――ルビーレイ、きさらぎ賞制覇。

     この勝利でルビーレイは春のクラシックに向けて牝馬らしからぬ強さを誇示し、クラシック候補として名乗り上げた。

     4戦3勝と出走数は少ないが、牡馬相手に勝利を続けているのは素晴らしい実力を有しているのが伺える。

     この時点では、阪神ジュべナイルフィリーズを制したメジロドーベルが上位に支持されていたが、ルビーレイがきさらぎ賞を勝利した事で勢力図が変化。

     同時に牡馬相手にシンザン記念を制したシーキングザパールも上位陣の実力を有している存在だと判明し、今年の牝馬クラシックは盛り上がる状況に。

     だが、シーキングザパールはNHKマイルカップに出走するプランもある様で、現状ではメジロドーベルとルビーレイが候補に祭り上げられている。

 

    「オーホホホホ。遂に念願の重賞制覇を達成しましたわ。これからがわたくしの時代ですわ」

 

     宮藤は手の甲を口に当てつつ、もう一方の手は腰に当てながら、生粋のお嬢様らしい高笑いを続けている。

     それだけ、重賞制覇という重みは一般戦とは違い、年に1度の開催で歴史があるのだから。

     因みにきさらぎ賞は今年で37回目の開催で過去の名馬にはマーチス、ニホンピロウイナーやタニノムーティエ、キタノカチドキ、インターグシケンらが。

     近年でもハクタイセイやロイヤルタッチがクラシック路線で活躍している事から、出世レースの1つと言えるだろう。

     なので、宮藤が浮かれてしまうだけの理由があり、この勢いでクラシック制覇も達成すると思っている可能性も。

     あっさりと勝てるものではないのだが、今は重賞制覇の余韻でテンションが高くなっているのだから無理もないかもしれない。

     そんな宮藤の様子を秋子は眺めているが、その表情は実に悔しさが混じっており、クラシック出走馬が居ない現状の中で宮藤に出し抜かれたからであろう。

 

    「……あんまり、調子に乗っていると痛い目に遭いますよ?」
    「ええ、分かっていますわ。今日ぐらいはこうもなりますわ」

 

     秋子も重賞制覇を達成した時は宮藤ほどでは無いが、同じ様に浮かれるので強く言えない。

     宮藤は優勝カップを手にとって、しみじみと細部までを確認する様な素振りで眺めている。

     そして、眺め終わるとテーブルの上に置かれていた日本酒を並々と注ぎ、豪快に優勝カップをコップ利用にして一気に飲み干す。

     一息も付かずに飲み干す姿はお嬢様らしさが損なわれており、秋子ですら呆気にとられて情けなく口を開けている。

 

    「……豪快ですね」
    「これくらい普通ですわ」

 

     秋子が辛うじて口に出せたのはそれだけであり、如何に飲みっぷりが凄まじいのを語っている。

     秋子も秋名と共に同じ様な事をするが、一息も付かずに飲み干せる事は不可能なのだから。

     この後、秋子は宮藤に勧められて並々と日本酒を注がれた優勝カップを手渡されるが、流石に真似は出来なかった。

 

 

     ダンシングウイナーの出走予定だった東京新聞杯は、京都金杯の疲労が長引いた事によって回避という理由で出走は不可能に。

     直接、高松宮記念に出走するというプランもあったが、賞金獲得順の出走では現状の本賞金では厳しいとされる。

     抽選待ちと不効率な手段もあるが、どう足掻いても厳しいのは変わりない。

     この時期はマイル重賞が少ないので、狙ったレースは確実に出走させないとローテーションが合わなくなってしまう。

     今回は体調不良だったため、回避と残念な結果になってしまったがこの事は反省して次回に繋げなければならない。

 

    「で、次走はダービー卿チャレンジトロフィーか」
    「中山記念のプランもありましたが、まずはG�靴鮠〕�する事が先に狙った方が良いですから」

 

     その方が安田記念に向けて使い易いローテーションになると言う事実も。

     やれやれと秋名は肩を竦めて、残念そうな表情で競馬新聞を眺め始めた。

 

 

     今週の競馬はホワイトファントムが京都芝2000m未勝利戦に出走する。

     幾分か、結果は上向きになってきたがまだまだ掲示板に載るのは厳しい状況。

     AJCCで重賞を制したアイシクルランスが伯父なので、徐々に結果は出る様になる筈だが、今はその様子が垣間見られない。

     そのため、本日も人気は後ろから数えた方が早く、相変わらず最低人気を維持している。

     12着→8着と成績は良くなっているが観客の目は厳しいのか、勝てる要素が無いと思われているのだろう。

     そして、結果は観客が予想した通り掲示板には載らなかったが、12頭中7着と前走よりも1つ着順を上げたのが、今回の見所だった。

 

 

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     特になし。