ウイングロードの引退が決定した。

     叔父にKanonファーム初のG�鞠呂任△襯Εぅ鵐疋丱譟爾�居るのだが、ウイングロードは3勝しか出来なかった。

     主な勝ち鞍はダート1400mの新涼特別で、1000万下が限界だったのを示している。

     父がアラジの為、早熟でデビューから2戦続けて芝を使ったのが失敗の可能性が。

     3戦目の初ダートでは10番人気ながら2着に入るなど、適正の高さを見せ付けたが、重賞のユニコーンSでは相手にされず惨敗。

     つまり、初戦からダートを使っていれば叔父と同じくダート重賞を勝利した可能性もあったが、陣営のミスといわざるを得ない。

     とはいえ、母のタツマキマキマスカは芝で4勝しており、オークスに出走した実績を持つので、適正面が不明だった所もある。

     なので、安易にダート戦を選択する訳にもいかなかった。

 

    「さて……地方に持って行っても、群雄割拠な現在では厳しいな」

 

     最後に出走した田川特別は10頭中10着としんがり負けで、ほぼ直線に入っても追走がキツイ状況。

     逆に地方は地方で地方同士の交流が盛んになっており、地方重賞以外でも東西を移動しているほど。

     そんな中で近3走が惨敗のウイングロードを転厩させても厳しいのだから、引退させるのが正しいだろう。

 

    「……仕方ありませんね。この成績では地方でも厳しいでしょうし、引退の手続きはこちらでしておきましょう」

 

     こうして、ウイングロードの引退が確定し、翌日には厩舎から姿を消していった。

 

 

     2008年度のKanonファーム生産馬からの初出走馬はフユノハナビが出走する。

     福寿草特別――京都芝2000mで開催される500万下特別レースであり、多くの重賞馬を輩出している出世レースと位置づけられている。

     1999年は2着馬トゥザヴィクトリー、3着ナリタトップロードが結果を出していた。

     それ以外にも1997年のエリモダンディー、1991年のシスタートウショウなど。

     そして、去年の勝ち馬タスカータソルテは京都新聞杯を制して、ダービーに駒を進めている。

     今年の出走馬で人気なのが新馬勝ちのファリダット、兄にヴァーミリアンを持つキングスエンブレム、ホープフルS2着のブラックシェル。

     それぞれ、3頭が人気を分け合っており、4番手にフユノハナビが続いている。

     それ以降はオッズが20倍となっており、観客からは実質4頭立てと見受けられているのだろう。

     実績面ではホープフルS2着のブラックシェルが1番人気でもおかしくないが、血統面はクロフネ×母父ウイニングチケットが嫌われたのだろうか?

     現状ではファリダットの新馬勝ちの方が印象が強いのだろう。

 

    「フユノハナビは2戦目だから、ここではどんなもんかな?」

 

     前走に引き続いて、騎乗する祐一は2ヶ月程度の調教でどれ位、動きが良くなったかは知らないので、その様な台詞が出てもおかしくない。

     パドックから地下道を通って馬場入場を済ます前なので、その様な台詞は関係者以外には聞こえない。

 

    「まぁ、現状の仕上がりは良いですよ。直前の追い切りタイムはラスト1ハロンが12.0と強めに追ってですから」
    「調教でも乗れれば良かったんだけどな……まぁ、仕上がりに関しては不安が無いから、上位3頭に食い込んでみるか」

 

     牡馬の中で4番人気に支持されている通り、フユノハナビの前走は評価されており、ここの結果次第では一躍してクラシック路線に名乗り上げられる。

     既にサンユベールがKanonファーム生産馬の中で1番手として、名乗り上げているが、2番手として続ければ今後も期待出来るのだから。

 

 

     さて、フユノハナビは3枠3番からのスタートで好スタートとはいえないが、まずまずの形でゲート出る。

     前走は中団からのレースだったが、今回は内寄りだけあって包まれるのを嫌った祐一は3〜5番手辺りで追走させる。

     そして、横に居る馬を僅か押し返すように接触ギリギリまでに馬体を寄せて、内ラチに押し込まれないように対策。

     1頭が逃げて2頭が2馬身程離れた位置に居るので、このまま突っ込む様になっていたら、前走の様に割って先頭に躍り出るのは可能だったかもしれない。

     たまたま前走だけタイミング良く動いた結果ならば、2匹目のドジョウは存在せず、前詰まりしてしまう可能性があるのだから。

     そう判断したのか、祐一は他馬に内を譲って、フユノハナビは馬場の中央より僅か内を走らせたまま。

     2000mという事もあって、1000mの通過タイムは59.5秒とやや早いペースで進んでいく。

     ファリダットは後方付近から、キングスエンブレムとブラックシェルは中団とそれぞれが牽制し合って、レースは残り600mに。

     そこでデビュー戦が2000mだったフユノハナビのスタミナを信じたのか、祐一は3頭よりも早く仕掛けて、4コーナーを回っていく。

     京都競馬場の直線は328mと短く、一瞬の脚よりも長い脚を使フユノハナビにとっては押し切るのが最も向いていると判断されたのだろう。

     外に居た馬を遠心力で僅か外に膨らんだ一瞬で、祐一は思いっきり加速させる。

     そして、前を走る2頭に並びかけてから鞭を振るうと、抜き去って逃げ切りを図る馬に並びかけた。

     後ろから上位人気の3頭が迫るが、早仕掛けでリードした分が生きたのか、ブラックシェルを半馬身凌いだ所がゴールだった。

 

 

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     この話で出た簡潔競馬用語

 

     注1:エリモダンディー……後に日経新春杯などを制している。
     注2:タスカータソルテ……父はジャングルポケット。
     注3:ブラックシェル……父はクロフネ。
     注4;ファリダット……父はキングマンボ。
     注5:キングスエンブレム……後にシリウスSを制している。