天皇賞・秋の熱戦が終わっても、翌週には別レースが開催されており、余韻を楽しむ間もなく、競馬は動き続ける。
とはいえ、競馬関係者や観客の間でも話題となっており、あれ位の接戦が多く見られれば、という意見が出てくるのも必然。
流石に毎週あれだけの接戦を演じるのは不可能に近く、相手関係も揃って、ライバル関係としての“物語”がなければ盛り上がらない。
“人為的に作られた物語”よりも“自然に生まれた物語”の方が好まれるので、競馬協会はその辺に関しては一切介入しておらず、次の物語が生まれるのを待つしかない。
案外、今年の2歳馬からライバル関係が生まれる可能性もあるので、そう悲観したものではない。
そんな訳で天皇賞・秋とエリザベス女王杯に囲まれた合間――武蔵野ステークスなどが今週開催される。
とはいえ、武蔵野ステークスはダート路線なので現在のKanonファーム生産馬には適した馬が居ない。
日曜日に開催されるアルゼンチン共和国杯には本来なら、ホワイトクラウドが出走しても良さそうだが、オーストラリアのメルボルカップに出走した為、検疫も含めて不可能である。
因みに結果の方は22頭立てと今の日本競馬に見受けられない圧倒的な出走頭数の中で、2006年にデルタブルースが勝利している事もあって、1番人気に支持されていた。
が、勝った馬は14番人気で2着も7番人気、3着に9番人気と大波乱の演出となり、ホワイトクラウドは6着と掲示板外に敗れてしまう。
ハンデは54kgと軽い方だったが、勝ち馬も同ハンデで2着と3着が51.5と軽量を生かした走りだったと記しておく。
この結果ではホワイトクラウドの遠征とハネダニマケナイの欧州遠征は失敗かもしれないが、得た物はあるので、結果だけでは失敗と言えない。
そんな訳で、この2頭は来期に備えて早々と放牧が確定となり、年末の有馬記念出走は不可能となった。
予定では2月の京都記念か、1月の日経新春杯辺りが目処とされている。
まぁ、予定通りいかないのが競馬なので、ガラリと復帰戦が伸びる可能性もあるのだから。
今週のKanonファーム生産馬の出走はフユノハナビが福島芝2600mの磐梯山特別に出走。
前走は10番人気ながら6着と春の2戦よりは調子が戻ったのか、2連勝した時以来の走りを期待出来る。
距離はデビュー以来の最長となり不安点として挙げられるが、前走の摩周湖特別よりも向いていると評価されている。
「久しぶりに勝てると良いんだが」
「寒くなって調教駆けもするようになったし、期待しても良いぞ」
祐一はその様にフユノハナビの現状を評価するが、調教タイムなども逐一聞いている名雪としては本番次第だろう。
10月末辺りからフユノハナビの調教タイムはグンと良くなり、併せ馬を行うと相手を軽く煽ってしまう力強さも見せ付ける。
元から調教数は多かったので、短期間で11月8日の磐梯山特別に標準を合わせなくてもキッチリと仕上がった。
「ここをサクッと勝ち上がっておきたいけどな。相手関係はそこまで集まって居ないし、勝ち上がれる割合は高いと思う」
出走馬としても福島の芝2600mという長距離なので、メンバーが揃っておらず、前走の勝ち上がり馬が1頭だけという状況。
手薄メンバーなので、2連勝時にブラックシェルなどを破った時の走りさえ発揮すれば、確勝という評価がされている。
とはいえ、冬馬という事はまだ分からないので、評価は定まっていないともいえた。
が、オッズは10.8倍の6番人気と馬券購入者からはそれなりに評価されており、穴馬候補としては悪くない人気。
後は前走よりも何処まで着順を上になるかだけだった。
磐梯山特別の発走時間となり、各馬がゲート内に収まっていく。
向こう正面からのスタートで福島競馬場の芝コースは1週1600mなので、磐梯山特別の場合、1度ゴール板の前を通過する。
これが中央のG�汽譟璽垢世辰燭覆蕕弌�観客の大歓声に入れ込んでしまう馬もいたかも知れないが、ローカルの福島ではそこまで歓声も響く事がない。
さて、フユノハナビは5枠7番とやや外寄りとなる枠だったが、芝が少し荒れた状況では悪くない枠。
スタートが切られると、フユノハナビは良くも悪くもない出で、軽く騎手の手綱を通して動くと、7番手辺りの中団に付ける。
荒れた馬場を走らないようする必要もあるが、小回りの2600m戦なので、スタミナ消費は承知の上で、馬場の内ラチから3〜4頭分の位置を走る。
外に行きすぎると距離ロスが生まれてしまうので、後は2回目の3コーナーから4コーナーに入る辺りで外に出した方がスタミナは残る。
そして、展開はスローペースで流れており、逃げ馬がいない分、自分から動かないと差し損ねてもおかしくない。
残り1000mとなり、徐々に後方の馬にも動きが出てきたが、フユノハナビは内から外に向かう為に、騎手が手綱を動かし、位置取りが入れ替わる。
前の方はガッチリと固まっており、このまま行っても外に持ち出すのは難しいので、外に進出して前を捕らえかねる勢い。
だが、祐一は前の6頭を射程内に捕らえた辺りで、外を走る6番手の馬体に外から半馬身程寄せて、位置をキープ。
フユノハナビが外に位置づけた事で、前の馬は早めに仕掛けて外に持ち出さないと外からの圧力が掛かったまま、芝が荒れた内を走り続ける事に。
そして、4コーナーに入る直前までフユノハナビはその位置から動かなかったが、直線に入る間際で祐一の鞭に反応し一気に脚を伸ばす。
その勢いを維持したまま、フユノハナビが押し切って磐梯山特別を勝利した。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。