今週の競馬はNHKマイルカップ4着の実績を持つフォックステイルが短い休養から明けて降級の為、1000万下から再挑戦する。
出走するレースは札幌芝1500mで開催される藻岩山特別。
マイル前後が得意な距離の為、最も適したレースともいえるだろう。
ただ、初の古馬相手に成長性が著しい3歳牝馬が何処までやれるかが課題で、初の輸送もどう見るかなど、現時点では評価に結びつかない。
今までは東京競馬場と中山競馬場の二箇所のみしか、出走していないので、その点が人気にも現われている。
もう1頭は前走未勝利を勝ち上がったばかりの、バックドラフトが500万下に出走。
こちらは距離を一気に400mも短縮し、1200mの筑紫特別に駒を進めている状態。
距離短縮されているが、父はエアジハードと1200m〜1600mで勝利しているので不安は無い。
前走の初勝利での勢いに乗って、連勝して欲しいのが厩舎側の本音だろう。
そうでなければ、わざわざ夏の小倉に出走させ、距離を短縮させてまで出走はさせないのだから。
「一気に距離短縮するけど、付いていけるのか?」
「そこは何ともいえないが、1000mよりはまだ適正あると思うので、狙ってみるのも良いだろう」
「……それもそうだな。後は俺次第か……ここで負けると名雪に何か言われそうだし、頑張りますか」
「ついでにオレの進上金得られる様に結果出してくれよ」
「へいへい……さて、どれだけ走るのかね」
祐一はバックドラフトの厩務員と軽口を叩きながら、筑紫特別の本馬場入場を済まし、返し馬で感覚を掴む。
キャンターでやや荒れている芝を避ける様に手綱を操り軽く走らせて、待機所に向かわせる。
「取り敢えず何とかなりそうか……前走は内から抜け出しての勝利だし、まだ未知数な所があるな」
現状では未完成――父エアジハードは4歳の春にG�祇�覇をしたので、バックドラフトもその頃に完成する余地もあり得る。
少なくとも、その段階まで成長するにはもう一回り馬体重を増加させる必要が。
「細いな……前々走で10kg増加した筈だけど、乗っている分だとまだ細く感じるし、さてどうするか」
祐一はそうボヤくが現状ではどうしようも無く、無い物ねだりしても急に馬体重が増加する訳でも無いので、今ある札でどうにかするしかない。
さて、バックドラフトの枠は8枠12番と大外からのスタートとなっている。
その分、小回りの小倉競馬場は意外と外枠に入った馬は短距離では成績が良く、上手く乗ればバックドラフトでもチャンスはあるだろう。
ただし、1200mでは外枠に入った“逃げ馬”の方が結果を残しているので、前走とは違った騎乗をしなければならない。
そうこう考えている内に、レース発送時間になり各馬が順調にゲート内に収まっていく。
重賞開催されている訳でもないので、生演奏という豪華な音はなく、録音された音が流れるのみ。
最後にバックドラフトがゲート内に収まり、スタートが切られた。
1200m戦にしては珍しくスローペースに落ち着いた中でバックドラフトの結果は3着だった。
スローペースだと判断した祐一が咄嗟に手綱を扱いて、中団から先行――4番手付近をキープしたので、後ろから行くよりも好判断。
因みに後ろに居た馬は馬込みを避ける為に、内から外に回して勢い良くゴールに雪崩れ込んだが、5着が限界という結果。
最後は古馬との経験の差が出た感じで、競り合ってから押し切れなかったのが敗因。
とはいえ、初の古馬相手でこの結果なら十分な走りだったといえる。
後はこの経験を生かして早々と500万下を勝利出来れば、ここに出走した意義もあった。
一方、フォックステイルはNHKマイルカップ4着の実績もあって、あっさりと勝ち上がる。
初の遠征+初の古馬戦も問題とせず、ここでは実力が違うというのを見せ付けた格好――2馬身差で勝利。
これから準オープン――1600万下クラスに昇格となり、今日の様に走れば再びオープンクラスに近づけるのは確実。
距離も前走のNHKマイルカップに近かったのが、幸いしたともいえるが、これで運が良ければマイルチャンピオンシップへの目処が出来たともいえる。
今週の結果は共に先を見据える事が出来そうな走りで、繋がった事は確かだろう。
「後はバックドラフトだけが500万下のままか。徐々に仕上がっている筈だし、次走に期待するか」
Kanonファームで従業員と共に観戦していた名雪は、やや満足そうに――バックドラフトだけが負けた事を不満そうな表情だと記しておく。
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この話で出た簡潔競馬用語
特に無し。