イチゴサンデーが2歳牝馬重賞のファンタジーSを見事に制覇した事で、一躍クラシック候補として名乗り上げた。
圧勝ではないが、キチンと接戦をものにする勝負根性が改めて評価されており、阪神ジュべナイルフィリーズでも1番人気になるのは確実だと言われている。
Kanonファームとしては、今年の1月以来の重賞制覇になるので10ヶ月振りのG�靴鮠〕�した事になる。
これで今年の重賞成績は15戦2勝2着4回3着2回と勝率は悪いが、連対率はそれなりにキープした事に。
既に今年の重賞出走予定は、ミストケープのエリザベス女王杯とストームブレイカーのマイルチャンピオンシップ。
それにファンタジーSを制したイチゴサンデーが阪神ジュべナイルフィリーズに出走予定となっている。
3頭を手札として見なすなら、まだ底を見せていないイチゴサンデーが最も期待出来る存在だろう。
そして、何よりもこの重賞制覇で間違い無く、イチゴサンデーの父であるサンデーサイレンスの評価が著しく上昇した。
初の重賞制覇はダイナアクトレスの産駆――プライムステージが札幌2歳Sで達成しているが、イチゴサンデーは2頭目の重賞制覇になっている。
因みにプライムステージは阪神ジュべナイルフィリーズに出走しない様で、次走は流動的な状況。
他のサンデーサイレンスの産駆はフジキセキがもみじSを勝利し、オトメノイノリがアイビーSを。
新種牡馬ながら既に5頭のOP馬――そのうち2頭が重賞勝ち馬を輩出している事はノーザンテーストでも達成していない記録。
まさにKanonファームでサンデーサイレンスの様な種牡馬を種付け出来たのは僥倖と言える結果。
来年になれば種付け料は値上がりするのは確実と言われているので、イチゴサンデーがKanonファームの最初で最後のサンデーサイレンス産駆かもしれない。
「本当に今年2勝目の重賞制覇になって良かったよ」
「一度、重賞制覇した後に勝てない期間が長いと、牧場の方針が間違っているか心配になるからな」
2勝目出来たのでその心配は払拭されたがな、と秋名はニヤリと口端を軽く吊り上げつつ笑みを浮かべる。
秋子も微笑を浮かべているので、心底から安心していることがハッキリと窺える表情。
「後は阪神ジュべナイルフィリーズを勝利してくれれば、今年は十分な結果を出した事になるんですよね?」
祐一の質問に秋子はやや顔を顰めつつ、秋子自身は納得していない事を示す格好となった。
去年よりも勝利数が落ちているので、ハッキリと喜べない状況なのだから、秋子の表情が曇るのも無理が無い。
「……今年の成績はハッキリと言うと、去年より落ちていますからこの1勝が次に繋がるのを期待するだけですね」
と、秋子は言葉を紡いだ後にテーブルの上に置かれている競馬新聞人差し指を軽く置いて、本日開催されるG�機宗愁┘螢競戰構�王杯が。
今回の出走馬はミストケープが去年の連覇を狙っているが、残念なが人気は3番人気と低調気味。
競馬新聞の印は○▲▲△△で現在のオッズは8.4倍に支持されている状態だが、圧倒的な人気である3歳牝馬のヒシアマゾンが立ち塞いでいる。
ヒシアマゾンは今年で既に3つ目のG�機宗什�花賞、NHKマイルカップ、秋華賞を勝利しており、近代競馬の中では類稀な成績を持つ牝馬と言える。
そして、2番人気は今年のオークス馬であるチョウカイキャロルで、秋華賞ではヒシアマゾンとの熱戦を演じていた。
その点が評価されて、1番人気と2番人気が今年の3歳牝馬が支持されているが、ミストケープも実績では負けていないだろう。
「うーん、ヒシアマゾンはともかくチョウカイキャロルにまで人気が負けるのは納得いかないですね」
「こっちは京都大賞典で牡馬との差が無い3着に食い込んでいるのにな」
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そう言いつつ、パドックが放送中のTVに視線を向ける秋名だが、馬体重が−10kgと聞いてげんなりした表情になってしまう。
「ギリギリまで絞った気もするけど、ちょっとキツイと思うな」
「引退レースだからこそ、ここまで絞ったのかも知れないけど不安だな」
名雪と祐一もハッキリと馬体重が大幅に減少しているのが分かる程の状態で、これでは勝ち負けは厳しいだろう。
そして、第19回エリザベス女王杯のファンファーレが鳴り響き、各馬がゲートの中に誘導されていく。
最後に8枠18番の馬がゲートに入って、スタートが切られる。
ヒシアマゾンは指定席である後方から淡々と進んで、直線から猛烈に追い込む鬼脚を今回も発揮させようと騎手が目論んでいる。
ミストケープはそれよりも前の方に位置――12番手辺りを駆けており、いつもよりも後ろの方を走っているのは騎手に意図があるのかもしれない。
2番人気のチョウカイキャロルは6番手辺りの位置取りで、先行抜け出しから勝利を収めようとしているのが窺える。
「いつもより後ろを走っていますけど、行きっぷりが悪いのでしょうか?」
「どうだろうな。騎手は手綱を扱いていなかったし、調子が悪いとは思えないな」
ここでスルスルと位置取りが上がってきたのは後方にいたヒシアマゾンでレースは既に中盤を過ぎた所。
残り距離はおよそ1200mで後1分10秒前後の時間で決着が付く。
ミストケープもステイヤーの血脈を持つ馬らしく、ヒシアマゾンよりもワンテンポ遅いが徐々に進出し始める。
チョウカイキャロルはまだまだ脚を溜めており、直線に入るまで容易に仕掛けられないだろう。
3コーナーと4コーナーの中間辺りで、ヒシアマゾンが先行勢を視野に入れられる位置取り――7番手辺りまで上昇してきた。
ミストケープはヒシアマゾンの1馬身くらい後ろをキープして、後は仕掛けるタイミングを間違えないようにするだけ。
最終コーナーに入り、観客席から聞こえてくる観客の多数の声で沸きつつ、各馬が仕掛けていく。
しかし、どの馬が仕掛けようとも引き絞った弓矢のように伸びるヒシアマゾンを捉えられる馬は居なかった。
結果はヒシアマゾンが2着馬のミストケープに3馬身の差を付けて5つ目のG�祇�覇を達成した。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。