スマートストライクを父に持つ、サンユベールが桜花賞に出走。

     父はミスタープロスペクターの直仔で、自身は1400m〜1700mまでのレースをこなしており、その中にハンデ戦ながらG�犠,舛�含まれている。

     多くの産駒は米国で成功しており、ほぼダートで好成績を収めているが、イングリッシュチャンネルが去年、ブリーダーズカップターフを制した。

     つまり、芝馬も一流を出せる下地を持つ事を証明しており、ここでサンユベールが桜花賞を勝てる可能性がある事を示している。

     とはいえ、輸入された活躍馬は現状ではサンユベールとブレイクランアウトのみ。

     持ち込まれた産駒数が少ない中で重賞馬2頭輩出したのは、成功と評価するかどうかだろう。

     そんな訳でサンユベールには桜花賞制覇の期待が掛かっているといえる。

     現状では実績面から見ると上位で、チューリップ賞を制した事で阪神ジュベナイルフィリーズを制したトールポピーとの差があるのを見せ付けた。

     前走が初の重賞制覇とはいえ勢いだけではない結果なので、どの競馬新聞も本命と対抗がずらりと並んでいる。

     距離に不安が無く、阪神芝1600mの成績は2戦1勝2着1回と連を外していないのが、人気の理由だろう。

     半姉のフォックステイルが府中牝馬Sを制している事が、距離の不安を払拭している要因。

     オークスでは距離に不安が残るが、1600mの桜花賞では血統面からして1番適していると思われるのだから。

 

    「去年のトロピカルサンデーはダイワスカーレットとウオッカの強豪2騎に敗れた3着だったから、今年は勝利して欲しい所だ」
    「あはは……私には当てつけの様に聞こえるけど、ちょっと傷付くなぁ」

 

     佐祐理は降着による騎乗停止中のため、名雪と共に桜花賞を観戦中であり、桜花賞のお手馬は居ないが、本来騎乗予定だった馬が勝利して凹んでいる最中。

     とはいえ、勝った騎手は代打騎乗なので、再び佐祐理の手に戻るだろうが、結果を残さなければ下ろされるのは確実。

     競馬では良くある事なので、手放して結果を残せなかった佐祐理の方が悪いのだから。

 

    「さあ、どうだろうな?」

 

     名雪は軽く鼻を鳴らすと、中山競馬場で発送前となるレースをターフビジョンで眺める。

     中山競馬場には春雷ステークスにバックドラフトが出走しており、バレンタインステークス以来となる。

     前走は10番人気ながら、キッチリと先行抜け出しで勝利しており、本格化を思わせる走りだった。

     現状なら、1200mも行けると思われたのか3番人気に支持されている。

     エアジハードの血らしく、徐々に成長してきただけあって、雄大な馬体で再び先行抜け出しで楽勝となった。

     2馬身と差は大きくないが、鞭を1発振るわれるとサッと抜け出す辺り、レース経験が出てきた走り。

 

    「おめでとう、名雪。これなら安田記念でも期待出来ると思うけど?」
    「ありがとう。まだ、ローテーションは分からないが狙いにいっても良いかもしれないな」

 

     まだ、OPを勝利しただけだが、少なくともこのクラスでは対等に戦える可能性を見せたのだから、ゆくゆく先は重賞制覇だろう。

     そして、着々と本命である桜花賞の発走時間が近づいてきた。

 

 

     直前までサンユベールのオッズは変動せず、2.1倍と1番人気を譲らないまま発走を迎える。

     前走のチューリップ賞でトールポピーを破った点が評価されたのだろう。

     そのトールポピーは2番人気に支持されており、オッズは2.5倍とサンユベールとそれ程の差がないオッズ。

     チューリップ賞は2着だったとはいえ、差がない結果だったので、逆転されてもおかしくないのだから。

     そして、阪神競馬場のG�汽侫.鵐侫 璽譴�鳴り響き、観客が演奏に合わせて、丸めた競馬新聞で手拍子を行う見慣れた光景と共に各馬がゲート入りしていく。

     6枠12番とやや外寄りのゲートからスタートとなり、サンユベールは順調にゲート内に収まる。

     最後に8枠18番の馬が収まって、一瞬の静寂となり、ゲートが開く。

     絶好とも最悪ともはいえない程、サンユベールは普通のスタートを切り、道中の脚を溜める為に、8番手辺りに位置を付ける。

     被されないように内ラチから3〜4頭分程の外を走っており、前に壁として適役な馬が居て、他馬が外を回らない限り、囲まれる心配は無い。

     トールポピーはやや後方からのレースで、12番手辺りとスローペースな分、前目で勝負するようだ。

     団子状態になっているとはいえ、そこまでガッチリとマークし合っている状況ではない。

     そして、3コーナーの直前となった辺りで、各馬が騎手の手綱に反応して動き始めた。

     その中で、サンユベールは数秒に満たない時間で一呼吸ほど置いてから仕掛けられて、外から上がっていく。

     現在の阪神競馬場は直線が外回りに限って、473.6mもあり、内回りと外回りのコースがぶつかって、ポケット状の空間がある。

     その為、サンユベールは騎手に誘導されて、乱れた馬込みが縦列になった瞬間、大外から僅かに内へと距離ロスを取り戻す。

     他馬が先に仕掛けていた為、キッチリと通れる程の隙間が出来てサンユベールは大外から馬場の中央辺りに。

     手応えは最後まで止まる事なく、サンユベールは長い直線という武器を利用して差し切り勝ちを収めた。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。