今は黄昏になっており、カーテンを閉めた室内は夕日でオレンジ色に染まっていた。
びりびり……
紙を破る音が室内に響き、嗚咽と共に流されて行く。
破っているのは微笑んでいる自分と相沢 祐一が写っている写真。
その写真は今を知らずに二人揃って笑っている写真だ。
床に落ちた写真は全て千切れて、ばら撒かれていた。
そして、切片を一枚拾い上げ手のひらに繋げてみる。
だが、はらはらと破れた写真は散乱しているゴミに紛れる。
最近撮った全ての写真は相沢 祐一と共に写っている写真が多く少女は自嘲を吐きながら、ゴミを集めだした。
前は変わらないと思っていた空間。
ずっと続くと思っていた空間。
けれど、それは簡単に壊れた。
それはもう2度と戻らなくなった。
昨日の相沢 祐一の顔を思い出してみた少女はしかめ面になる。
相沢 祐一のその顔は悩みがない微笑みだった。
ぶんぶんと頭を振りそれを忘れようとする。
今、思い出すと憎らしい笑顔だった。
どうして、と少女が呟いた言葉は虚空に消えた。
自分は負けたのは分かっている。
ただ、納得がいかないだけなのだ。
隣に立てない理由が欲しかった。
少女はカーテンを開け、目を細める。
夕日が室内に入り込み、少女の影を作り出す。
ガラリと窓を開け、風が少女の頬を撫でる。
乱れる髪を手で押さえ、涙目のままオレンジ色に染まっている空を見上げる。
ふっ、と笑い涙を強く拭うと何時もの表情に戻った。
後悔させてあげると風に誓いを載せて少女は歩き出した。
部屋に残っているのは破れた写真に写っている憎らしい笑顔だけだった。
選ばれるのはたったの一人
秋子さん除くと1/8の戦いなので書いてみました。
だれが勝って、負けたかは皆さんの想像で・・・