北海道では秋の訪れにより涼しくなったとはいえ、まだ地域によっては夏と変わらない気温が続いている。
この時期になると各牧場で鋭気を養っていた馬は帰厩の為、馬運車に揺られて各トレセンに戻っていく。
とはいえ、まだ札幌競馬場では開催されており、10月初めまで札幌競馬場の出張馬房に入っている馬も多い。
Kanonファームの生産馬で夏からずっと札幌競馬場に滞在しているのは、フユノハナビ只1頭。
涼しくなった札幌で滞在の為か、徐々に2連勝時の動きになってきたようで、機敏とした走りを披露し始めている。
「流石に勝ち負けにはまだ厳しいけど、徐々に仕上がって来ているな」
普段から騎乗している祐一からしてみれば、ガラリと変わった所があるとは言えないが、少なくとも変わり身に期待出来るのだろう。
「もうちょっと気温が下がれば、好走も期待出来るか?」
「そうですね……雨が降って気温が下がったならば、チャンスはあると思いますよ。ただ、天気予報が当らないとどうしようも無いですから」
基本的に札幌付近の降雨率はそれ程高くなく、今年は9月3日に降ったのみで、それ以降は秋の晴天が続いており、気温も徐々に下がっている状況。
「天気は当らないと意味無いからな。競馬の予想並みに当らない状況では気温が下がるまで待つしかない」
「まぁ、どれくらいの気温になると走る気を出すとかを確認した方が良いのでは? 調教と実戦では全然別物ですし」
「そうなると……時間的には最終レースの方が涼しくなるだろうし、10月のライラック賞か摩周湖特別がベストか?」
調教師の出したレース案は2つ。
ライラック賞と摩周湖特別であり、このレースの差異はハンデ戦と定量戦、僅かな距離差となる。
共に1000万下のクラスで、芝2000mと芝1800mとなっており、どちらも古馬混合戦となっている。
距離に関しては問題無くこなすと思われ、古馬混合戦なのは仕方ない条件だが、出来るだけ斤量が軽い方を選択したい所。
「摩周湖特別なら53kgで、ライラック賞は……ハンデキャッパーがどう判断するかだが、53kg前後だろうな」
「どちらの斤量でも乗れると思いますけど、今の所は10月の騎乗予定は不明ですから、取り敢えず空けておいてくださいよ」
基本的に祐一はエージェントを頼らずに騎乗馬を確保しているので、リーディング20位以内の騎手としては珍しいタイプ。
同じく、佐祐理もエージェントは居ないので、2人ともスケジュールを上手く管理して、調教師に嫌われない性格なのが幸いしている。
そして、何よりも運が非常に良いいので、お手馬が同時に東西で出走する割合が少ないので、被る事が滅多に無い。
逆にいえば騎乗依頼が少ないともいえるが、ちょくちょく穴を開けており、人気薄でも掲示板には載る事が多いので、中小馬主からは人気がある。
「分かった。取り敢えず空けておくが、水瀬社長からは何か言われないのか?」
「あー……直前で約束を反故しない限り大丈夫ですよ。そんな事をしたら、2度と乗せて貰えなくなりますし、それに名雪を怒らせると怖いですから」
さらりと酷い事をいうが、怖さを知っているのは従兄弟である祐一に、親戚となった佐祐理だけなので、多くの競馬関係者が知らない事実。
閑話休題。
「来週か再来週には決めますので、その時に連絡します」
「ああ、早めに連絡してくれよ? そうじゃないと別の騎手に依頼する事になるからな」
そういって、祐一と調教師はフユノハナビの次走に関する話し合いを終えて、パッと別れていった。
さて、今週の競馬は札幌芝1200mの新馬戦にブラッドハウンドが出走する。
父はアグネスワールドで、母はフォックスハウンドとサンユベールの半弟としてデビュー戦を迎える。
アグネスワールドは国内のG�犠,舛海縮気い�、アベイ・ド・ロンシャン賞とジュライCの海外G�気鬘仮,靴討�り、共に欧州では歴史のある直線G�機�
ただ、種牡馬としては今ひとつで、重賞馬は3頭――そのうち1頭がシャトル種牡馬として豪州でG�鞠呂鯒攴弌�
なので、ブラッドハウンドは短距離向きと見られており、まずは1200mの芝でどれだけ走るかを確認といった所。
調教タイムはラスト1ハロンが12.9秒と今ひとつ走る気が無いので、実戦では変わり身に期待出来るか、といった所で人気は10頭中6番人気。
「調教は悪くはないが、まだ7割位の仕上がりだと思うから掲示板に載れば上々。まぁ……まずは無事に回ってきてくれ」
騎手は簡単な指示を受けたが、全馬初出走となるので、どんなレース振りになるか分からない所もあり、指示としては間違っていない。
そして、レース発走となる。
道中は馬群に包まれたままだったが、直線に入るとサッと馬込みを抜け出して外に進路を付けるも、案外伸びず敗れてしまった。
2歳新馬らしく、道中はバタバタした走りだったが、騎手の評価としては手綱への反応が良いのでそれなりには走りそうとの事。
Kanonファームの06年産として、1番槍として出走を果たしたが、残念ながら6着と掲示板にも載らなかった。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。