フローラＳで３着になったタツマキマキマスカはオークスの出走権利を得て、これでルビーレイと共に駒を進める事になった。
Kanonファーム生産馬としては初の快挙であり、この結果は喜ばしいものになった。
とはいえ、優勝か或いは掲示板に入着しなければ無意味なので、これからが本番といえる。
約１ヶ月と短いようで長いような期間の合間でオークスで戦えるだけの実力を身に着けなければならない。
まだ３戦目のタツマキマキマスカは伸びしろがある可能性が高く、フローラＳでは馬群に囲まれて直線に入ってから突破するのに苦労していた。
そして、最後の最後に追い込んで来て鼻差の接戦を制して３着に食い込んだ訳である。
その時の上がり３ハロンは３４.７秒と牝馬としては十分なタイムを出し、一瞬の切れは牝馬らしからぬものだった。
この切れを毎回出せるように調教すれば、３歳牝馬の中ではトップクラスになれる可能性も秘めているのだから。
「おしかったですけど、３戦目で僅差の３着なら十分な価値ですね」
「無敗じゃなくなったのは残念だが、これでオークスでも期待できそうだしな」
３戦目の馬とは思えない切れ味を発揮したので秋名はがっかりとした素振りを見せずに、むしろ期待感を膨らませた表情。
オークスでは桜花賞組と初対戦になるだろうし、未知の勢力としてタツマキマキマスカは他の陣営から注目されているのは間違いないのだから。
さて、今週の競馬は古馬長距離路線の沽券である天皇賞・春が京都競馬場で開催される。
３２００ｍとＧ�気涼罎任郎把垢竜�離で、ダイヤモンドＳとステイヤーズＳには距離で負けるが、レースの格は絶対的に上。
京都競馬場の坂を２度下るためコースの難しさも合わせて、実力が無ければ乗り切る事が厳しい難コース。
それだけ、過去の優勝馬には日本競馬が誇る名ステイヤーが名を連ねている。
今回、Kanonファームから出走するのは去年の菊花賞で２着の実績を持つアイシクルランス。
最近の結果はＡＪＣＣ１着と日経賞２着となっており、重賞戦線で安定した実績を誇る。
去年の菊花賞上位陣の中では他にロイヤルタッチが出走しているのみで、ダンスインザダークやフサイチコンコルドは引退してしまった。
それだけ、４歳馬世代は全滅に近い状態なので、盛り返しが期待されている。
現在の筆頭株がアイシクルランスなのだから。
さて、天皇賞・春の出走馬はサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーの３強が揃っている。
更に２年前の天皇賞・春でライスシャワーの２着になったステージチャンプ、日経賞でアイシクルランスを破ったローゼンカバリーが。
他にはダイヤモンドＳの勝者ユウセンショウに日経新春杯の勝ち馬である牝馬のメジロランバダ。
と、それなりにメンバーが集まっておりアイシクルランスはその中でも４番人気に支持されている。
さすがに上位３頭に匹敵するほどの人気では無いが、競馬新聞には△▲▲△注と印が集まっている。
本命と対抗を示す◎と○は記載されていないが、無印よりは遥かに信頼しやすいのもまた事実。
短評には嵌ればとポジティブに捉えるか或いはネガティブに捉える事も出来るコメントで、悪くは無いのだろう。
因みに調教師のコメントは、前走は２着だったけど今回は調子が上向いているし、菊花賞も２着だったから不安は無い、と書かれている。
「うん、評価はまずまずだね」
「上位３頭には評価では負けたけど、レースでは分からないわね」
「それでも上位３頭が強いのは事実だから、どこまで追い詰めるかが問題だな」
アイシクルランスが子ども扱いされるほど３頭の実績は優秀で、マヤノトップガンはＧ�毅馨 宗週堂崗沺⇒�馬記念、宝塚記念を制している。
サクラローレルも去年の天皇賞・春を含めてＧ�毅仮，鬚靴芯控�離馬。
マーベラスサンデーはＧ�詰ゾ，鬚靴討い覆い�、去年の天皇賞・秋が初出走で遅れてきた馬と印象も出来るが、Ｇ�兇硲猫靴牢�に５勝している。
そんな相手の中に入ってアイシクルランスは３強に次いで４番人気に推されているのだから、期待されているのは変わりない。
「どれだけ走ってくれるかが楽しみだよ」
Kanonファームの生産馬はミストケープ以来の出走となり、牝馬であるミストケープよりも今回の方が期待出来るのだから。
その時は牝馬なりには走ったが、結果は惨敗といえる８着だったので、菊花賞２着のアイシクルランスの方が期待出来るのは確か。
名雪はレースが楽しみなのを隠さずに、口に出してしまう程。
少なくともその表情は前回のミストケープの８着よりも上になる事を期待しているのが見て取れた。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。