フラワーカップ。
中山芝1800mで開催される3歳牝馬重賞として、多くの有力馬が出走するG�掘�
とはいえ、桜花賞のトライアルレースではないので優先出走権利を得られる訳ではない。
それでもチューリップ賞に比べても遜色がない程、G�鞠呂稜攴个録�多くいる。
古くはダート戦線で交流戦を勝利し続けたホクトベガや欧州G�気鮴�したシーキングザパールにアメリカンオークスを制したシーザリオ。
他にもダンスインザムード、スマイルトゥモロー、キストゥへヴンがおり、6頭のG�気鯒攴个靴討い襪里如⊇�々に出走メンバーが増えている。
だが、今年はチューリップ賞のウオッカとダイワスカーレットにフィリーズレビューのアストンマーチャンに話題が浚われている状況。
その2つに比べるとやや小粒と見られているのが、今年のフラワーカップという訳である。
1番人気のショウナンタレントは直前のきんせんか賞を勝利しているが、既に5戦目と未知の魅力として桜花賞向けではない。
そして、2番人気に支持されているのが1戦1勝のトロピカルサンデー。
未勝利戦は初出走ながら4馬身差も付けて勝利し、ここでも実力は遜色ないと見受けられているのだろう。
何よりも桜花賞に向けて秘密兵器的な存在なのは間違い無く、未知な存在というのはそれだけ魅力的なのだから。
「2番人気か。1勝馬にしては過度な評価じゃない分、マシな方か」
現在のオッズは6.3倍とショウナンタレントが3.4倍に対して、それなりに売れているのが実感出来る。
名雪としては、05年以来の重賞制覇と人気上位馬による初重賞制覇という目標もあるので、本心には出さないが勝利を願っている事だろう。
因みにKanonファームの生産馬で上位人気馬が重賞制覇したのは、97年のアルゼンチン共和国杯のアイシクルランスまで遡らなければならない。
なので、この勝利で低迷期の終焉と本当のスタート地点に立てられる様になるのだから。
トロピカルサンデーに騎乗するのは前走と同じく倉田佐祐理。
こちらも久しぶりの重賞制覇が手を伸ばせば届く程、近づける逸材――トロピカルサンデーに騎乗しているのだから、期する所があるだろう。
前走から400mも距離が伸びたが、父はダービー馬のジャングルポケットなので、不安となる所は一切無い。
「さて、私も久しぶりの重賞制覇をしたいし、ここは何としてでも勝利しないと」
白のヘルメット――1枠を示すヘルメットを被り、Kanonファームの勝負服を着込んでいる姿は勝負師の雰囲気を漂わせる。
ここを勝たなければ桜花賞の道は途絶え、今後のローテーション――オークスへのトライアルレースを使わざるを得ない状況になってしまう。
逆にここを勝てば桜花賞で敗れても賞金加算でオークスへの出走が容易くなり、楽なローテーションになるのだから。
「やはり、強敵はショウナンタレントに絞られるね。伊達に前走を勝ち上がっている訳じゃないし」
佐祐理はトロピカルサンデーを牽いている厩務員に向かって、こっそりと囁く。
「マークをするのか?」
「んー……切れ味なら、この子の方が上だろうし私が仕掛け所さえ間違えなければ、負ける事はないよ。だからマークは不要だね」
キッパリと言い切る佐祐理に対して厩務員はニヤリと笑みを浮かべ、必勝を確証したかのようだ。
そして、レース開催時間となる。
トロピカルサンデーはややゲートを嫌がる素振りを見せたが、それでも難無くゲート内に収まると、最後に8枠16番の馬が入るまで直立し続ける。
中にはゲート内で佇むのが嫌な馬も居るので、それが伝染しないように宥めなければならない。
最後に8枠16番の馬が入ると、スタートが切られた。
トロピカルサンデーは悪くないスタートを切ると、1枠2番という事もあって馬群に囲まれやすい位置取り。
それでもこの位置から動かないのは、外からガシガシと追っている騎手が居るので、ペースが早くなると確信しているのだろう。
逃げ馬が2頭おり、先行馬3頭が凌ぎあっているが、このままでは最後まで持たないのは一目瞭然。
暫くすると、逃げ争いを演じていた2頭のうち、外を走っている方が徐々にペースを落とし始めた。
それに釣られて、先行馬も位置取り争いを止め始めてペースが落ち着き、平均的なタイムで通過していく。
そのため、差し追い込み有利だった展開が厳しくなり、どの馬にもチャンスが出てきてしまった。
だが、前で先頭争いしていた2頭に先行馬3頭は、他の馬よりも脚を多く使用しているので、息切れになるのも早いのは事実。
如何に後に下がってくる5頭の馬を負担無く不利無く捌くかが、騎手の見せ所だろう。
既に佐祐理は腹を括ったのか外に持ち出す事が不可能な為、馬群を捌いて内ラチから突破する手段に賭けたようで、トロピカルサンデーを内に寄せる。
残り600m。
1頭、2頭と徐々に外から進出する馬が出始めたが、佐祐理はまだ仕掛けない。
横に居るショウナンタレントの能力を発揮させないかが、鍵なのだから。
その外にもショウナンタレントから半馬身は離されているが、壁としてガッチリとくっ付いている馬が居る。
そして、徐々に脚が上がってきた2頭の内を一瞬で突くとショウナンタレントは、外に持ち出そうとしたが避ける事が出来ずズルズルと下がっていく。
佐祐理が内を突いた為、無理に中心から突破出来る幅が無くなったので、ショウナンタレントは既に優勝圏内から除外されたようなもの。
そして、佐祐理は最内から鞭を振るい、しっかりと脚を伸ばしたトロピカルサンデーの切れ味は坂をものともせず、差し切り勝ちを収める。
2着に1/2馬身差と着差こそは大した事はないが、振るわれた鞭が1発だけで後は追われていない事を考えると、桜花賞でも通用すると証明してみせた。
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この話で出た簡潔競馬用語
注1:シーザリオ……父はスペシャルウィーク。
注2:ダンスインザムード……姉と兄にダンスパートナーとダンスインザダークが居る。
注3:スマイルトゥモロー……父はホワイトマズル。
注4:キストゥへヴン……父はアドマイヤベガ。