1994年度の年度代表馬が選出され、選ばれた馬は圧倒的な票数――300票満票でナリタブライアンが満場一致で決定した。

     今年の成績は神戸新聞杯で敗れた1敗が唯一の敗戦で、6戦5勝2着1回と連対率100%の成績。

     そして、何よりも皐月賞3馬身→日本ダービー5馬身→菊花賞8馬身とクラシックは距離が伸びるにつれてドンドン突き放したのはインパクトがある。

     有馬記念では半兄のビワハヤヒデを破った実績は誰もが選ぶだろう。

     勿論、最優秀賞3歳牡馬もナリタブライアンが満場一致で決定。

     最優秀賞3歳牝馬の方はナリタブライアンと同じく満場一致の満票でヒシアマゾンが選ばれているが、それに相応しいG�犠〕�数なのだから。

     桜花賞→NHKマイルカップ→秋華賞→エリザベス女王杯と幅広い距離で活躍し、有馬記念は唯一の出走牝馬ながらの3着は歴代の牝馬に匹敵する実績。

     続いては古馬の方を。

     牡馬はビワハヤヒデが順当に最優秀賞4歳以上牡馬の座を得ており、年間通してG�毅馨 宗重傾直沺�春と秋、宝塚記念が評価されたのだろう。

     古馬牝馬は混合G�気鮠〕�したノースフライトが選ばれており、マイル路線とは言え十分な実績なのは間違いない。

     2歳牡馬と牝馬はG�犠〕�したフジキセキとヤマニンパラダイスが選出されたのは当然の事だった。

     来年も活躍するかは不明だが、少なくとも期待出来るのは間違いない。

     最後にダートと短距離を。

     最優秀賞ダート馬はホクトベガ――フェブラリーS、帝王賞、ジャパンカップダートを制した実績がキラリと光る。

     サクラバクシンオーが去年と同じく最優秀賞短距離馬に選ばれて、見事にビワハヤヒデと一緒に有終の美を飾ったと言えるだろう。

     と、最新の競馬雑誌に票数が表記されており殆どの馬が順当に選出されて、大きな混乱が無かったと記されていた。

 

    「順当に決定しているね。当たり前だけどうちの馬への投票は無しと」
    「いや、欄外部分を良く見てみると、何故かイチゴサンデーに1票入っているぞ」

 

     祐一に指摘されて、名雪は競馬雑誌の欄外部分に視線を移して、イチゴサンデーに投票されている事を確認する。

     毎年そうなのだが、へそ曲がりの競馬記者は何処にもいるので全ての馬が満票で決定する可能性は低い。

     今回はイチゴサンデーがその記者の好みに当てはまっただけだろう。

     特に実害は無いのである意味、毎年変わった馬に投票されるかを楽しみにするのが最も良い手段。

 

    「1票でもされていただけでもマシかな?」
    「ある意味、ネタ投票に近いから素直には喜びにくいな」

 

     祐一は小さく肩を竦めつつ苦笑いを洩らしてしまうが、このネタ投票では正直に笑うくらいしか用途が無いのだから。

     イチゴサンデーが今年中に活躍して来年の最優秀賞3歳牝馬として選出される事が、現状で考えられる最も適した見返せる方法だろう。

 

 

     さて、今週の競馬はガーネットSにヤマトノミオが10月のエニフS以来出走となる。

     前走は距離1400mだったが、今回のガーネットSは得意の1200m戦――即ち、短距離なので期待は持てるだろう。

     ガーネットSは中山競馬場で開催されるので、同距離同コースでは2戦2勝と連対率100%になっているのだから、ここはチャンスと言える。

     数少ないダート1200m戦で、ヤマトノミオはこれ以上距離が伸びると成績が悪くなるのだから、ここは確実に勝利したいところ。

     そして、現在の人気はあまり無い状況で12頭中5番人気となっている。

     原因は前走のエニフSの結果――10着だったのがファンに影響を与えている様だが、隅々まで競馬新聞を読む人にはおいしい馬券と映りえるだろう。

 

    「人気は無いけど、勝てる可能性は高いですね」
    「そうだな。馬体重もベストに近いし得意な距離とコースだから、勝てる可能性は高いと見込めるな」

 

     秋名も秋子の言い分を認めており、今回は非常に数少ないチャンスを物に出来る可能性が高いと思われている。

     そして、2人がそんな予想を立てている間にレース開始時間となった。

     ヤマトノミオは絶好と言うほどでは無いが好スタートを切って、6番手辺りを位置取りとして進めている。

     前日の降雪が祟ってか、展開は速いペースで刻まれて馬場全体がぬかるみ状態なので、如何にドロを被らない様にするかが騎手の仕事。

     ヤマトノミオは幸いにも馬場の外寄り――6枠8番からのスタートだったので、泥が跳ねても被る量は内枠よりも遥かに少ない。

     なので、脚質が逃げの馬以外は殆どが騎手と共に泥で真っ黒に染まっていた。

     レースは600mを通過し、残りの距離は丁度半分となり、各馬が少しずつ動き出している。

     そして、直線に入る。

     ヤマトノミオは徐々に外に持ち出して大外までとはいかないが、内ラチから5頭分辺りの場所を走り、泥を跳ね上げている。

     外に持ち出しても、ヤマトノミオの勢いは決して衰えずに駆けており、直線に入ると同時に逃げ切りを図る逃げ馬をアッと言う間に抜き去ってしまう。

     結果、ヤマトノミオは後方から追い上げてきた2着馬に1馬身の差を付けて見事に初重賞挑戦でガーネットSを勝利した。

 

 

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     特になし。