ホワイトクラウドが圧巻の逃げ切りで天皇賞・春を制覇。

     これが初のGⅠ制覇となり、去年のGⅠ戦で4着3着から無冠に終止符打つ。

     父セイウンスカイの菊花賞を彷彿させるような逃げ切りでの勝利は、血が騒いだ結果だろう。

     タイムは3:14.0と近年ではディープインパクトに次ぐタイムで、自ら刻んだタイムなので、価値のあるタイムなのは確か。

     これでセイウンスカイの後継として、種牡馬入りの道を開いたのは確実だが、中距離路線でのGⅠ制覇がなければ、非常に厳しいだろう。

     既に陣営は次走を宝塚記念に定めており、ここで結果を出すのが最重要というのをたたき込んでいるようだ。

     一気に天皇賞・春から1000mも短縮されるが、重賞3連勝の勢いを殺さずに今の勢いなら押し切れると太鼓判を押せるだろう。

     宝塚記念は母父のサイレンススズが後押しして、結果を残してもおかしくないので、逃げ馬の結晶が詰まった血統がホワイトクラウドという訳である。

     因みにKanonファームにとっては、天皇賞・秋を含めて、これが初の天皇賞制覇という事になり、長距離路線が得意なKanonファームからみれば待望のタイトル。

     今までは菊花賞やGⅡのみだったが、天皇賞・春を制した事で、3000m以上の重賞タイトルは完全制覇した事になる。

     内約は以下の通り。

     菊花賞2勝。

     天皇賞・春1勝。

     阪神大賞典1勝。

     ステイヤーズステークス1勝。

     ダイヤモンドステークス1勝。

     長距離向けの血統が多いとはいえ、以外と3000m以上の重賞制覇数は少なく、徐々に距離を短縮して、現代競馬に適合するように努力されているのが分かる。

     現在はスプリント路線とダート路線以外は結果を出しており、近年では中小牧場の中では上位に位置してもおかしくない。

     この勢いのまま、3週間後に迫った悲願の日本ダービーも手中に納めたい所だろう。

 

 

     今週の競馬はGⅠ開催はないが、安田記念のステップレースとして、京王杯スプリングカップが開催される。

     近年では安田記念のステップレースとしては、微妙な結果であり、京王杯スプリングカップと安田記念を同一年制覇した馬はアサクサデンエンのみで、それ以前はタイキシャトルまで遡らなければならない。

     むしろ、安田記念のステップは海外遠征帰り――ドバイや香港に出走し、結果を残した馬が、勝ちやすくなっている。

     さて、そんな中で今年はラストフローズンが安田記念の前に京王杯スプリングカップに出走となった。

     1400m戦は初出走となり、デビュー戦でダート1200mを使った以来の短距離となる。

     普段はマイルから中距離路線が向いているが、この時期はGⅠ馬が出走しやすい中距離路線は皆無で斤量が過酷になってしまうので、GⅡの京王杯スプリングカップが白羽の矢に立った訳である。

     厳しいとみるか、この距離ならギリギリ向いているかという判断による出走だが、実績は抜き出ている為、1番人気も仕方ない。

     ここまでGⅠ3勝、GⅡ1勝、GⅢ1勝と圧倒的な実績を持ち、希少なオグリキャップ産駒ということが人気を引きやまない理由。

     ここを制して、安田記念も制する事が出来れば、海外遠征も予定通り行われるだろう。

     オグリキャップが果たせなかった海外遠征を勝利という土産を持ってくれば、最高の結果なのだから、今年のラストフローズンは負けずにいなければならない。

     現時点ではオッズは2.2倍と1番人気だが、初距離が嫌われての人気だと見受けられる。

 

    「2.2倍か、予想よりも馬券購入者の判断は距離が不向きと見られたかな?」
    「一応、ダートの1200mは買っているので苦手って事は無いでしょうが、古馬と2歳馬で比べては駄目ですからね」
    「ここは通過点に過ぎないから、勝利してほしい所だ」

 

     名雪がそう断言するほど、ラストフローズンには安田記念で結果を出さなければならないと分かる。

     そして、レース発送時間となり、安田記念を目指す馬のゲートインが始まった。

 

 

     ラストフローズンは5枠9番からのスタートとなり、18頭立てとなった本レースでは良くも悪くも真ん中からとなった。

     1400m戦なので短距離に分類されるこのレースでは、スタートの失敗は許されない。

     ラストフローズンは平均的なスタート――好スタート切った馬よりも僅か遅れる程度でゲートを出る。

     軽く、騎手に手綱を扱かれると徐々に前に進出して、5~7番手辺りに位置づける。

     得意距離では無いため、ややスピード不足を感じるも、元より先行から差しの展開が得意のため、このペースはありがたい格好。

     他馬にピッタリと馬体を寄せているため、競り合いの展開に持ち込みやすい状況になっているので、後は抜け出すタイミングを間違わないのみ。

     結果、ラストフローズンはゴール直前にサッと2着馬を半馬身差し切って、軽く勝利を飾る。

     これで安田記念に向けて、最高の結果となった事だろう。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。