ブラッドハウンド……未勝利戦2着。

     アヴァランチ……未勝利戦1着。

     先週の3歳未勝利戦に出走した2頭の結果はこの通り。

     ブラッドハウンドは前走が6着だっため、人気は無かったが前走よりも馬体重が増加し力強さが出ており、上手い具合に中団から脚を伸ばしたが、差し届かずの2着だった。

     次走には勝ち上がれそうな雰囲気だったので、少なくとも見所があった結果だろう。

     アヴァランチの方は距離延長が幸いし、前走の惨敗が嘘のような勝ち方――先行押し切りで2着に3馬身差。

     ダートマイルから中距離までは距離の融通が利きそうなので、Kanonファームの生産馬としては、久しぶりにダート路線で活躍出来る馬になる可能性も。

     とはいえ、現状では3歳未勝利戦での結果なので、古豪が多いダート路線で立ち向かって行くにはまだ実績が足りないのも確か。

     勝ち負けを繰り返して、OPクラスに昇格までが出来れば上々といった所。

     そこから地方競馬の交流戦で重賞を勝てれば、十分な結果になるのだから。

 

    「アヴァランチは秋辺りからもっとしっかりとした馬体になりそうなので、ジックリと調教していきます。ある程度はレース経験も必要ですし、この後は数戦使って休養の予定です」

 

     まだ、地方交流戦が目標とまでは行かないが、今後の結果次第ではギリギリ関東オークスには間に合う可能性も。

 

    「間に合えば、関東オークス辺りが目標だろうが、この時期は3歳ダートオープン戦の数が少ないのがネックだな」

 

     中央の3歳ダートオープン戦は1月から6月まで5レースしかなく、そのうち1つがG�靴離罐縫魁璽鵐好董璽�ス。

     これしか無いので、3歳ダートオープン路線は整備されないと中央では出走の選択が無い。

     500万下までなら開催数も多いが、オープンになると極端に数が少なくなるので、惨敗覚悟で芝を使うか、降格後に古馬混合戦でダートを使うしかない。

     いつかは整備されるとは思われるが、現状では競馬協会は3歳ダート路線の整備に消極的。

 

    「まぁ、関東オークスは狙える状況ならばの条件付きになりますね。次走の500万下は再び距離延長の1800mに出走させてみたいのですが、よろしいでしょうか?」
    「……ある程度は距離の融通があると思うから、1800m戦を試していく方向で行こう」

 

     こうしてアヴァランチの3戦目は距離1800mの500万下に決定となった。

     ブラッドハウンドの方はまだ未勝利を脱出していない身分なので、現状ではローテーションに関しては決めにくい所。

     勝ち上がらない限り、今後は決められないのだから。

 

 

     フユノハナビのサンモリッツ大賞に向けての準備は順調に行われており、専用の蹄鉄――雪上向けで氷上でも滑らないようになっている特別仕様の蹄鉄に付け替えて、慣らしている最中。

     日本競馬はスパイク蹄鉄が禁止されているので、使い慣れていない蹄鉄だと脚元の負担が掛かる為の措置。

     スパイク蹄鉄といっても、釘のようなものが取り付けられたものではない。

     閑話休題。

     騎手としてフユノハナビと共にサンモリッツに向かった真琴だが、こちらの方も防寒対策が必要なレベルでの騎乗は初めてとなる。

     真琴が所属する川崎競馬場は1月の真冬でも開催されるが、ここまでマイナス気温の中での騎乗は防寒対策をしっかりしないと厳しい。

     他陣営の騎手はゴーグル+耳当て+ネックフォーマーを鼻辺りまで伸ばして口と鼻を守って騎乗している。

     因みにレース時にはどこの競馬場と同じく、勝負服のみなので防寒対策は首から上のみになる。

 

    「ええい……寒すぎるのよ!!」

 

     調教を終えて、真琴の口に出た言葉はやはりというべきか、寒さに対する事しかなかった。

     ゴーグルとネックフォーマーを外すと、防寒対策をしていても僅かな隙間が寒風に当ったのか、肌が赤くなっている。

 

    「こんな状況でレースする事なんか無かったから、防寒がしっかりしていないと厳しいのよぅ」
    「フユノハナビの方は張り切っているのは分かったけど、人の方は寒いだろうなぁ」

 

     厩務員が他人事の様に真琴の愚痴を軽く受け流すが、実際に騎乗している方でなければ、この寒さは分からないだろう。

     厩務員はフユノハナビの頭絡にリードを繋げ、真琴はその間に背から降りて、鞍を外す。

 

    「……んで、スパイク蹄鉄使用後は脚元に腫れはなさそう?」
    「うーん……パッと見多所だと腫れは無かったから大丈夫だな。熱はあるとはあるとは思うが、スパイク蹄鉄になれていないからだしな」

 

     1日中冷やすような酷さではなく、慣れないスパイク蹄鉄を利用した為の疲れみたいなもので、軽く冷やす位。

     少なくともスパイク蹄鉄には慣れが必要だが、この雪上で走る分の力はある事は分かったので、後はベストを尽くすのみ。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     特に無し。