ストームブレイカーが天皇賞・秋で2着に激走した事から、周辺からの評価がガラリと変わりOP級から、重賞級と一気に上がった。

     首差――タイムにすると凡そ0.1秒程の差で、ほんの少しの実力と運が足りなかったのだろう。

     大抵の馬はこの様に僅かの差で敗れて栄冠を逃す事が非常に多く、競馬にはある格言が。

     ――1着は必然、2着は偶然。

     と、G�気韮叡紊砲覆辰診呂鷲�然であり、2着になった馬は偶然で今後の成績が悪くなると言うジンクスが。

     2着馬でも今後はG�気鮠,討覯椎柔�はあるが、シンボリルドルフのライバルだったビゼンニシキが皐月賞で2着後の成績を考えるとあながち嘘でも無い。

     皐月賞で2着に敗れたのでツキが落ちた原因なのか、その後の成績はご存知の通り、スワンSで故障発生して引退している。

     つまり、ストームブレイカーもビゼンニシキなどの過去の名馬と同じ様に、天皇賞・秋で差が無い2着に敗れたので、運命が変わってしまった可能性も。

     だが、ストームブレイカーは本来の予定であったマイルチャンピオンシップに天皇賞の激走による反動が深刻な様で出走回避となってしまう。

     既に秋にOP→G�侠�G�気硲垣錣發靴討い襪里如�疲労はかなり溜まっている程で、この後は短期休養を行って京都金杯で復帰するプランが立てられた。

     このままマイルチャンピオンシップに出走しても、惨敗する可能性が非常に高いので今はこの判断が正しいかは分からないので、非難されるものでは無い。

 

    「まぁ、仕方ないでしょうね。キッチリとヤマニンゼファーと争った訳ですし」
    「まだ天皇賞で17戦目だから、無理させる必要はまったく無いからな」

 

     秋子はチラチラと初雪が降る灰色の空の下で、薄い緑色のカーペット――牧草が敷き詰められた放牧地を駆けるストームブレイカーを見ながら呟く。

     秋子の真横に立ちつつ、ストームブレイカーの様子を見守っている秋名も、同意しているようだ。

     季節は既に11月が到来しており、後1ヶ月と半月程で今年の競馬は終了し、また来年の1月から競馬が開催されるだろう。

     これが秋子達の日常であり、変わらない日々が繰り返されて結果を刻み続けるのが仕事。

 

    「お母さん、そろそろエリザベス女王杯が始まるよ?」
    「ミストケープが1番人気で出走するんだから、最初から見た方が良くないですか?」

 

     それぞれ、名雪と祐一がTVにかじり付いて視聴しながら、窓際に佇んでいる子と秋名に声を掛ける。

     秋子と秋名はお互いに顔を見合わせてから、笑みと苦笑いを混ぜた複雑な表情を浮かべつつ、ソファーに移動しなおす。

 

 

     丁度、大胆的なテロップで各馬の実績と映像で紹介している所で、今年出走し、核となるエリザベス女王杯のメンバーと成績が1頭ずつ開始。

     1頭目は流星の形が非常に特徴的で、ポツポツと斑点があるベガの紹介と      実績が。

     ――春のクラシック2冠を制し、秋華賞は惜しくも2着に敗れたがここでリベンジを果たす事は出来るのか?!

     続く2頭目は、春のクラシックは惨敗続きだったが夏競馬のクイーンSで復帰戦を制して返す刀で秋華賞を勝利したホクトベガ。

     ――秋華賞を勝った勢いで初の古馬牝馬G�祇錣鮠〕�し、ベガとの評価を一気に逆転させるか!?

     そして、最後にKanonファームの生産馬であるミストケープが現役最強牝馬の称号を得るために駒を進めた。

     ――AJCCと目黒記念を今年勝利し、素質を開花させたミストケープは、ここを勝利して現役最強牝馬の座をものにするか!?

     と、一様一者のコメントをされた上位人気の3頭だが、他の馬の虎視眈々とその首を狙っているのは事実。

     だが、この3頭に敵う実績の馬は殆どおらず、実質的に3頭の争いだと言われているが、簡単に決着は付かないだろう。

     はぅ、とミストケープが1番人気だったので名雪は艶かしく息を吐き出し、満足そうな表情で秋子に話を振る。

 

    「一番人気だから、見に行けば良かったのに」
    「そうは言っても現在のオッズは4.3倍で1番人気と言われても、ね」

 

     ミストケープが4.3倍で、続いてのホクトベガ4.7倍で、最後にベガは5倍とまったく差が無い人気であった。

     実際なら2倍台になっていてもおかしくないが、3頭のオッズがそれ程ばらついていないのが原因だろう。

     秋子の本音は人気が抜けていたら見に行く予定だったかもしれないが、これだけ上位3頭のオッズが混戦だと、行く気が削がれたと思われる。

 

    「まぁ、無理して見に行く事はないだろう……うちは基本的に人手が足りない方だし」

 

     と、名雪と祐一から提案された旅行――休日を楽しんできた人物が感謝する事を恥ずかしがった態度で示す。

     名雪はふにゃ、と言う擬音が合いそうな頬を緩めた表情で、秋名のほんのりと赤くなった頬を眺めていた。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。