菊花賞。
牡馬クラシック3冠目のレースとして、3000mの長馬場で開催される。
春の2冠――皐月賞と日本ダービーはそれぞれ速い馬と運がある馬が勝つと言われ、菊花賞だけは単純で明確に“1番強い馬が勝つ”と。
それだけ長馬場を走り切るスタミナに最後の最後で物を言う瞬発力を秘めていないと、クラシック最終戦は勝ちきれないのだから。
だが、それだけでなく京都競馬場という難所――3コーナーから最終コーナーにかけて下り坂があるのが起因させている。
仕掛け所を間違えると大外へ振られてスタミナを浪費してしまうのだから、経験が少ない馬には厳しいコースに違いない。
春のクラシック馬が夏の上がり馬に敗れる可能性もあるレースで、天高く馬肥える時期――秋が馬の成長を促しているのだろう。
過去の優勝馬には夏の上がり馬として名立たる名馬が多く輩出されており、代表的な馬はメジロマックイーン、ライスシャワーらが。
近年の日本競馬では長距離路線は既に短距離路線に押されている状況だが、それでもクラシックの格として、まだまだ人気があるのは確か。
そんな中でクラシック3冠目――菊花賞が開催されるのだが、皐月賞馬のイシノサンデーが回避した事で、フサイチコンコルドしかG�鞠呂�居ない状況。
朝日杯フューチュリティーSの覇者――バブルガムフェローは3歳馬ながら、古馬を相手に天皇賞・秋へ挑戦する事が判明している。
NHKマイルCを制したツクバシンフォニーは菊花賞には目もくれないで、距離適正からマイルチャンピオンシップに向かう。
即ち、今年の菊花賞は日本ダービーを制したフサイチコンコルドがタケホープ以来の変則2冠を達成するかが、見所の1つだろう。
だが、そう簡単に問屋は下ろさず、春のクラシック2冠で無冠だったダンスインザダークが牙を研ぎ上げて待ち受けている。
皐月賞は流行感染症で回避し、日本ダービーは後少しで勝利すると言う所でフサイチコンコルドの強襲に合って2着。
それだけの惜敗があるので、悲観達成へと只ならぬ気迫が陣営から溢れ出ている。
勿論、他陣営の馬も最後のクラシックを狙うために、迫力がある調教で絶好の仕上がりをアピールしている。
さて、そんな訳で菊花賞当日を迎えたのだが天気は生憎ながら晴天ではなく、雲が太陽を遮ってどんよりとした天気。
天気予報によると降水率は20%程の様で、レース中に雨が降る可能性は低く済むだろう。
晴天の日に比べると本日はG�気砲盍悗錣蕕此�観客動員数が僅かに減少している様で、秋風が身に凍みる冷たさが原因とも言える。
「せっかくのクラシックなのにこの天気は残念だね」
「天候だけはどうしようもないから、レースまでに晴れているのを願うしか無いわ」
秋子と名雪はそんな事をボヤキながら、馬主席のソファーに身を沈めて幾分かリラックスしているようだ。
菊花賞の出走馬一覧にはアイシクルランスの馬名がキチンと刻まれており、無事に出走枠を得たので後はどれだけ走るかが大事。
ここまで来たら、後に頼れるのは如何にアイシクルランスが一寸の狂いも無く全力を出し切るかで、結果が生まれるのだから待つ以外の手段は無い。
既に人気ではダンスインザダーク、フサイチコンコルドやロイヤルタッチの春クラシック組には敵わないのが分かっているので、堂々としているしかない。
因みにアイシクルランスの前日オッズは15.8倍――6番人気と微妙に穴馬と注目されているのが分かる。
実績面では1歩劣るが、神戸新聞杯でイシノサンデーと首差の4着だったのが影響してこの人気と伺える。
「最終的には5番人気ぐらいで落ち着きそうね」
「そうだね。流石に4番人気までにはならないと思うし」
現時点のオッズは14.9倍とまずまずの売れ行きを示しており、9Rの時点でこのオッズとなっている。
ターフビジョンには東京9R――錦秋特別に出走する各馬の様子が映し出されており、その中にはダンシングウイナーの姿も。
飯豊特別は5着に敗れたが今回はキッチリと馬体を整えた為、馬体重は前走比+8kgと増加しているが、馬体の張りは申し分無い状態。
仕上がりの良さをアピールしている為、現在の人気は2番人気となっている。
そして、レース開始時間になって各馬順調にゲートに収まっていく。
ダンシングウイナーは2枠2番からのスタートとなり、馬場が荒れていない状態なので、悪くない位置からのスタート。
最後に8枠14番の馬が入り、ゲートが開く。
出遅れた馬は1頭もおらず、順調なスタートで各馬の位置取りが熾烈に行われている。
ダンシングウイナーは囲まれた状況になってしまっているが、堂々とした走りで怖じついた様子は見受けられない。
現在は8番手付近を走っているが、ペースは早い訳でも遅い訳でも無く、平均したタイムで流れていく。
ダンシングウイナーは囲まれてしまっているが、切れる脚を所持しているので一瞬の隙間さえ出来れば、包囲を突破出来るだろう。
それに東京の直線は長く広いのだから、今から慌てても馬の負担にしかならない。
残り600mを切り、直線に入ると観客の歓声が響くようになる。
少しずつ各馬の体勢が外に持ち出すようになり、ダンシングウイナーの前にはポッカリと隙間が出来て、その一瞬を逃さずに騎手は突っ込ませた。
その勢いで更に加速して、ダンシングウイナーは残り200mの時点で先頭の馬を捉えて一気に突き放し、無事に4勝目を上げた。
戻る ← →
この話で出た簡潔競馬用語
特になし。