本日はストームブレイカーが天皇賞・秋に駒を進める時が来た。
土曜日に開催されるスワンSの案もあったのだが、結局は強豪とぶつける方を選び、天皇賞で経験を積む事になった。
蓋を開けてみれば、出走メンバーのG�犠〕�数はヤマニンゼファーの2勝にライスシャワーの1勝のみだった。
出ていたら本命になりえたメジロマックイーンはレース前に左前脚部繋靱帯炎を発症してしまい、念願の天皇賞・秋の制覇をせずに引退してしまった。
けれど、1頭の名馬が引退してしまっても競馬は回るので天皇賞・秋では次の世代へと繋げる馬の出現が期待される。
「……これはチャンスかもしれないな」
「酷い言い方になりますけど、マックイーンが引退したお陰でのチャンスですからね。本当に良いタイミングですよ」
名馬の1頭が引退されるのは惜しいが、レースではまったく別で強豪がいなくなれば勝率がグンと上がるのだから、一般人から見たら複雑な心境だろう。
そして、出走メンバーについては上記の通り、G�宜膩彎〕�は3勝でどちらも天皇賞・秋とは距離が合っていないマイル戦と長距離戦での結果。
どちらかと言うと、マイル戦を制しているヤマニンゼファーの方が適正は向いているだろう。
それはストームブレイカーにも言える事だが、重賞未勝利とG�犠〕�馬では全然違う。
逆にライスシャワーは2000m以下のレースは走っているのだが、その時はデビューから4戦のみで、性能だけで勝利していたと言える。
なので、ライスシャワーが2000m戦を走るのは皐月賞以来で、久しぶりの生粋の中距離ではどうなるか分からない。
そういう観点からすると、今年の天皇賞・秋はマイラーVSステイヤーの構造になっている。
過去にもこのような観点はいくつも合ったが、結果は半々で引き分けと言えるくらい。
だが、現在はスピード競馬が顕著化している時代でステイヤーの活躍は過去に比べると少しずつ沈んできているのだから。
「この結果次第では、ストームブレイカーのレース選択の幅が広がりますね」
秋子は頬に手を当てて緩やかな表情で思考を口に出し、秋名の賛同を得ている。
現状では1800mまでしか走っていないが、秋子の見立てでは2000m前後までなら距離は持つと思われている。
レース選択の幅が広まれば、出走出来るレース数が必然的に増えてローテーションが非常に組みやすくなるのだから。
まぁ、過去ではローテーションと距離適正が関係無く、圧勝と圧倒をし続けたタケシバオーと言う怪物が居たのだが、今後はこの様な馬は誕生しないだろう。
既に各距離のローテーションが機能している現代に全てをこなす万能馬は、その分野におけるスペシャルリストには敵わないのだから。
さて、天皇賞・秋の人気馬は意外な事にメジロマックイーンが引退したので押し出される様にライスシャワーが1番人気に。
続いてが安田記念を2連覇しているヤマニンゼファーで、3番人気は善戦マンの異名を持つナイスネイチャ。
その下には更に個性的な逃げ馬のツインターボや、ナイスネイチャと同類のホワイトストーン。
そして、ストームブレイカーが6番人気となって続いているが、上位2頭以外は正直に言うと団栗の背比べと言っても良い位。
そこを付けばチャンスはあるかもしれないが、ストームブレイカーにとっては初めてのG�祇錣覆里如∪鎖静�な負担も大きいと思われる。
「せめて、掲示板には乗って欲しいですね」
「重賞勝ちが無いから、厳しいと思っていたがこのメンバーなら掲示板はありそうだな」
「まぁ、他にも重賞馬がいるし、どうなるか分からないけど楽しみだね」
重賞未勝利で6番人気ならば十分であり、もっと人気が無い可能性もあったので観戦する楽しみはあったが競馬場には行っていない。
現在はパドックが映されており、各馬の人気と馬体重、枠番が紹介されて次の馬へと切り替わって表示されていく。
そして、ストームブレイカーが映される。
「3枠5番ストームブレイカー。現在は6番人気で馬体重は前走比−4kgです」
ストームブレイカーの栗色である毛艶が秋空の陽光で、綺麗に輝いており毛艶がこれだけ良いと言う事は絶好調に仕上がっている事を示す。
秋子はニコリと微笑んで、これで不利が無い限り勝率がアップしそうな好馬体を見て満足そうに力強く頷く。
「ここが正念場だと、調教師の方が思ったんだろうな」
「わたしがそう指示しましたので、100%になっていないとチャンスが掴めませんからね」
普段は何も注文をしない秋子が珍しく口を挟んで調教師に指示を出したので、ここを如何に本気で狙っているかが窺えた様で、調教師もその期待に応えた。
そして、パドックでは各馬に騎手が騎乗して地下道に移動し、その場から消えていった。
戻る ← →
この話で出た簡潔競馬用語
注1:ナイスネイチャ……善戦マンで有馬記念連続3着などの珍記録がある。
注2:ツインターボ……大逃げを得意とするが逆噴射での惨敗も多いが、これが魅力的としてファンが多い。