――96年度上半期のG�汽譟璽垢�全て終了した。

     今年の3歳クラシック路線は流行感染症が広まってしまったため、全般的に混戦模様で行われていた。

     牡牝共に体調が良い状態で出走出来ていれば、勝ち負け確実だと言われた2頭――ダンスインザダークとエアグルーヴが1冠目を直前に出走取り消し。

     更に朝日杯フューチュリティSを勝利して、復帰戦のスプリングSを楽勝したサンデーサイレンス産駒のバブルガムフェローが骨折を発症。

     そのため、牡馬クラシックは牝馬以上に主要メンバーが一気に居なくなってしまった訳である。

     特に桜花賞はこの時期の牝馬戦らしく、直前のレースで好結果を出した2頭がワンツーフィニッシュしている。

     1着馬のファイトガリバーはトライアルレースとしては格が小さいアネモネS3着からの出走で、重賞を使わなかった事で体調維持が出来たのだろう。

     2着に入ったイブキパーシヴは重賞1着――クイーンCからの出走だが、約2ヶ月間隔が開いたので、重賞による疲れは無かったと思われる。

     なので、今年の桜花賞は勢いよりも調子を重視した陣営の腕が結果に結びついた。

     続くオークスでは流行感染症から無事に体調を戻したエアグルーヴが鬱憤を晴らす走りによって、母ダイナカールとの2代オークス制覇の名誉を。

     正に敵無しの走りで桜花賞馬のファイトガリバーを寄せ付けずに破ったので、3歳牝馬世代ではトップレベルと言っても良い位。

     牡馬クラシックの1冠目――皐月賞は前記の通りダンスインザダークが弥生賞を制しながら直前に出走回避したため、イシノサンデーが勝利した。

     イシノサンデーはラジオNIKKEI杯2歳Sでダンスインザダークと皐月賞2着のロイヤルタッチと共に出走した縁がある。

     その時の結果はロイヤルタッチが1着、2着はイシノサンデーで3着にダンスインザダークが入着していた。

     その実力の差が逆転したと言われた日本ダービーでは、プリンシバルSで見事に復帰したダンスインザダークが圧倒的1番人気に支持されていた。

     だが、競馬の神はダンスインザダークに微笑まず、関西の秘密兵器と呼ばれる2戦2勝のフサイチコンコルドに微笑んだ。

     正に一刀両断の切れ味で、決して衰える事も無く先頭を駆け抜けていたダンスインザダークを切り捨てるのだから凄まじいとしか言いようが無い。

     その勝ちっぷりと3戦目で日本ダービーを制したフサイチコンコルドの実績は、競馬ファンの間では和製ラムタラと呼ばれ始める。

     続いての古馬戦線はG�兇覆�ら、歴史に残る1戦を演じたナリタブライアンとマヤノトップガンが阪神大賞典で壮絶な叩き合いを演じ観客を魅力させた。

     その結果はフォア賞以来で勝利の嘶きを叫んだナリタブライアンに軍配が挙がり、この結果が天皇賞・春に結びつくと思われていた。

     だが、結果は前走の中山記念を勝利したサクラローレルが大物食いを果たし、G�祇�覇と言う大金星を。

     2度の故障から立ち上がった馬は強くなり、2頭のG�鞠呂魏爾靴討靴泙Δ里世�ら恐れ入る。

     そして宝塚記念では、ナリタブライアンが直前に屈腱炎を発症して引退、サクラローレルはG�気任旅チ�で体調を崩してしまい回避。

     そのため、勝利したマヤノトップガンが3つ目のG�祇�覇を成し遂げた。

     ナリタブライアンはこれで引退し、18戦13勝2着3回の成績を残す。

     3冠+有馬記念+天皇賞・春+朝日杯フューチュリティSの6勝に海外重賞のフォア賞を含めて11勝の重賞制覇。

     これだけの成績を収めても故障には勝てず、ナリタブライアンは引退していった。

     今後は種牡馬としての活躍を期待して、観客の前に仔馬が姿を現すのを待ち続けよう。

     最後に3歳と古馬を含めた短距離路線とダート路線を。

     NHKマイルカップは父がデインヒルの血統を持ち、弥生賞でダンスインザダークの2着に入ったツクバシンフォニーが勝利。

     数少ない短距離G�気旅眈承楜�念を制したのはフラワーパークで、牝馬らしからぬ走りでヒシアケボノを破ってG�祇�覇。

     続く安田記念は1流馬が集結し非常に盛り上がり、7頭のG�鞠呂�集まり合計12勝もしているのだから。

     そんなレースの結果は3着までの差が鼻と首だけで、接戦を制したのは1600mのスペシャルリストであるトロットサンダーだった。

     最後にフェブラリーSはこのレースを最後に引退の花道を飾ったホクトベガが去り、これからは繁殖牝馬としての活躍を期待したい。

     今年は上半期で引退した2頭の名馬がターフから居なくなった事で大きな空洞が出来てしまったが、その道を作り上げた2頭を追う馬は現れるのだろうか?

     特にホクトベガは地方馬との交流戦を広げた成果がダート路線の後身を育てる一役を買って、最近は中央からもダートの強豪馬が輩出されている。

 

 

     秋子は発売したばかりの競馬雑誌を読み終えると、サイドボード上に飾られている新たな優勝カップに視線を注ぐ。

     その優勝カップには北海道スプリントC優勝と、台座に彫られている。

     即ち、ヤマトノミオが久しぶりの重賞制覇を飾ったと言う事に尽きる。

     他にも勝ち上がった馬が居るので、秋競馬に向けて非常に楽しみな展開になったとも言える状況。

 

    「秋にはもう1つ位、重賞制覇出来ると良いんですけどね」

 

     秋子はそう呟いてから、競馬雑誌を片手に自室に戻っていった。

 

 

     戻る     ← →

 

     この話で出た簡潔競馬用語

 

     注1:フサイチコンコルド……ノーザンダンサーの3×3を持つため、非常に体質が弱い。
     注2:イブキパーシヴ……父はカーリアン。
     注3:ツクバシンフォニー……実際はG�犠,舛鰐気�NHKマイルCで2着。
     注4:デインヒル……G�気錬韻弔世韻靴�勝利していないが、父のダンジグらしくスピードがある。
     注5:フラワーパーク……父はニホンピロウイナー。