福島牝馬Sは無事に終わり、出走していたサイレントアサシンも負けはしたこそ何とか掲示板に入り、僅かな賞金を稼いでくれた。
前走の京都牝馬Sの結果が悪かったので10番人気だったが、いつもの大駆けで1着から3馬身離された4着に食い込んだ。
今後も現役続行かと言われれば微妙な結果で、現在は引退か現役続行についてKanonファームで話し合いが行われている。
サイレントアサシンの進展が決定するまでに、最近出走した馬の成績を述べていく。
まずはAJCCで重賞制覇を果たしたミストケープは予定通り日経賞に出走。
だが、カラッカラッに乾いた馬場では本来の切れ味が無い事が相俟って、直線に入った途端に中団から置いていかれて8着。
日経賞での成績が良かったら天皇賞・春に行く予定だったが、今後は日本ダービーと同日に行われる目黒記念に出走予定となっている。
東京芝2500mで行われる目黒記念ならば、長い直線があるのでエンジンの掛かりが遅いミストケープでも差せる可能性がある。
皐月賞に出走予定だったエアスパイラルは何とか、抽選を潜り抜けてクラシック第一弾の皐月賞に駒を進めた。
が、3強と言われるメンバー――ビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ウイニングチケットが揃ったレース。
非常に高レベルの出走メンバーの中で勝利したのはナリタタイシンで、鬼脚と形容しがたい切れ味で前で粘るビワハヤヒデを一刀両断。
ガレオンに斜行されたにも関わらず、一瞬の切れ味を目の前で見せ付けられた格好となり、エアスパイラルは18頭中10着だった。
今後の予定は白紙状態で、500万下から出直す算段の方が遥かに高いだろう。
続いてはクラシック路線に乗っていたブルーフォーチュン。
萌黄賞を勝利した後はジックリと乗り込まれて、フィリーズレビュー3着から桜花賞に直行したが、まったく相手にならず惨敗。
勝ち馬のベガから1秒も突き離された14着で見る所も無く、さすがに魔の桜花賞ペースと言われる中で逃げるのは厳しかったようだ。
現時点はOPクラスに在籍中なので、6月中旬まで調教して1000万下から出直すプランが。
と、重賞に出走した馬の結果はこの通りで1つも勝利していないが、現時点で2勝もしている今年のKanonファームが幸運に恵まれているだけ。
今後は重賞制覇を継続させていかなくてはならず、ある意味これからがKanonファームの本当のスタートと言えるだろう。
続いてはストームブレイカー。
前走のバレンタインSを格上挑戦で勝利したので、今回出走した東風Sは正念場になると思われたがあっさりと2連勝を飾る。
父サクラユタカオーの影響が出てきたのか、マイル前後で走りそうな馬体に少しずつパワーアップしているようだ。
調教師曰く、この調子ならば秋には本格的な走りで重賞戦線を走り抜けられると太鼓判を押された。
3歳牝馬のヤマトノミオは伏竜Sに出走したが、どうもOPの壁が高いのか12頭中の10着とバイオレットSに続いての惨敗。
今後の予定はまったくの未定で地方遠征の手段もあるが、現状では厳しいと言わざるを得ない。
最後に1月にダートを走った以来のサンシャインレディ。
3月に行われた牝馬限定戦のうずしおSで鼻差の2着になり、次走の船橋S――芝1200mでも半馬身差の2着だった。
今後も短距離路線でそれなりの活躍が見込まれているが、重賞戦線では厳しいと言う見解。
さて、その間にサイレントアサシンに関する話し合いはそれなりに進展が進んでいた。
「ここで引退させると、エース馬がミストケープだけになるのはキツイと思うが」
「ストームブレイカーもいますけど、まだOPになったばかりですから過度な期待は出来ませんし……」
未だに話し合いは平行線を辿っており、サイレントアサシンの引退が決定するのは困難を極めている。
現在の3歳馬ではエースと言える馬はおらず、古馬に頼るしかないのが現状。
クラシックに出走出来ただけでも日高の牧場としては僥倖だが、やはり競馬なので勝たなくてはならない。
ふむ、と秋名は一旦、浮かび上がったメリットとデメリットをまとめる為に秋子が使用しているノートに記していく。
メリットは、今年から種付けが出来るので空胎のまま牧場に置いておく必要が無く、次世代に血を多く残せる可能性が高い。
引退させないデメリットは、来年まで現役続行だとすると現在の年齢が6歳――旧年齢で7歳馬なので来年は既に大台に乗ってしまっている。
厩舎に対する預託料もあるので、メリットよりもデメリットの方が量は多く、そうなると現役引退の方に傾きつつあるのが人情だろう。
決して安くない預託料を余裕で毎月払える程、Kanonファームの懐は潤っていないのだから。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。