川はすっかりと牧場作業の虜になったのか、牧場内では馴染んだ存在に。
「すっかりと少年はうちの従業員だな」
「……まぁ、人手が足りない時期だし、働いてくれるのはありがたいよ」
名雪は少しだけ、感謝しているのか本心を口に出しつつ、牧場作業を行う。
しかし、秋名はなるほどと含み顔になり、それ以上この事を口にしなかった。
名雪は秋名の視線に気付いた様だが、特に指摘する事も無く、淡々と牧場作業を進めていく。
今週の競馬からは上半期のG�気�全て終わった事で夏のローカル競馬に移行して、秋に備えてOPクラスへ昇格を望む各陣営の出走が多くなる。
Kanonファームの出走馬はホワイトファントムが函館開催500万下特別の八甲田山特別に。
ピクシーダンスが阪神競馬場で開催される芝1400m戦の文月特別――1000万下特別に出走。
最後に福島競馬場で開催される伝統重賞――七夕賞にアイシクルランスが駒を進めてきた。
と、今週のKanonファームは3頭の出走となっており、どの馬も展開次第ではチャンスがある。
特にアイシクルランスは2つ目の重賞制覇が達成可能と見られており、どの競馬新聞でも圧倒的1番人気に支持されている。
とはいえ、この七夕賞にはジンクスの1つとして1番人気馬が勝利出来ないと言われているレース。
最後に1番人気が勝利したのは1979年で17年間1番人気の勝利が遠ざかっている。
なので、アイシクルランスには鬼門だが、ここを勝利して秋のG�欺仭�を確実にしたい所。
まずは八甲田山特別に出走するホワイトファントムのレースが発走となり、前走と同じく佐祐理が騎乗している。
このレースは距離2600mと現代競馬では長距離といえるレースで、長距離向きの馬が出走。
ホワイトファントムは前走を勝利したとはいえ、低人気+ノーマーク逃げ切り勝ちだったので、今回も同じ様に人気が無い。
そして、結果の方は今回も同じ様に逃げ切りを収め、今回は距離が長いのが水にあっていたのか4馬身と古馬相手に突き放してみせた。
これで500万下から1000万下に昇格し、菊花賞の穴馬候補と印象付けた結果になった事だろう。
文月特別に出走したピクシーダンスは前走のNHKマイルカップとは違い、非常に落ち着いて力む事無くレースを進めていた。
だが、最後の最後で交わされてしまい、僅差の2着に敗れてしまった。
しかし、実力は見せ付けたので次走以降の走りが期待出来る結果。
最後に七夕賞に出走したアイシクルランスは圧倒的1番人気に答えて、18年振りに1番人気の勝利を飾る。
これで秋に向けて賞金をキッチリと稼いだので、無理に出走をする事無く休養する事が可能に。
「うん、ここを勝利したなら無理に夏を過ごす事は可能ですが、今から戻って来ても微妙な時期なので、そのまま置いておきましょう」
と、秋子の一言により、アイシクルランスは厩舎でそのまま夏を過ごす事が決定した。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。