アイシクルランス、天皇賞・春4着。
3強には力及ばずの結果だったが、内からスルスルと抜け出したときには勝算があると思われたが、それを超える脚で外から抜かれてしまった。
一瞬とはいえ、勝ちに近い状況に持ち込んで観客を沸かせたのだから、結果を度外視しても十分な走り。
3着のマーベラスサンデーから1馬身突き放された4着だったが、5着のステージチャンプには2馬身の差を付けていた。
この結果なら駒不足の4歳馬としてはマシで、ロイヤルタッチは競走中止で天皇賞・春が終わってしまっているのだから。
ひとまず、4歳馬世代として上位の実力を持つ中長距離馬として名を売ったのは成功と言える。
次走以降の結果も大事だが、今はしっかりと休養して天皇賞・春の疲労を回復させるのが先決。
「4着なら人気通りだけど十分な結果ですね」
「そうだな。上位3頭は強かったが、アイシクルランスも実力がある事が分かったからな」
「この後は暫し休ませて、宝塚記念で選出されれば出走かな?」
名雪の案はファン投票で上位に選出されれば出走させる方の提案だが、現状では疲労があるのでどうなるかは分からない。
約1ヶ月近くで疲労が回復するかどうかが鍵であり、宝塚記念の出走可否はギリギリまでもつれ込むだろう。
だが、宝塚記念に出走させて無理をさせるよりは、早めの放牧から秋競馬を目指すプランもあり得る。
基本的に6月最終週に開催される宝塚記念は夏開催のG�気任△蝓�夏負けになってしまう可能性が高い。
そうなると建て直しが厳しく、秋競馬まで尾を引くかもしれないので、慎重に出否を考えなくてはならない。
「でも、宝塚記念に出走する馬はもしかすると天皇賞・春よりメンバーが落ちる可能性が高いんだよね」
「そうね……サクラローレルは凱旋門に出走するから回避決定で、マヤノトップガンも早々と放牧だったかしら?」
「確か、秋に備えて放牧された筈だったな。現在はマーベラスサンデーとバブルガムフェローが出走に名乗り上げていたな」
現在の出走予定馬では秋名が口にした2頭が強敵で、バブルガムフェローは去年の天皇賞・秋を制した実力馬。
とはいえ、まだ復帰すらしておらず、ジャパンカップから5ヶ月も出走していない状況。
金鯱賞から復帰する様だが、これだけ長期間出走していない状況なので今一つ実態が掴めない。
「今のバブルガムフェローはそれほど怖く思えないですね」
「アイシクルランスに比べると今年の出走数が少ないからな。そりゃあ評価もし難いだろう」
秋名が言う通り、現状ではバブルガムフェローの脅威さはさほど感じられないのは出走数が少ないから。
G�鞠呂箸い─△海譴世韻猟拘�休養明けで勝てたとしても評価はプラスにならないのだから。
場所は変わって、ビルが乱立した中にある地方競馬場――川崎ではレースが開催されている。
中央競馬と違い観客動員数は地方競馬の中ではまともな方といえ、過去の様に多くの観客で賑わっている訳ではない。
ポツポツと観客が居るのが分かるくらいで平日というだけであって、盛り上がりが欠けている。
そんな中で新人騎手として本日の3つレースで祐一がデビューする。
どの馬も新人騎手が騎乗すると言う理由で人気はなく、下から数えた方が早いという状況。
「うーん、人気無いなぁ」
「そりゃあ、そうだろう。まぁとにかく人気が無いから気楽に回って来いってのが、テキからの伝言だ」
祐一は厩務員に向かって返事をしてから、本馬場入場で返し馬を行う。
身に着けている勝負服は地方競馬の騎手だけの特典である自分のデザインしたもので、祐一はKanonファームと同じ物をデザイン。
白と紫の縦縞に青の腕輪と競馬ファンなら馴染み深いものだが、現状では祐一にとっては大層な勝負服。
祐一の騎乗している馬の成績は未勝利馬で掲示板に載った事も無い馬で、実力から言えば最下層に位置する。
とはいえ、人気薄だが簡単に引き下がるわけにもいかないのが競馬であり、生産者、馬主、調教師、厩務員の想いがあるのだから。
そして、レース結果は12番人気ながら5着と掲示板に載り、6着の馬と鼻差を凌いで載ったのだから価値はある。
「どうだった? 初騎乗の感覚は?」
「道中は何も出来ませんでしたけど、直線は何とか我武者羅に追い続ける事が出来ましたね」
と、祐一は調教師に自身の感想を述べる。
初騎乗の成績は5着とまずまずの成績だったが、これからが祐一の騎手としてスタートラインになるだろう。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。