エリザベス女王杯の結果は特にイチゴサンデーの惨敗が秋華賞から悪夢の2連敗となってしまった。
今回は流石に秋華賞の惨敗が人気を落ち着かせて4番人気に支持されていた。
だが、結果は18頭中15着といつもの様に中団に位置して他馬と競り合う状況に持ち込んだにも関わらず、ズルズルと後退してしまった結果に。
これで取沙汰にされるイチゴサンデーの噂は早熟、或いはアメリカンオークスを制したため燃え尽きたと言う2つの論が栗東で広まっている状況。
イチゴサンデーの2連敗の結果を期にサンデーサイレンス早熟論が噴出し始めている。
イチゴサンデー以外のG�鞠呂魯侫献�セキ、タヤスツヨシとジェニュイン、ダンスパートナーの4頭がいるが、どの馬も今秋は今一つの結果。
ダンスパートナーはともかく、牡馬クラシックを分け合った2頭は共に1勝もしていない状況。
皐月賞を制したジェニュインは菊花賞ではなく天皇賞・秋に出走し2着と気を吐いたが、京王杯オータムハンデ、毎日王冠と3連敗。
タヤスツヨシは神戸新聞杯から復帰したが1番人気に支持されながら5着で続く菊花賞は7着とダービー馬とは思えない結果に。
因みにダンスパートナーはノネット賞2着→ヴェルメイユ賞6着→菊花賞5着と牝馬らしからぬ挑戦振りが目に付く。
なので、G�鞠呂�重賞を1勝もしていない状況がサンデーサイレンスの早熟論が広まっている状況である。
そして、Kanonファームでは現役引退か長期放牧からの復権を狙うかの論争が起こっており、簡単に話し合いが終わらない。
「ここで引退させて繁殖入りさせたほうが良くない?」
「……早熟って感じはしないんだがな。長期放牧で体調を戻した方がまだ結果を出す気がするが」
「わたしは長期放牧しても復活するとは思えないけどな」
「まだ10戦目だし、早い時期に放牧させるのは勿体ないと思うぞ」
主に議論を行っているのは秋名と名雪で、秋子は軽く指先を組みながら2人のやり取りを眺めているのみ。
最後の決定権を持つのは秋子なので平行線を辿る事になっても無駄に近い行為だが、こうした話し合いは腹を括って行うので意見を主張しやすい。
「秋子はどっちだ?」
「わたしですか? どちらかと言うと引退ですね。G�気鬘仮,靴董△修里Δ腺韻弔�アメリカンオークスなので、これ以上注文を付けても……ね」
秋子の表情は神妙さを帯びており、今までの功績以上の結果を望んでいないのか引退を決意したようだ。
「……ちっ、仕方ないな。繁殖として活躍してもらうか」
「姉さんの言う通り、繁殖で活躍馬を輩出してもらうしかイチゴサンデーに残された道は無いと思います」
「勿体ないけど、もう走る気配がしないからなぁ」
3人揃って溜息を吐くと、イチゴサンデーの決定事項を調教師に伝える為に秋子は受話器を取る。
そして、イチゴサンデーを引退させる意向を秋子はハッキリと伝えて、調教師を落胆させてしまうが、秋子の意図はしっかりと伝わっただろう。
こうして、イチゴサンデーは10戦5勝2着1回3着2回の成績でアメリカンオークス、NHKマイルC、ファンタジーSと3つの重賞制覇。
サンデーサイレンスの初年度産駒として最上級の成績を残し、競馬界から引退して、Kanonファームで繁殖牝馬として過ごす日々が始まる。
さて、イチゴサンデーが引退した事でKanonファームは慌ただしい受け入れ準備を行うことになった。
元から繁殖牝馬厩舎の馬房数は充分の数があるので、利用していなかった馬房の掃除を行うだけだが、隅々まで綺麗にしなくてはならない。
真新しい寝藁を床に引いて、使用していなかった飼い葉桶と水桶を綺麗に洗う。
そして、馬房の横にイチゴサンデーの馬名と血統が書かれたボードを貼り付けて、イチゴサンデーが使用する馬房が出来上がった。
馬房の位置は風通りが良い場所になっておりG�鞠呂蕕靴ぢ垓�だが他の馬もそれなりに良い場所なので、G�鞠呂世�らと言って厚遇な訳ではない。
「これで何時帰ってきても受け入れる事が出来るわ」
「実際はそこまで遅くならないと思うけどね……来年の配合はわたしが決めて良い?」
名雪は今年の種付けを考える際に様々な血統書を読み漁ったのが楽しかったのか、秋子を見上げる様な格好でお願いを行う。
すると、秋子は元から名雪に譲るつもりだったのか、1秒も掛からないうちに了承のサインを出して名雪を喜ばせる。
「イチゴサンデーに何を付けるかは決められそう?」
「んー、まだ何を付けるかは決めてないけど、血統が血統だから簡単に決められないかな」
名雪の言う通り、イチゴサンデーの血統はヘイルトゥリーズン系×ノーザンダンサー系×グレイソブリン系と非常に配合がし難い形。
イチゴサンデーの母――ファントムは日本では流行になっている血統で構造されているので、ここからは如何に傍系血統を組み込むかが名雪の手腕である。
戻る ← →
この話で出た簡潔競馬用語
特になし。