9月の中旬になり、蒸し暑かった気温は徐々に秋らしく移行し始めて、夏バテだった馬も体調を向上させてG�義阿離好謄奪廚暴仭�してくる。

     Kanonファームの生産馬も暑い時期の終わりが近付いてきたので、少しずつだが出走馬の数が増えて、それなりの結果を示す様になってきた。

     まずはオールカマーに出走したミストケープ。

     さすがに休養明けで馬体重が+10kgでは厳しかったのか、1番人気ながら6着に敗れてしまったが悲観する程でもない。

     元々、休養明けでは走らないタイプでレース数をこなしつつ、体調が良化する体質なので、予定通り一走してからエリザベス女王杯に向かう。

     続いてはサンシャインレディ。

     こちらもミストケープと同じ様に休養明けでは案外な結果が多く、父アンバーシャダイの影響か数をこなした方が成績は良い事実が現れている。

     なので、阪神芝1200mで行われたトリトンステークスでの結果――5着だったのは別に気にしなくて良いだろう。

     そして、今年の3歳馬の3頭は以下の通り。

     ブルーフォーチュン……中山競馬場10Rで行われた上総特別に出走し、10番人気で低評価ながら4着に逃げ粘った。

     エアスパイラル……札幌競馬場特有の芝1500m戦の藻岩山特別でまんまとペースに嵌った感がするも勝利を飾る。

     ヤマトノミオ……阪神競馬場で行われた新涼特別に出走したが、距離が合わなかったのか9着と惨敗。

     最後にホワイトウインドだが、あの新馬戦の一件以降は体調がなかなか仕上がらず、ローカル競馬で復帰を考えている予定。

     天高く馬肥える秋が当てはまるかは微妙な結果だが、今後の楽しみにもなる結果でもあると言える。

 

 

    「……疲れたよー」

 

     んー、とテーブルに突っ伏しながらミストケープのレース結果を眺める名雪だが、長い髪が乱れている為不気味な物体が鎮座している様にも見える。

     同じ様に祐一もダウン状態で疲労が非常に溜まっている事だろう。

 

    「……飯はどうするんだ? 秋子さんと母さんは誕生日で旅行に行ってしまったんだから」

 

     本日、9月23日は秋名と秋子の誕生日で2人は双子ではないのだが、非常に珍しい誕生日と言えるだろう。

     今年は既に3つの重賞を制覇しており、牧場経営に余裕が出てきたので普段の疲れを取ってもらう為に送り出していた。

     その為、現在は手馴れた2人が離脱中なので、スタッフと共に仕事が倍増中になってしまったのだから。

 

    「……料理出来る人は……いないか」

 

     名雪は同じ様にダウンしている2人のスタッフに視線を投げるが、サッと視線を逸らして、料理を出来ない事を示している。

 

    「あー、もう……わたしが作るよ。味の期待はしないでおいて」

 

     そう言うと、名雪は長い髪を軽く一束ねにしつつ、テーブルの上に置いたあったゴムでポニーテールに。

     冷蔵庫の中身をゴソゴソと探ってから、名雪は作るものが決定したのかドサドサと材料を取り出していく。

 

    「何を作るんだ?」
    「カレー。それとサラダくらい」

 

     名雪はカレーと言ったが、手元にはカレーのルーは所持しておらず代わりにスパイス類が大量にキッチンテーブルの上に並ぶ。

     水瀬家にはレトルト系は一切無いので、どの料理も手間が掛かっているのが殆どだが、秋子はそれを感じさせない腕を持っている。

 

    「時間が掛かるから、サラダとかはそっちでやってくれない?」
    「ああ、じゃあご飯炊くのもやっておくぞ」

 

     と、祐一が言うとスタッフはご飯を炊く為に分量を量ったり野菜を切ったりしてカレーが出来るまでの前準備に取り掛かる。

 

 

     馬の食料の1つである赤くて甘味のある人参、大きめに切られカレーに溶けないように工夫されているジャガイモ。

     飴色までじっくりと炒められ甘味が増加した玉葱、とカレーの基本である野菜が混ざり合った中に牛肉が投下されて、油を飛び散らせつつ炒めていく。

     様々なスパイス――ブラックペッパー、ターメリック、シナモン、唐辛子、コリアンダー、クミン、ニンニク、生姜などが投下される。

     そして、カレー特有の香ばしい匂いが台所からダイニングまで届き、椅子でくつろいでいる3人の鼻を刺激していく。

     とろみを増す為に適度の小麦粉を、肉と野菜とスパイスのハーモニーに混ぜ合わせつつ完成する。

 

    「出来たよー」

 

     香ばしい匂いを放ち、存在感の増すカレーに引き寄せられたのか3人はふらふらと夢遊病の様に歩いて来た。

     既にテーブルの上にはカレーが入った鍋が置かれて、周りには炊き立てご飯とサラダが鎮座中。

     名雪を除く3人は既にカレーを口に運んでおり、汗を噴出しながらがっつく勢いで食べている。

     その表情を名雪は満足そうに眺めており、暫くしてからようやく自身もゆっくりとカレーを口に運んだ。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。