萌黄賞に出走したブルーフォーチュンは距離短縮が幸いしたのか、上手く逃げ切りを収め、これで5戦2勝。

     これでOPクラスに昇格しクラシック路線に乗れたのだが、距離適正の面からすると桜花賞がギリギリと思われる。

     現状の本賞金――800万では抽選になるので、どこかで優勝するかトライアルで出走権利を得ないと厳しい。

     主なライバル馬としてはベガとホクトベガ――二騎の織姫星、阪神ジュべナイルフィリーズの勝ち馬スエヒロジョウオーなどが。

     現在2月の時点で挙げられるメンバーは上記の3頭で、やや混戦気味と思われるのでブルーフォーチュンにもチャンスがあるかもしれない。

     ただ、先程も言ったとおり距離適正がギリギリだと思われるので、クラシックのチャンスは桜花賞のみしか考えられない。

     或いは、クリスタルカップかファルコンステークスからNHKマイルカップに回る手段もあるが逃げ馬にとっては東京芝1600mは非常に厳しい。

     ただ主戦騎手によると、溜め逃げが出来る脚を持つのでもうちょっと距離が合っても平気だと進言が。

     それでも1800mくらいまでが限界と言われたが、それでも望みがあるので桜花賞は上手く騎手が能力を引き出せば良い所までは行くだろう。

 

 

     そして、今週はストームブレイカーがバレンタインSに、エアスパイラルがきさらぎ賞――G�靴暴仭�。

     土曜日に行われたバレンタインSは上手い具合に馬群から抜け出して、ストームブレイカーが8月以来の勝利を挙げた。

     これで4勝目となり、OP馬になったのだがこの壁はどれだけで突破出来るかは不明だが、父サクラユタカオーの影響で古馬になっても成長する余地あり。

 

    「これで今月は2勝目ですね」
    「徐々に成績が良くなっていくと安心出来るな……まぁ、もっと成績が上昇すれば良いんだがな」

 

     先月も2勝と安定した成績になってきており、この成績が長い間続けば良いのだが、一時的な可能性も高く安心は出来ない。

 

    「まぁ、きさらぎ賞の結果次第で今年は5勝目になるからね、それに重賞2勝目のおまけ付きで」

 

     名雪はあくまでも重賞制覇はオマケだと言い切って、通常レースの方が大事だと言いたげ。

     実際に重賞制覇は過程で取れるもので、運で1回は制覇しても2勝目は勝てない事が多いのだから。

 

    「今回のメンバーは……これと言ったメンバーがいないし、混戦気味だからチャンスはあるな」

 

     朝日杯フューチュリティステークスの覇者であるエルウェーウィンは故障、2着馬のビワハヤヒデは前週の共同通信杯でまたも僅差の2着。

     なので、きさらぎ賞はメンバーが非常に手薄。

     現在の人気は13頭中5番人気と、1勝馬にしては随分と上位人気の方で殆どの馬が2勝馬なのが幸いしている。

     騎手は前走と同じくイギリスから来日して滞在中のエドガーで、前走でエアスパイラルの能力を把握しているだろう。

     入れ込んでいる様子も無く、力強くパドックを闊歩している訳でもなく淡々と歩いている。

 

    「調子は……良いのか悪いのか微妙に分かりませんね」
    「入れ込んでいない分、マシだと思うけどレースはどうなるかな?」

 

     前走の反動――見えない疲労が残っているかもしれないので、結果が出るまでは安心していられない。

     きさらぎ賞の結果次第でクラシックに乗るか乗らないかが懸かっているのだから。

 

 

     そして、レースの時間がやってきた。

     エアスパイラルは2枠2番――偶数なので奇数番号の馬が入ってからゲート入り。

     最後に大外――13番の馬が入って数秒後にゲートが開く。

     エアスパイラルはスッと綺麗なスタートを切り、3番手からレースを進める。

     逃げ馬は1頭も居ないが、誰も行かないことを確認するなり先行馬が小気味良く脚を伸ばす。

     1馬身、2馬身と差を着けたところで、騎手は手綱を軽く引いて脚を持たす為にその場でリードさせている。

     エアスパイラルの後方には10頭居るが、ちょっと隊列が縦長にバラけてややハイペースな様子を醸し出す。

     1頭の馬が仕掛けた事でスロー寄りのペースが変化してしまい、先行馬のエアスパイラルには厳しい展開。

     1000mの通過タイムは59.2秒。

     このペースでゴールまで行くと1:48秒台で決着になるだろう。

     そして先行を駆けている馬は3コーナーに入り、京都競馬場特有の下り坂をゆっくりと下っていく。

     他馬も無理せず慌てずに下って、残り400mを示すハロン棒を過ぎて直線に入る。

     エアスパイラルの騎手――エドガーは徐々に手綱を扱いて、3番手から2番手に上昇。

     中団に待機していた差し馬がエアスパイラルに馬体を合わせて、更に外からも競り合わせてくるが、逃げ馬はまだ脚に余裕あり。

     ここで脚を使う訳にもいかないが、競り合っている状況で下手に下げると気力が萎えて負けてしまう。

     残り200m。

     逃げ馬を捉えて、差し馬を押さえ込もうとするが内枠沿いの荒れた芝の上を駆けて来る馬に差し切られてしまう。

     勢いに違いがあり、既に決着は付いたと言えるのだが2着の席だけは譲れず優勝馬から1.3/4馬身の差で何とか本賞金を上乗せ出来た。

 

 

     戻る     ← →

 

     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特になし。