優駿牝馬――オークス。
レースの設立は1779年のイギリスが始まりで、ダービー伯爵とその友人がレースを行ったのがオークスの始まりだとされる。
イギリスダービーよりも1年前に設立され今でも3歳牝馬が目指す最大のレースとして200年近く続いている。
そのため、世界各国でもオークスの名を持つレースは多くあり、オークスの歴史をあやかっているのが正しいだろう。
日本は1938年とイギリスオークスに比べると歴史は浅いが、歴史のあるレースに変わり無いのは違いなかった。
2400mと3歳牝馬には過酷な距離であり、ここを乗り越えた牝馬はなれると言われている。
それだけ過去に優勝している馬はオークス以外も重賞制覇している事が多いのだから。
そして、今年のオークスが第58回目となり、18頭の精鋭が無事にここまで駒を進めてきた。
桜花賞馬のキョウエイマーチや阪神ジュべナイルフィリーズの覇者であるメジロドーベルが出走している。
G�鞠呂呂海裡夏�だけだが、他の馬も虎視眈々とオークス制覇を狙っているのだから、2強だけで決着する可能性は低い。
主にフローラSで2着になったダイイチルビーの仔――ダイイチシガーや同レースで3着になったタツマキマキマスカの別路線組が居るのだから。
桜花賞で僅差の3着になったルビーレイもおり、優駿牝馬を決定するレースとして十分なメンバーが揃った。
桜花賞よりも豪勢なメンバーの中でどの馬が優勝するかに争点に当てられる。
既にオークス観戦の為に10万人を超える観客が東京競馬場に集まり、10レースのフリーウェイSのパドックが開始されている。
このレースには3ヶ月振りとなるファントムロードが休養明けからしっかりと馬体重を増加させて体調が回復した状態で出走。
とはいえ、前走の総武Sでは8着に敗れているので期待をし難い状況であるのは間違いない。
「ここを勝って、タツマキマキマスカのオークスに勢いを付けたい所ですが、さてどうなる事やら」
「そこでわたくしのルビーレイが横から優勝を掻っ攫わせていただきますわ」
もちろん、宮藤の勝つという意味はタツマキマキマスカを破り、他馬も押さえ込んでG�祇�覇を達成するという意味合い。
G�祇錣覆里烹影�だけに固執して、他の馬に優勝を掻っ攫われる訳にはいかないのだから、宮藤の言葉にはそうした重みがある。
桜花賞の敗戦が宮藤の意識を変えたのか、油断している様な様子は一切伺えない。
「流石にG�気杷圓譴晋紊砲呂錣燭靴稜呂世韻鯡槁犬砲垢詭�はありませんか」
「いつまでも水瀬さんを狙っている訳ではありませんわ……でもわたくしの目標なのは変わりませんわ」
宮藤は秋子の様に馬を生産するのが目標であり、追いつこうと相馬眼を磨いている所。
秋子はそんな宮藤を見て軽く微笑んでからフリーウェイSのゲート入りを眺め始める。
さて、フリーウェイSは東京芝1400mで開催される1600万下特別でOPクラスに昇格する為に。
オークス前のレースである為か騒然とした中では入れ込んでしまう馬がおり、やや波乱気味になりそうな予感がしている。
その中の1頭に含まれているのがファントムロードで体調は良くなっているが、この状況では力を発揮出来ない状態に追い込まれてしまった。
現在の人気は9番人気とはいえ、入れ込みが無ければ1発があってもおかしくなかった。
「うーん、直前で入れ込むとはついていないですね」
秋子は馬主席からでも見える大型ターフビジョンで愛馬――ファントムロードの様子を見やっていたが、入れ込む事は想定外だった様で残念そうな表情。
返し馬の最中に落ち着いてくれればチャンスはあるのだが、これだけ騒然としている競馬場では難しい。
「1度も重賞に出走した事がない状況では仕方ないですね」
秋子は軽く溜息を吐き出しつつも、しっかりとレース結果を見届ける為にターフビジョンに向き合ってレース発走を待つしかない。
そして、各馬がゲートインしてスタートが切られる。
大きく出遅れた馬は居ないがファントムロードは煽った格好だったので他馬よりも出遅れてしまう。
既に脱落したかのように最後方から進めており、1流クラスでないと前を走る16頭の馬を交わせそうも無い状況。
結果は1頭も交わせぬまま惨敗してしまい、オークスに弾みをつけたい秋子としては残念な結果であった。
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この話で出た簡潔競馬用語
特になし。