ヒヤシンスS。
ユリ科ヒヤシンス属の球根性多年草であり、花期は春にかけて咲き誇らせる。
花の色は青、白、紫などバラエティの富んだ色合いが特徴であり、穂先には大量の花を付ける。
そして、耐寒性に優れているため冬頃からゆっくりと成長して緑色の小さな芽を出す。
その花から名を取ったレースがヒヤシンスSであり、ここの勝ち馬が後に花を咲かせられる様にこの時期に行われる3歳OP戦なのだろう。
因みにヒヤシンスの花言葉はスポーツ、遊戯の意味が込められている。
そして、このレースにはウインドバレーが今後のローテーションを決める重要な意味で出走。
東京ダート1600mはフェブラリーSが代表的なレースであり、ヒヤシンスSの同日に行われるので勝ち方次第では評価が上がる。
同距離であるフェブラリーSの馬券検証がしやすいため、馬場の状況などの見極めやすいのも特徴。
このレースを勝った馬で出世した馬は現状ではリンドシェーバーくらいだが、ウインドバレーがもしかしたら活躍するかもしれない。
そして本日のレースにはG�卦�成杯4着から出走するアサカリジェントがいるのだが、ダート適正は未知数。
人気を分け合っているのはウインドバレーとアサカリジェントで、オッズはこの2頭以外は10倍代である。
1番人気は勿論、ウインドバレーでオッズは2.2倍とファンの期待が良く現れている状態。
新聞の印は前走の全日本2歳優駿で底が知れたと判断した予想家もいるので、◎○○△◎と評価されている。
「ここを勝ってくれないと今後に響きますからね」
競馬新聞を隅々まで読みながら秋子は呟きつつ、ライバル馬の人気や前走の結果などを調べていく。
今頃調べてもレースにはあまり意味が無く、1つの行為で全てが変化してしまう生き物――展開なのだから。
ウインドバレーの調教評価とタイムも調べていると、調教師コメントを見つけた様なので秋子は文面を読み上げてみた。
『短期放牧で前走の激戦を癒せたと思うし、調教では力強く走っていたから自信はあるよ』
と、菊池調教師の短評が書かれており、名前の上には馬の調子と調教師の自信を示す矢印が尻上がりである右上向きになっていた。
これなら確勝と言えるが、実際に何かが起こるかもしれないので最後まで安心は出来ないのが競馬の恐ろしい所。
案外、左回りである東京競馬場のコースが苦手だったりするので、走らないと分からない事が多数ある。
今回の東京競馬場での出走がウインドバレーにとっては初の左回りとなり、楽観視は現状では不可能だろう。
刻々と時間は進んでいき、レース開始時まで数十分後まで迫ってきた。
今回のウインドバレーの枠順は3枠3番と内枠なので、如何に馬群に包まれない様に抜け出すかが問題。。
16頭立てなのでウインドバレーのマークは必然的に増えるし、他馬に出し抜けを食らわない様にする必要がある。。
そして、発走時間になり1頭又1頭とゲートに収まっていく。。
ウインドバレーは順調にゲートに入ったので秋子はホッと胸を撫で下ろし、後は出遅れにならない様に祈るのみ。。
ガシャン、とゲートが開く時の特有音がTVから流れ、スタートを切られた事を示す。。
ウインドバレーはスムーズにゲートから出て、普段の脚質――差しで行く様なので7〜9番手辺りに位置している。。
ペースを乱す様に逃げ馬2頭が先行争いに応じており、このままではウインドバレーが有利に進められるので歓迎出来る状況。。
レースは縦長に展開されており、先頭から最後方まで20馬身程の差が開いている。
ウインドバレーと先頭を走っている逃げ馬との差は10馬身前後で、徐々に差を詰めないと厳しいだろう。
800mの通過タイムは46.9秒――最後までこのペースで行くと1:33.8秒前後の決着だが、実質的に不可能なタイム。
多く見積もって、1:37.1前後でゴールインになるだろう。
そして、最終コーナーを過ぎて直線に入る。
ウインドバレーは徐々に進出して、現在はやや内枠寄りの6番手辺りを走っていた。
前には先行していた馬が4頭走っており、更にその前には2頭の逃げ馬がいるのだが、逃げ馬2頭はそろそろ脱落の信号が点りだす。
そして、数秒後には先行馬の進路を妨害しない様に逃げ馬2頭はズルズルと後退していく。
ウインドバレーの騎手はここで先行馬がぶつかり合って争っている数cmの隙間を突き、3番手に立つが完全に加速はさせない。
これで囲まれる心配は無くなったが、まだまだゴールまで400m以上残っていた。
まだ、外に2頭の先行馬が残っているので残りの体力を使ってしまうと、坂を越えた後に差し馬に差されてしまう恐れがある。
残り300mとなり、ウインドバレーの眼前には東京競馬場の坂がそびえている事だろう。
坂の道中から、ウインドバレーの騎手は仕掛けて一気に加速させてリードを保つ。
1馬身、2馬身と2番手の馬に差を付けて坂を最初に駆け上がっていく。
ウインドバレーが仕掛けた事で3番手以降の馬に騎乗する騎手が手綱を扱いて、鞭を入れて追いかけ始める。
だが、ウインドバレーの脚色は最後まで衰えず、キッチリと伸びているので先頭のままゴールイン。
タイムは1:38.2で着差は2.3/4と実力を示した。
戻る ← →
この話で出た簡潔競馬用語
特になし。