ストームブレイカーが中山記念で2着に入着した翌日――月曜日の午前3時頃、無事にファントムの産駒が誕生した。

     父はメジロデュレン――菊花賞と有馬記念の覇者で、半弟に今年種牡馬になったメジロマックイーンが居る。

     既に産駒はデビューしているが、どれもパッとしなかったので今年が最後の種付けとなるが、あまり数は集まらない見解。

     今までデビューした産駒の中では長距離血統の牝馬が多く、ファントムは珍しく短距離から中距離向けの産駒が多いので、スピードに期待される。

     因みに性別と毛色は、牡馬で父の影響で何の変哲も無い鹿毛であった。

     これでKanonファームの産駒は全て無事に誕生し、現状まで死別する事も無く今のところは安心して見ていられる。

     産まれた仔馬の血統と性別と毛色は以下の通り。

     ファントム×メジロデュレン……鹿毛、牡馬。

     フラワーロック×リヴリア……鹿毛、牝馬。

     エレメントアロー×サッカーボーイ……栃栗毛、牝馬。

     ルリイロノホウセキ×ウインドバレー……栗毛、牡馬。

     サイレントアサシン×ドクターデヴィアス……鹿毛、牝馬。

     そして、今年誕生した産駒が初めての出産になるサイレントアサシンは大駆けしていた現役と違い、特に問題点を出さず子煩悩さを見せていた。

     今年も牝馬の割合が多く、相変わらずKanonファームの産駒は総じて牡馬よりも牝馬の方が産まれやすい環境なのだろう。

 

    「また牝馬の方が多いな……うちの環境がそうさせているのか?」
    「それだとオカルトっぽいですけど、実際にスタッフを除くと男手は祐一君1人ですから、あながち当たっているかもしれませんね」

 

     あまりにも牝馬の出産率が高くて、牡馬の出産率が低いので秋子と秋名は苦笑いを漏らすしか無かった。

     後継牝馬が産まれるのは良いが増えすぎると逆に売却先を考えないといけないので中小牧場のKanonファームには厳しいだろう。

 

    「そろそろ放牧地を広めないと駄目かもな」
    「功労馬の放牧地を縮小して、繁殖牝馬の放牧地を拡大する手段もありますよ」

 

     値段的には秋子が出した立案の方が安く済ませられ、新たな土地代も掛からないので魅力的なのは明らか。

     功労馬厩舎の場所だけは毎年、ガランとスペースが空いており現状はジェットボーイとアストラルが居るだけ。

     高齢と言う訳ではないが11歳と9歳の牡馬なので、名雪と祐一、スタッフが騎乗して練習するには適した馬であるのは確か。

     なので、簡単に処分する訳にもいかず練習馬として置いておくのが1番良いだろう。

 

    「まぁ、まだ現状の規模でやっても問題ないだろうけど、少しは新しい設備があった方が良いと思うぞ」
    「現在の資金で出来るとしたら、牧草の張替えか種牡馬の種付け場くらいは出来ますね」

 

     坂路などの調教コースはまだまだ資金が厳しいので不可能に近く、牧場の面積も現状では手狭である。

     牧草の張替えは数年経って良質の牧草になるので時間が掛かるが、馬の体質が良くなったりするメリットが多い。

     毎年、同じ牧草では馬も飽きるのでメインとしてオチャードグラスを主軸にし、赤クローバーとの混播となっている。

     放牧地では白クローバーにメドーフェスキュとケンタッキーブルーグラスになっているので、バランスは良いと思われる。

     実際にこの配分だからこそ、Kanonファームの馬が走っている可能性は高く、変えたら走らない可能性も出てきてしまう。

     逆に種牡馬施設の方は現状では1頭も種牡馬がいないので、役に立たないが今後は種牡馬を購入する可能性がある事を考えるとあっても損はしない。

 

    「……やはり、調教コースをもう一本増設するために金貯めた方が良いかもな」
    「それか1週の距離を増やすのもありですね」

 

     今年の全日程の結果次第ではKanonファームの牧場増設も変わるのは確実で今後の予定は全て馬に委ねる事で決定した。

 

 

     さて、そんな予定を立ててしまった中で今週の競馬にはヤマトノミオがブラッドストーンステークスに出走。

     適正距離の1200mで行われ、過去に中山ダート1200mで勝利している事から適したレースと言えるだろう。

     ただ、前走が10番人気で5着に入ったのがフロックに思われているのか、低人気――12頭中8番人気と支持が低い。

     しかし、ヤマトノミオは3走前のフルーツラインカップ――1150m戦で勝利したように圧倒的に短距離で活躍する。

     それに気付いている馬券ファンは旨みがあると分かっているので、馬単でヤマトノミオを頭にして購入している。

     そして、結果は。

     2着馬に鼻差だけを凌いで、見事にOPクラスに昇格したが未勝利だった母のクイーンキラと違い見事に実績を築いてしまい、既に親を超えた結果に。

 

 

     戻る      

 

     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。