ラストフローズンが皐月賞を制し、サンユベールの桜花賞に続くＧ�毅河⊂，箸覆辰拭�
クラシック２週連続勝利はKanonファームでは初達成であり、これは秋子も成し遂げていない記録。
こうした記録を積み上げた事は名雪の実績が秋子に近づいた事を示す結果であり、名雪としてはホッと胸をなで下ろした事だろう。
既に今年は５個目の重賞制覇で、去年の海外制覇を含めた６つの勝利よりも遥かに速いペース。
とはいえ、桜花賞と皐月賞を連勝した事で、大手牧場の警戒が強くなり、徹底的にマークされるのは確実だろう。
特にオークスとダービーでは連勝されないように、マークされる立場になったのだから、それを制しなければ勝利には程遠い。
共に距離延長には不安がある血統なので、何処までやれるかが問題として重くのし掛かってくる。
「さて、これでオークスとダービーは徹底的にマークされる立場になったな。逆に言えば、うちが大手から警戒される立場になったと言う事だ」
嬉しい事案だな、と名雪は中小牧場であるKanonファームが大手牧場から狙われる事を嬉しそうに語る。
大手には大手のプライドがあり、他牧場にＧ�祇�覇をされないように成長し続けて、途中で立ち止まる事は許されないのだから。
それがトップを走る牧場の宿命なので、桜花賞と皐月賞を制したKanonファームにも目を向けなければならなくなった事だろう。
「いや、本当にこれからが厳しそうですね。僕はその方がやり甲斐があって良いんですけど」
元から牧場作業に慣れている一弥にとっては、これからの過程の方が現状よりもやり甲斐を感じるようだ。
勿論、他の従業員もやり甲斐を感じているようだが、名雪と一弥にベテランほどでは無いのが実情。
いきなり、大手牧場から警戒される立場と言われても数ヶ月程の新人従業員ではピンと来ないだろう。
従業員の中にはざわめく者が居るが、ベテランにしてみれば長く勤めている牧場が、大手を振り向かせたとなれば感傷深いに違いない。
とはいえ、Kanonファームは中小の中では上位に位置する実績なので、そこまで突拍子でもない。
「取り敢えず、ダービーとオークスまでまだ日数はあるが、最後まで気を抜かないようにな」
皐月賞と桜花賞を制して、まだ日数はそれ程経っておらず、祝い事も行っていないので、フラストレーションが溜まっていてもおかしくない。
けれど、そこらは全員が良識のある大人なのだから、名雪がいう必要は無かった。
来週には天皇賞・春が京都競馬場で開催されるため、既に競馬新聞では１週間前の調教タイムに騎手や調教師のコメントが掲載されている。
とはいえ、１週間前なのでハッキリとしたコメントは少なく、最終追い切り後まで調子関係のコメントは貰えないだろう。
何処の陣営も距離に不安を持つが、最近の天皇賞・春はスローペースから直線でよーいドンの瞬発力勝負なので、そこさえ凌げば勝算はある。
という類似コメントがよく目に付く状況だが、特にホワイトクラウドの陣営は早々と逃げの宣伝をしている。
元から逃げ馬なので、それ以外の道は無いのが現状だが、コメントには大逃げとまで細かく書かれていないので、他陣営には判断付かないだろう。
どの様な逃げもこなすタイプなので大逃げするか、他馬を引き付けてじんわりと差を離しても問題無い。
逆にもう１頭のKanonファームからの出走馬――ハネダニマケナイは先行から中団辺りに付ける事が出来るので、こちらもペース次第で位置取りが変わる。
この２頭が上位人気を分け合うと思われるので、展開次第で１着２着を独占してもおかしくない。
今週の競馬はオルタナティブが葵ステークスに出走。
本来は１６００ｍ向きの成績だが、１４００ｍでは２戦して２着３着と掲示板は外していない。
前走のこぶし賞で京都競馬場での勝利を挙げており、かえで賞でも３着に入っているので、コースの相性は問題無いだろう。
その為、人気は僅差の５番人気と支持されている。
これといった実績を持たない馬が多いので抜き出た支持を受けた馬はおらず、混戦と言い切れる位。
オルタナティブの成績なら勝ってもおかしくない程で、如何に短距離路線は手薄かが伺える。
そして、結果の方は実績通りというべきか、オルタナティブがＯＰ特別である葵ステークスを勝利。
着差は３馬身と突き放しており、タイムは１:２０.２とそこそこ優秀な時計を示した。
これで５戦３勝と１６００ｍまでの安定っぷりを見せ付けた格好で、まだ重賞出走こそは無いが、それなりに期待を出来そうな走りだった。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。