――今年の競馬は全て終わり、ジョッキー達には短い休日の日々が訪れる。
そして、来年に向けての調教などがすぐに行われようとしていた。
因みに年度代表馬は去年に続いて、シンボリルドルフが栄冠を手に入れて2連覇を果たしている。
因みに各部門は下記の通りに選出された。
年度代表馬:シンボリルドルフ
2歳牡馬:ダイシンフブキ
2歳牝馬:メジロラモーヌ
3歳牡馬:ミホシンザン
3歳牝馬:エルプス
4歳以上牡馬:シンボリルドルフ
4歳以上牝馬:トウカイローマン
内国産馬:ミホシンザン
短距離馬:二ホンピロウイナー
ダート馬:カウンテスアップ
特に目が付くのはダート馬の選出だが、地方交流戦が出来たからこそ地方馬が選出されたとも言える。
因みに投票2位のアンドレアモンはフェブラリーSのみがG�犠,舛紡个掘▲�ウンテスアップは4つの勝ちがある。
内訳は川崎記念、南部杯マイルチャンピオンシップ、ジャパンブリーダーズカップクラシック、東京大賞典。
これから中央競馬は地方競馬のダート馬を打ち倒しに、強い馬を作らなくてはならないだろう。
この文章は“ある競馬新聞記者の独り言”がお送りしました、と秋名愛読の競馬新聞の片隅に書かれていた。
その頃、新たなニュースが東西のトレセンにあっという間に広まる。
シンボリルドルフは今年も現役を続行と、主に競馬関係者には十分なニュースである。
そして、凱旋門賞を狙うために来年のローテーションが発表される。
1戦目はサンルイレイS――3月に行われるアメリカG�機�
年明け初戦はアメリカから狙うという、アメリカのレースが嫌いなオーナーとしては珍しい決断。
アメリカのレースはスタート直後からガツガツと競り合い、生き残りを賭けるサバイバルレース。
それに比べると欧州は道中ピッタリと一団に固まって、直線からGOサインの追い比べ。
なので、このアメリカ遠征の意図は精神面を鍛えるためと思われた。
「アメリカの競馬ってどんななんだ?」
秋名は競馬新聞から視線を秋子にゆっくりと移して、質問を投げかける。
あまり詳しく知っている訳ではありませんが、と前置き言いながら説明を始める秋子。
「日本では禁止されているスパイク蹄鉄が使用できて、ラシックスが使えるみたいです」
ラシックスとは利尿剤の事であり、鼻出血防止に効果あると言われているが欧州、日本では禁止されている薬物。
スパイク蹄鉄は一部だけ日本では禁止されており、サッカーシューズみたく底に釘が付いているわけではない。
蹄鉄の先の部分に1mmか2mmの歯止めが付いているだけであり、滑りやすい馬場で有利になる。
「ふむ、そうなるとアメリカに遠征は厳しそうだな」
「ラシックス、スパイク蹄鉄は使わないと思いますが……」
ただでさえ、アメリカのサラブレットには日常的に使用されているので、初めて使用するは厳しいのが普通。
だが、シンボリルドルフのオーナーが決めた事なので、2人には思惑は分からないままだった。
暫くすると、一件の電話が掛かってきた。
電話の相手は倉田 隆道であり、秋子がイギリスに2歳馬を買いに行った以来であった。
秋名は受話器を秋子に手渡してから、その場から退散をしている。
「もしもし、お久しぶりです」
秋子はジェットボーイ――隆道は馬名は知らないでシャーペンアップ産駒の事を聞かれて、1勝しましたと報告。
祝言を言われたので秋子はお礼を言い、気になったことを質問する。
「あの、カンパラ産駒はどうなりました?」
言い難い事ですが、と前置きされたが秋子は聞く気はあるので続けられる。
その馬はトニービンと名づけられてイタリア所属でデビューとなり、2連勝飾ったと言われた。
さらに10月のG�気硲隠鰻遒裡猫兇錬鈎紊砲覆蠅泙靴拭△氾舛┐蕕譴襦�
その瞬間、秋子は脱力しつつ額に手を乗せて天を仰ぎ見てしまった。
「……情報ありがとうございました」
その他の雑談をせずに、隆道もこれだけが伝える事が目的だったのか、気を落とさないでくださいねと最後に言われた。
秋子は、暫くはダメージが大きく放心していたが、数秒か数分経った頃には立ち上がり、相馬眼を磨く事を決心した。
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この話で出た簡潔競馬用語
注1:ダイシンフブキ……朝日フューチュリティーSの勝ち馬であり、父はドン。
注2:メジロラモーヌ……当時は阪神ジュべナイルフィリーズが無かったが、このSSでは勝利している。
注3:南部杯マイルチャンピオンシップ……盛岡ダート1600mで行われるG�気任△襦�
注4:ジャパンブリーダーズカップクラシック……行われる場所は毎年違うが距離は基本的に2000m。
注5:東京大賞典……有馬記念と同じように、地方の年末グランプリで大井ダート2000mのレース。