今日は土曜日。
     春の日差しで室内は温かくなっていた。
     外には色取りの洗濯物が日に当たって干されていた。

 

     

 

      ピッ……ピッ……
     どの番組もたいした物がやっておらず、TVのリモコンをテーブルの置く。
     ふぁ、と軽く欠伸をかみながらソファーに寝転がる。
     今、家にいるのは相沢 祐一と水瀬 秋子だけである。
     名雪は香里と共に朝から遊びに行っていており、家には二人きりだった。
     祐一は寝転がりながらTVを見て、秋子は料理本を見ていた。
     つまり、秋子はやる事が終わって手持ち沙汰になっていたが祐一はただの暇なのであった。

 

     

 

     ふぁ……眠くなってきたな。
     これだけ、暖かいとまぶたが重くなってくる。
     名雪が春になると布団に包まっているのが想像できるな……ふぁ。
     ちらりと秋子さんを見ると、うとうとしながら雑誌を捲っていた。
     頭がカクンと揺れて次の瞬間、眼を覚ましていた。

 

    「祐一さん、わたし寝ていました?」
    「ええ、秋子さんの寝顔見れましたし」

 

     可愛かったですよと囁くと、ボンと顔を赤くした秋子さんがおろおろしながら俺の方を見つめていた。

 

     

 

      それにしても、耳が痒いな。
     小指を突っ込んでみるけどかゆみは取れない。

 

    「秋子さん、耳掻き何処にあるんですか?」
    「耳掻きですか? ちょっと待ってくださいね」

 

     秋子さんはパタパタとスリッパ鳴らしながら部屋から出て行った。
     むずむずしている耳の中に指を入れる。
     何度やっても痒い所には届かなかった。

 

    「はい、どうぞ」

 

     手には耳掻きを持ち、ソファーに座って膝を叩きながら言う秋子さん。
     え、それってあの膝枕ですか?!

 

    「どうしたんですか? ほら、してあげますから」

 

     今日の秋子さんは白のミニスカートを穿いている為、すらりとした美脚を覗かせている。

 

    「では……失礼します」

 

     おお!!
     ソファーで寝転がるより秋子さんの膝枕の方が気持ち良いな。
     ウォータベッドで寝ているような感覚だ。
     寝た事は無いけど、それぐらいしか想像出来ないぐらいの柔らかさだ。

 

    「ひゃあん……祐一さん、頭を動かさないでください」

 

     ふむ、秋子さんはふとももが弱いのか。
     もうちょっとからかってみよう。

 

    「あ……ちょっと、ふぁ……祐一……ひゃん……さぁん」

 

     頭をグリグリ動かして、スカートの布擦れを感じる。
     顔を赤くしながら喘ぎ声が漏れるけど、名雪が帰って来たら誤解されそうだ。

 

    「もう……駄目ですよ、祐一さん」

 

     めっ、と子供をしかる様に言ってきたので流石に止めておいた。

 

    「じゃあ、始めますから頭動かさないでくださいね」

 

     俺の長い髪を掻き上げて、耳掻きを入れ始める。
     コリコリ、と気持ち良く掃除されており俺の顔はだらしなく弛緩しているだろう。
     秋子さんの膝枕なので気持ち良さは更に倍増されている。

 

    「気持ち良いですか祐一さん?」
    「あ〜、最高です〜」

 

     ここから動きたくなくなってきた。
     ふっ、と耳に息を掛けられて身体が震える。

 

    「今度は反対側をしますよ」

 

     コロンと頭の向きを変えて、反対側をしてもらう。
     あ〜、思考が持たなくなってきた。
     ふぁ……もう、眠いのでお休みなさい。

 

     

 

    「祐一さん、終わりましたよ」

 

     ゆさゆさと祐一さんの身体を軽く揺すります。
     足が少し痺れてきたので、そろそろ起きて貰いたいのですが……
     はぁ、起きそうも無いですね。
     それにしても祐一さんの髪の毛細かいですね。
     軽く撫でて、一つまみして見るとさらりと指から逃げて行きますね。
     ……祐一さんの寝顔見ていたら、わたしも……ふぁ。
     こてん、とわたしはソファーの背もたれに身を預けてそのまま意識を眠らせた。

 

     

 

    「ただいま〜」
    「お邪魔します」

 

     う、ん……名雪が帰ってきたみたいね。
     香里ちゃんも遊びに来たみたいね。
     何か、足が重いですね。
     ……って、祐一さんがまだ寝ているんでした。
     ゆさゆさと強く揺すりますが寝返りをしただけです。
     祐一さん早く起きて下さい!!
     ペタペタとスリッパの音を立てながら二人がこっちに近づいて来ます。
     がちゃ……パタン。

 

    「お母さ……ん、何やっているか説明して欲しいなぁ」
    「あたしにも教えてもらいたいですね」

 

     わたしの足には祐一さんがまだ幸せそうな顔で寝ていました。
     その後、水瀬家には嵐が起こったと言われた。

 

 


 

     膝枕ネタがやりたかったのです。
     ちょっと微エロかもしれない。