宝塚記念に出走したKanonファームの生産馬の結果は以下の通り。

     ホワイトクラウド……2番人気3着。

     ハネダニマケナイ……3番人気1着。

     トロピカルサンデー……6番人気7着。

     ハネダニマケナイが宝塚記念を制し、これで菊花賞以来となるG�毅仮〔椶箸覆辰拭�

     3コーナーから最終コーナーの半ばから捲り、早めに抜け出しての押し切り勝ちとスタミナを生かしたレースで勝利。

     ホワイトクラウドも逃げという脚質を生かして、悠々と逃げ切りを計ったが、人気の逃げ馬という事もあって目標にされてしまった。

     トロピカルサンデーは中団から進めていたが、直線では思ったよりも伸びず、交わされもせずに雪崩れ込んだ感じにゴールしている。

     とはいえ、突き放された形ではなく、1着馬のハネダニマケナイから0.3秒差と大きく負けた訳ではない。

     この後のローテーションは変わらず、天皇賞・秋を目標として、宝塚記念後は9月まで放牧という運びに。

     ホワイトクラウドとハネダニマケナイも放牧に出されるが、今の所はローテーションが確定しておらず白紙状態。

     共に天皇賞・秋では距離が合わないという事もあって、難儀しているのも理由。

     既にラストフローズンとトロピカルサンデーの目標として、天皇賞・秋が挙がっているので、これ以上出走をさせるとつぶし合う未来しか見えない。

 

    「走る馬が揃うとここまでローテーションの選択が大変とは……わたしには嬉しい悲鳴しか出てこないな」

 

     Kanonファームの生産馬は上半期のみでG�気鬘款 宗什�花賞、皐月賞、ヴィクトリアマイル、宝塚記念と過去最高の成績。

     G�兇硲猫靴世韻任癸款,靴討�り、ここまでの成績になったのは努力が実を結んだ事だろう。

     とはいえ、この成績を維持したままで秋競馬に持ち込めれば、2008年はKanonファームにとっては最高の結果になるが、そうは問屋が卸さない。

     大手牧場が指を咥えて眺めている訳もなく、虎視眈々と牙を剥く時を窺っているのだから。

 

    「2歳馬も走ってくれれば夏も楽しめそうだし、ここで働いてから10年目で1番良い結果が見られそうだなぁ」

 

     上半期だけで重賞を8勝もすれば、北川や一弥、スタッフも頷いてしまう程の勢いを保っている。

     気を抜く訳にはいかないので、名雪はサッと纏め上げるとスタッフを仕事に送り出す。

     既に後半戦は始まっており、ここから成績を維持させるには日々の調教が明暗を分けるので、効率よく動く必要が。

     今の成績を支えている施設――坂路の有効性もあるが新たに改修して、勾配差を3mから5mに変更するプランも浮上している。

     これもG�気鬘款,靴進�の賞金を回す事が出来るからで、大手牧場も施設改修や繁殖牝馬を海外から購入しているので、追いつくのは難しい。

     それでも追いかけなければ日高地区の復権は望めないのだから、留まっている訳にもいかない。

 

    「……勝利を重ねていく程、やる事が増えていくな」

 

     名雪は独りごちてから妙に悩ましく色気のある溜息を深く吐き出すと、気合を入れ直して、目標であるダービー制覇に向かって突き進みだした。

 

 

     夏競馬の開幕とあって、ローカル競馬場が活性する時期でもあり、特に3歳未勝利馬は秋までに勝ち上がらなければ、“引退”という憂い目に合う。

     そのため、未勝利馬が所属する陣営は目先の1勝を得る為に、数少ない出走枠を巡って抽選を潜り抜ける運も必要に。

     とはいえ、殆どの馬が勝ち上がるKanonファームにとって現状では関係無い事柄。

     なので、Kanonファーム生産馬の夏競馬は如何に勝ち上がってOPクラスに昇格出来るかという内容。

     OPクラスではない馬はフユノハナビとソニックブームの2頭。

     共に2勝しているが、降級しているので500万下からの再出発なので、能力的には負けている所は無いが、前走勝ち挙がってきた馬には勢いで負ける。

     特にフユノハナビは新馬戦と福寿草特別を2連勝し、牝馬クラシックに乗るかと思われたが、毎日杯と白百合ステークスで惨敗し、早熟と思われる。

     とはいえ、4戦とも騎乗している祐一からの評価は馬体が冬に比べると硬くなっているという。

 

    「馬名通り、暖かくなると駄目になる典型的な冬馬だと思うぞ。とはいえ、ある程度はレース勘を積まないと駄目だけどな」
    「狙って馬名を付けた訳ではないんだが……まぁ、当分は騎乗を続けてもらうが、問題は無いな?」
    「そりゃあ良いけどな。降ろされるかと思ったが、今回に限っては辛抱があるな」
    「わたしはそこまで鬼ではないんだがな……ともかく、フユノハナビに関しては任せる。で、ラストリグレットの乗り味はどうだ?」

 

     名雪は期待の2歳馬であるラストリグレットに関して、まだ調教でしか騎乗していない祐一に質問を投げ掛ける。

     そして、帰ってきた答えはデビュー戦まで待っていろ、という至極単純ながら説得力が込められていたと記しておく。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。