イチゴサンデーがコスモス賞を勝利した事で今後のローテーションがグッと楽になり、この後は短期間だけの放牧を行って11月のファンタジーSを狙う。

     競馬新聞にはその様な調教師コメントが簡略されて抜粋となっており、実際に今後はファンタジーSから阪神JFを狙う事が秋子の元に連絡が届いている。

     その競馬新聞には現時点のサンデーサイレンス産駒の中で、最も評価が高い馬はイチゴサンデーが押されていた。

     同評価と言っても差し支えない2番手にはフジキセキ、ヤマニンアリーナが 支持。

     ヤマニンアリーナは未勝利勝ちの後にクローバー賞を勝利し、サンデー産駒初のOP勝ち馬となっている。

     重賞制覇を達成した馬はまだ居ないが、既に時間の問題と言われている状況なので、秋にはドンドン勝利してもおかしくないと言う見解が広がっている。

     イチゴサンデーがコスモス賞で収穫した事は非常に多く、馬込みでも問題無く馬群の隙間を突く時も物応じないのはクラシックで戦い抜くのに必要な要素。

     中団から自身の前を走る馬を抜こうとする姿は猛獣のようで、一瞬の切れと競り合いになってもしぶとく伸びるのは、勝負根性がずば抜けている事を示す。

     現在の所、弱点らしいものは1つも無いが、1頭だけ抜け出すとソラ――集中力を欠いて走ってしまう癖を使うかどうかの懸念が。

     イチゴサンデーは競り合いの時は集中して走っているが、差を付けて抜け出しても集中して走るかは不明。

     調教時はソラを使う事は1度も無いが実戦と調教は別物なので、わざと次走で突き抜けるように走らせ、結果はどうあれ不安の芽は先に摘んだ方が良い。

 

    「んー、取りあえず勝利してくれた事ですし、暫くは安泰ですね」
    「そうだな。2歳のうちのOP戦を勝利するのはタイフーン以来だし、ちょっと先が楽しみになってきたな」

 

     今までKanonファームの生産馬で2歳のうちからOP入りを果たしたのは、ウインドバレーとタイフーンのみ。

     どちらも後の活躍を考えると秋名の言い分は尤もで、ジンクスの1つになるが、イチゴサンデーもこのジンクスに当て嵌める事が可能。

 

    「まぁ、取りあえずはファンタジーSに出走してもらって、あわよくば3連勝と重賞を制覇してもらうのが当面の願望ですね」
    「随分と小さい願望な気もするが、それくらいの方が達成しやすいか」

 

     秋名は納得していない様で複雑そうな表情が顔に浮かんでいるが、今年はまだ重賞制覇は1勝のみなので、そろそろ勝利して欲しいのは二人の本心だろう。

     次走のファンタジーSの内容までは、まだ話題にもなりようが無いので、スッと別の話に切り替わっていった。

     その理由は本日が日曜日であり、重賞の1つである京王杯オータムハンデが開催され、ストームブレイカーが出走するのだから。

 

     

 

     京王杯オータムハンデは重賞の中では珍しくハンデ戦で、斤量の差が出るので時折、穴を開ける事があるレース。

     とは言え、そこまで極端に万馬券が出る事は少なく、春の実績馬が下半期の出走レースとして位置づけられている。

     実際にはそれほどこのレースがG�気坊襪咾弔�事は少ないのでハンデ戦らしく、微妙な重賞と言っても差し支えない。

     主な出走するメンバーは今年の中山記念を勝利したサクラチトセオーが1番人気に支持されており、それに続くのがストームブレイカー。

     他の重賞馬は今年の中山牝馬Sを勝利したホッカイセレスがいるくらいで手薄なメンバー構造と言えるだろう。

     そんな訳でここに出走するストームブレイカーには期待せざるを得ない。

 

    「うん、それなりには仕上がっているようですね」
    「馬体重は+6kgか……休み明けとしては十分か」

 

     ややふっくらした馬体だが、闊歩中の動きは悪くない状態で70%程の仕上がりだと窺える。

     因みに負担斤量は57.5kgとサクラチトセオーに次ぐ重量で、普段よりも500g重い状態。

 

    「ハンデも意外と増えなかったですし、ここはG�気妨�けてのチャンスですね」

 

     秋子が言うG�気箸錬昂遒虜能�週に開催されるスプリンターズSの事を指しており、ここの結果次第ではG�気坊劼�るだろう。

     そして、レース開始時間になる生演奏では無いファンファーレが響き、各馬が誘導員に曳かれてゲートに入っていく。

     最後に8枠18番のストームブレイカーがゲートに入って、数秒後にスタートが開く。

     サクラチトセオーは後方から、ストームブレイカーは中団の8番手辺りとそれぞれ得意な脚質の場所をキープ。

     1600m戦なので、本来通りスローペースにはなりにくい状況になって、先行勢が早いペースを刻み始める。

     800mの通過タイムは46.9秒とハイペースの展開になり、先行勢には厳しく、後方勢には楽な展開となってしまった。

     特にサクラチトセオーにとっては非常に勝ちやすい展開となったので、一瞬の切れで差し切ってしまう可能性がグッと高いだろう。

     そしてストームブレイカーは徐々に位置取りを8番手辺りから上がっていき、最終コーナーでは4番手までに。

     そして、後はゴールまで約300mの直線を駆けるのみ。

     ここでストームブレイカーは一気に加速し、先頭に踊り立ってサクラチトセオーの鬼脚から逃れる様に早仕掛けを行う。

     だが、サクラチトセオーも徐々にと言うよりも、ズンズンと進出して来てストームブレイカーとの差が広まる所か縮まって来てしまった。

     そして、ゴール前で1/2馬身の差を付けられてストームブレイカーはサクラチトセオーに敗れてしまった。

 

 

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     特になし。