フユノハナビはサンモリッツ大賞で惨敗までとはいかないが、得意の冬競馬で敗れた事で評価が定めにくくなったかもしれない。
とはいえ、初の海外遠征+雪上競馬と特殊な条件で8着なら健闘したとも言える。
今後のローテーションは白紙状態だが、少なくとも11月と12月のエリザベス女王杯と有馬記念が目標となるのは間違い無い。
「サンモリッツ大賞は前の方で騎乗して、横の馬が仕掛ける前に仕掛けたから囲まれる心配が無かったし、積極的に騎乗したから悪くない結果だな」
「敢えていうなら、後1ハロン我慢していれば、結果はもう少し変わったかもしれませんね」
「それは結果論となるが、そのままだと囲まれて終わった可能性もあるから、わたしとしては問題無い」
つまり、次走もこのまま真琴という事を暗示しているが、次走次第では再び祐一が手綱を取る事になるだろう。
放牧後のレースは決まっていないが、フユノハナビが苦手な暖かい時期――4月か5月頃になるので、惨敗してもおかしくない。
そこである程度の負けは目を瞑るとして酷い騎乗でなければ、継続騎乗を得る事が出来るだろう。
「囲まれて追い出せないとかではなければ良いだろう。フユノハナビを春の時期で動かすのは難しい所があるからな」
「ええ、その条件なら大丈夫でしょう……掲示板内に入るような事があれば沢渡騎手で固定しましょう」
真琴は既に川崎競馬場にある厩舎の元に戻っているので、この話は名雪と調教師しか知らない公然の秘密となった。
さて、今週の競馬は京都記念が開催される。
京都芝2200mの非根幹距離で開催されるレースだが、有力馬が集結しG�兇箸六廚┐覆つ�メンバーが集まる事がある重要レース。
今年は2007年の菊花賞馬であるハネダニマケナイに、同レース2着のアサクサキングスに同年の皐月賞馬ヴィクトリー。
2006年にオークスと秋華賞を制したカワカミプリンセスが出走予定と、ぱっと見では中々のメンバー集まった感覚だろう。
ただ、この中では近走重賞を制しているのはハネダニマケナイのみなので、1番人気は当たり前かもしれない。
新勢力となる4歳馬の出走はなく、古豪のみが出走予定なので実績面が1番の重要な部分で、勢いの方は感じられないメンバーだろう。
ハネダニマケナイの前走であった海外遠征――ロイヤルオーク賞は5着が精一杯だったが、去年は目黒記念と宝塚記念を連勝しており、実績は一際抜け出している。
ここを勝利して確実に天皇賞・春への道を得ておきたいところ。
去年は菊花賞→阪神大賞典→天皇賞・春と長距離路線3連戦のローテーションだったので、長距離の慣れがレースに繋がらなかった。
なので、今年は京都記念から始動して、天皇賞・春に結び付く様な結果を出さなければならない。
「さすがにこのメンバーなら結果を出してもらわないと、今後のローテーションが白紙になってもおかしくないからな」
「前走の疲労はほぼ無いし、現状は7割前後の仕上がりだから、ここを勝って天皇賞で10割の力を出せるようにしたい所」
最終追い切りは古馬1000万下の馬を後方から追いかけて、半馬身抜け出した所でゴール。
ラスト1ハロンは12.3秒とステップレースに向けては上々のタイム。
鞭は軽く入れた位で強め調教としては十分な仕上がりだろう。
騎手と調教師は軽く競馬記者にコメントを求められたので、答えたのが先程のやり取りである。
このタイムとコメントで評価する――印を打つのが記者の仕事なので、後はどう評価されるかのみ。
やはりと言うべきか、この面子では実績面が抜き出ているハネダニマケナイが圧倒的1番人気で、2番人気のアサクサキングスに大きく差を付けている。
各競馬新聞は◎と○が占めており、穴党の記者がせいぜい▲や△を押すのみで、こうなってしまえばオッズも手堅く推移する。
まぁ、圧倒的1番人気でも負ける時はあっさりと負けるので、あくまでも目安に過ぎない。
「約4ヶ月振りと海外遠征明けなのに、ここまで人気になるとはな。せいぜい、3倍位のオッズだと思ったが」
「1.9倍は流石に人気し過ぎな気もしますね」
そして、レースの発走時間が刻々と近づく。
名雪と調教師の懸念通り、ハネダニマケナイは圧倒的なオッズを背負いながら3着に敗れてしまった。
基本的にレース間隔が開きすぎると、感が鈍るタイプなので約4ヶ月振りではレース勘が本調子ではなかったのだろう。
とはいえ、掲示板は外しておらず、1着のアサクサキングスとは0.3秒差なので、大きな差はなかった。
今日の敗戦で天皇賞・春の前にもう一つレースを使う事になったが、少なくとも先が見える結果だったのだから。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。