正月開催の競馬が終わり、今週からは平常時――土曜日と日曜日に開催されるようになる。

     そして、早くも今週から中山で重賞が開催され、その重賞名はガーネットS。

     去年はヤマトノミオが勝利したのでKanonファームにとっては非常に縁起が良いレースで、今年も連覇するために出走が確定している。

     JBCS以来の出走だが元から短期放牧後はここを目標にしていたので、調整はキッチリと合わせている。

     唯一の懸念と言えば、ヤマトノミオが背負う斤量でガーネットSはハンデ戦であるため、近走の成績から考えると負担が重くなる事が考えられる。

     地方の2戦でG�兇硲猫気韮加紊砲覆辰燭里世�ら、間違いなくトップハンデが課される可能性が高い。

     これと言ったメンバーは出走しておらず、JBCSを制したアマゾンオペラは直接フェブラリーSを狙うようで、ここには見向きもしていない。

     必勝レベルとも言えるメンバー構成なので、ここを勝利して秋子が考えた計画の1つであるフェブラリーSに駒を進めたい所。

     基本的にはヤマトノミオには1200m戦が限界なのだが、現状ではダート1200m戦の数は少ないので、距離延長と言う無茶を繰り返す必要が。

     今の状況でOP特別に出走しても斤量が60kg近くになってしまうのだから、使えるレースは去年よりも確実に減っている。

 

    「やれやれ、本当に使えるレースが少ないと、こっちがローテーションを決めるのに苦労しますね」
    「昔からダート路線は芝で走らなかった馬の専用みたいに成り果てていたからな。今の方が中央でダートG�気�開催される分マシだろう」

 

     そうなんですけどね、と秋子は苦笑いを浮かべているがスッキリとしないのか、眉間には大きくしわが寄ってしまった。

     秋名がその事を指摘すると秋子は人差し指で頬を軽く掻いてから、眉間に刻まれたしわを平常に戻していく。

 

    「そろそろ、いい歳になるんだからしわには注意した方が良いぞ」
    「……」

 

     秋名はからかう様に言うが、2人ともまだ20代で通用する美貌を持ち肌にはシミ1つ無い白魚の様な肌を持っている。

     それでも、流石に歳の事を言われると沈黙するしかないのだが。

     そんな訳で、リビングには和やかなと言えるかは微妙な空気が漂ってしまった。

 

 

     さて、今週の競馬はガーネットSに出走するヤマトノミオ以外にもアイシクルランスが未勝利戦に出走する。

     距離は2200mと新馬戦の時よりも200m長いのだが、少なくとも距離適正のレースとも言える。

     この時期の未勝利戦は今まで距離適正外の馬が狙いやすい距離が多くなり、ここらで勝利しないとクラシックへの扉は閉ざされてしまう。

     とは言え、無理な仕上げは不可能なので1戦で勝利していかなければダービーはともかく皐月賞は絶望的。

 

    「さて、アイシクルランスはどうなるかしら」
    「距離は合うはずだからね。勝てる可能性は十分にあると思うよ」

 

     うん、と自分の言葉に納得するように頷いてから名雪は顎に手を当てつつ、TVで放送中の未勝利戦のパドックを眺める。

     アイシクルランスは8枠12番と大外からのスタートになり、パドックでの紹介も1番最後。

     この時期の外枠は芝が荒れやすい状況で、現在も進行形で荒れている最中なので外枠は、はっきり言うと厳しいのが事実。

 

    「まぁ、外枠と言うハンデが無ければ最高だったけどね」
    「そうね……やはり、この時期の外枠は最悪ね」

 

     そんな訳でレースを見ていたわけだが、結果は惜しくも2着に敗れてしまった。

     僅か首差の敗戦だったが、内と外の差が大きく出てしまった結果とも言えるので今回は運が足りなかった。

 

    「こういう事があるから、小回りの競馬場で外枠は嫌なんだよ」

 

     名雪は肩を深く落としてから溜息を吐いてから小さく頭を振って、この事を忘れるように頭を切り替えたようだ。

     むしろ、本日のメインはヤマトノミオが出走するガーネットSで未勝利戦のアイシクルランスはどちらかと言うとおまけに過ぎない。

     未勝利戦と重賞では格も勝利の期待度も、どう足掻いても重賞の方が上なので仕方がない事だろう。

 

    「っと……ちょうど、ヤマトノミオが出走する時間か」
    「厩舎作業に時間が掛かりました? まぁ、今はレースの方を見ましょうか」
    「後、ちょっと遅かったらレース結果だけになっていたね」

 

     名雪が言う通り、既にゲートが開いて苛烈な先行争いが1200m戦らしく演じられて、どの馬も簡単には引けない状況に。

     そして、今回は前日の雪でダートは湿っている為レースで有利なのは、先行勢。

     脚抜きが良くなったダートでは前が止まり難く、後ろからでは非常に交わし難いのだから。

     何よりも中団から後方に居る馬は泥を被って、騎手と共に真っ黒に汚れてしまい、中には走る気を無くす馬も居るのだから。

     この状況では最内に入ってしまったヤマトノミオは勝負服の模様も分からない程で走る気は無くしていない様だが、他馬よりもスタミナの浪費が早い。

     残り200m。

     ヤマトノミオは6番手に浮上してきたが、前を走っている5頭は先行勢がそのまま流れ込んだ状況で、後ろから脚を伸ばしているのは1頭も居ない。

     騎手は何とかして掲示板に載せようかと、ヤマトノミオに肩鞭を振るって脚を伸ばすのを期待するが、今回は余りにも伸びなかった。

     結果は6着と得意の距離で掲示板を外したのは初めての事になってしまった。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特になし。