第138回天皇賞・秋。

     出走馬の全頭――18頭が重賞勝ちの実績を持ち、例年になく好メンバーが揃った。

     そのうち、6頭がG�汽曄璽垢韮�/3を占めているので、ここまで分散せずにG�鞠呂�揃う事は近年でも少ない。

     路線整備された現状だが、マイルから長距離向きの馬でも戦える可能性があるのが天皇賞・秋と宝塚記念くらい。

     本来なら、今年の宝塚記念を制したハネダニマケナイが出走してもおかしくないが、フランスのロイヤルオーク賞に出走し、直線で良く粘ったが5着に敗れてしまった。

     距離の問題は無いが、タフな馬場が合わなかった可能性があり、欧州競馬は厳しいという事が伺える。

     閑話休題。      ハネダニマケナイが遠征の為、天皇賞・秋には出走不可能だが、それでもG�鞠呂�7頭もいるので、見応えのあるレースを演じてくれるだろう。

     ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイ、ラストフローズン、アサクサキングス、ドリームジャーニー、トロピカルサンデーの7頭で15勝。

     ドリームジャーニーを除く5頭が王道――クラシック、古馬中距離路線を制しているのでレベルの高さが伺える。

     人気というとウオッカとダイワスカーレットが牡馬を抑えて、1番人気と2番人気を占めており、オッズもこの2頭で1.5倍と圧倒的。

     続くのがディープスカイで4番人気にラストフローズンだが、1番人気と2番人気に比べると大きな差が。

     流石に3歳牡馬同士では厳しいと見受けられているのか、ラストフローズンはオールカマーで初古馬戦を経験した分、少しばかり有利な点だろう。

     ディープスカイは神戸新聞杯からの出走で現在4連勝中の為、勢いを維持したまま。

     アサクサキングスは去年の菊花賞以来勝ち鞍は無いが、今年の成績は3着→5着→5着と掲示板は外しておらず、安定した走りを見せている。

     ドリームジャーニーは朝日杯フューチュリティステークス後の成績は良くなかったが、小倉記念と朝日チャレンジCを連勝して復調している。

     トロピカルサンデーは今年のヴィクトリアマイルを制しているが牡馬路線は案外な結果なので、離れた7番人気。

     残りの11頭も重賞を制しているが、実績面ではどうしても上位7頭に敵わないので、オッズの差は大きく開いている。

     とはいえ、これだけのG�鞠呂�出走して、そのまま上位人気順になる割合はほぼ無いので、下位人気の馬も虎視眈々と狙っているだろう。

     伊達に天皇賞に駒を進められる実力はあるのだから、展開次第ではガラリと結果が変わる――上位人気が牽制し合って終わる事もあり得る。

     強い馬が勝ちきると限らないのが競馬で、特に天皇賞・秋は昔から波乱が多く、人気薄の大駆けで1番人気が惨敗という歴史を繰り返してきた。

     2002年の東京競馬場改修によって、上位人気が勝つ割合はわりかし良くなっており、2003年から1番人気は3勝している状況。

     そうなると、去年のメイショウサムソンに続く1番人気の勝利も期待される所だろう。

 

    「去年のクラシック路線でぶつかった牝馬が天皇賞・秋に一堂するなんて、滅多に無い事だし、歴史に残りそうね」
    「大抵はエリザベス女王杯に駒を進めますし、陣営にとっては牝馬タイトルは既に不要なのでしょうね」

 

     と、記者席からパドックを眺めている美坂姉妹が軽く感想を述べており、仕事の為なので、香里はちょくちょくとメモを取ったりしている。

     栞はパドック周回中の撮影は不要なので、既に道具などを一纏めにして直ぐさま移動出来るようになっており、後は馬場に移動するのみ。

     馬場と柵の間にある撮影ゾーンに入れるのはカメラマンの専売であり、勝ち馬のウイニングラン後にも撮影があるので、早めに移動するに限るだろう。

 

    「本馬場入場の撮影がありますし、そろそろ私は移動しますね」
    「はいはい、そっちの方は何時も通り任せたわよ」

 

     栞はそういって慌ただしく荷物を片手に移動を始め、香里は記者席に座ったまま、各陣営の情報をチェックし続けた。

 

 

     1.57.2……今年の天皇賞・秋を先頭で駆け抜けた馬が叩き出したレコードタイム。

     凝縮された走り――G�鞠呂慮悗蠅�生み出したタイムであり、2着馬もほんの僅かな差で敗者になってしまった。

     死闘というべきもより、お互いの執念をぶつけ合った結果で、悔いのない結果なのは確実だろう。

     その差は僅か数センチの鼻差で、写真判定は20分近くにも及び、どちらの陣営も気が気でなかっただろう。

     そして、電光掲示板に表示された馬番は――14。

     即ち、ウオッカが第138回天皇賞・秋の栄冠に輝いた。

     どの馬も死力を尽くした結果であり、1着のウオッカから6着のトロピカルサンデーまで0.1秒差という結果。

     これだけの接戦となれば、観客の興奮は簡単に収まらず、見た者の記憶に残るレースだろう。

     2着のダイワスカーレットが他の馬だったら、この物語は成立せず、ウオッカが勝利したという印象が残るのみ。

     3着のディープスカイと4着のラストフローズンもライバル関係の形を見せたが、僅かにディープスカイの方が先に出ていた。

     こうして、18頭による第138回天皇賞・秋はウオッカの勝利となり、記憶に刻まれた事だろう。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。