プルルルルr……
俺は携帯電話に表示されている名前は北川だったので着信を受ける。
「なんか用か、北川」
「暇? ああ一応暇だが……名雪も連れていくのか?」
「対戦ゲーム? いたストをやるのか? 分かった連れて行く」
着信を切ると隣の部屋で勉強している名雪に元へ向かった。
コンコンと軽めにノックすると入室OKが出たのでドアを開ける。
相変わらず無数の時計がカチコチと時を刻んでおり、ここだけ時の廻りが早く廻っている様に感じる。
「なーに?」
名雪はシャープペンをテーブルの上に転がし、軽く伸びをする。
俺は誘われた事を告げると名雪は少し考え、行く事を決めた様だ。
軽く服装を整える名雪を待っている間、北川にメールを打ち込んでおく。
直ぐに返信が帰ってきたが内容は「了解」の一言だけだったので俺は苦笑いになった。
「お待たせ〜」
名雪はキャミソールの上にGジャンを着こんでおり、活動的な印象になっていた。
「じゃ、行くか」
「うぃっす、来てやったぞ北川」
「おじゃまします」
俺は勝手に玄関を開け、リビングに向かって行った。
既に香里が部屋に上がっており、北川と会話を楽しんでいた。
「あら、遅かったじゃない」
「名雪の準備が遅いんだ」
「酷いよ。そこまで遅くないよ」
ひょっこりと俺の横から顔を出し、ブーたれる名雪。
「それは置いておいて……北川やるか?」
置いておかないでと名雪が呟いているが無視する。
「おお、もう既に準備は整っているぞ」
PS2が液晶TVにセットされており、綺麗な画面が流れる。
北川曰くパチンコで取ったTVだと言っていたので羨ましいと思った。
「コントロールはいつも通りで」
OP画面が流れ、キャラ選択画面には36名が描かれておりどうやら完全クリアした後だと分かる。
選んだキャラは俺が剣士、北川も剣士を選択したが女性陣は名雪はお嬢さまを選び、香里は格闘女を選択した。
全員で時々やっているのでルールは説明する必要はないが使用キャラの選び方はやはり色々試して、合うキャラを選択している。
そして選ばれたマップは……特殊効果がある平原が選ばれた。
このマップはある場所にキャラが止まると買い物料を30%増やす事が出来る。
つまり上手く行けば、巻き上げる料が多くなり差を付けられる。
順番は北川、名雪、俺、香里となった。
「さあ、行け」
止まったサイコロは3。
銀行城から4つのルートがあるこのマップは何処かを独占すれば勝ちやすくなる。
北川が選んだルートは下側を選び、2つ目から左のルートに選んだ。
560Gの店に止まり、すぐさま買う北川。
「私の番だよ〜」
サイコロの目は5が止まり、名雪が選んだルートは右下のハートがある為早めにレベルアップしてお金を稼ぐのが名雪のスタイル。
勿論、200Gの店も買っておくのを忘れずにやっている。
「良い目出ろよ」
この言葉通りに良い数字が出た。
サイコロの数は5を示しており、俺は迷うこと無く下に向かわせ右のルート選びダイヤのマークを取り160Gの店を買っておく。
このルートは上手く行けば引き離す事が出来るのだ。
「相沢君の目的は空き地買いね。さ、あたしは……」
ちっ、ばれていたか。
香里のサイコロの目は2が出ており、選んだのは名雪と同じルートだがチャンスカードを引くのが目的だった様だ。
チャンスカードの内容はNo99のラッキーカードでありマークが全て手に入るので一機に香里が抜け出した事になる。
「ふふっ、トップは貰うわよ」
「くっ……いきなりそのカードを引くとは」
「拙いぜ。マーク集めをしなくては」
「う〜、早くマーク集めないと」
香里を除いて俺達は拙い状況だ。
何故ならこのマップはそこそこ広いマップであり、マーク集めに時間が掛かり下手するとターンが無駄に多くなる。
一回でも多く大きな数字が出ないと差が広がってしまうからだ。
「くっ……1かよ」
北川はそのまま一歩進ませて物件を購入する。
これで北川はこのエリア内を2件購入した事になり、独占がしやすくなった。
名雪は4を出して、チャンスカードを引く権利を得た。
引かれたカードは、あと1マス進むだ。
その先はワープゾーンであり孤島に飛ばされた名雪は打ちひしがれていた。
この孤島は大きめなので出るのに時間が掛かる時があるのだ。
「7か……チャンスカードだな」
残り62枚の中から選ばれたカードはNo66の一番高い株を10枚貰えるだったので、
この時点で一番高い株は北川のエリアが1枚17Gなので俺は170Gを手に入れた事になり少し展開が楽になった。
「4ね」
香里は勿論、店を購入して余裕を見せてきた。
2ターン目が終わり、戦いが動き出した。
北川はまた1を引いてチャンスを引くがバッドカードの店が休日になるを引き、俺が進みやすくなった。
名雪は孤島で店を買い、ついでにマークも集める。
俺は銀行城に戻れたので今持っている株を増やす為、99株購入して総資産を少し増やす。
香里もなんと孤島に飛ばされ、そのままターン終了となった。
「ようこそ、孤島へ」
にこにこした名雪はどうやら仲間が増えたのが嬉しいのだろう。
「くっ……直ぐに戻って見せるわ」
「マークが無駄にならない様にな」
今、全員のマーク数は俺が2つ、北川0つ、名雪2つ、香里が4つこれだと北川以外は良いペースだろう。
しかし、このゲームは株などで逆転が残されておりどう転ぶか分からない。
総資産が一定を超えれば、優勝だが株の相乗りで逆転負けされた事もあった。
ゴール前で高い店に止まり負けた事もあった。
つまり、気が抜けた途端負けてしまっている事になる。
「今日は誰が罰ゲームになるのかしら」
ぼそっと言う香里だが、全員が反応しているだろう。
4位は罰ゲームの箱から一つ紙を引き内容が決まる。
明日の平穏を掴む為に3位までに入れば良いだけだ。
「そういう香里が罰ゲームになるんじゃないのか?」
もう既に心理戦の戦いになっており、プレッシャーの掛け合いだ。
本当の戦いはここから始まった。
「よっしゃあ、7%アップを引かせてもらったぞ」
「鬼だよ。祐一、私から1000Gも巻き上げるなんて」
「ふははは、株価20%アップしたぞ。ありがとよ名雪」
「ああ、13%ダウンを引くなんて」
白熱した戦い。
「ちくしょう、レベルアップ前なのに飛ばされるとは」
「雷スイッチで値上がり〜」
「香里、貴様なんて事をしてくれるんだ。俺の独占つぶしやがって」
「さあ、100Gずつ渡しなさい」
そしていよいよ終盤が近づいてきた。
総資産トップは名雪が17524Gで最下位の俺が15940Gでたったの1584Gの差だ上手く行けば逆転は可能だろう。
今俺の番になり、名雪をトップから落とす手段を始めた。
名雪が独占したエリアの株は大幅に値上がりしており、名雪はかなりの額を投資して株を買っているが俺も100枚近く所持している。
「さあ、名雪はトップから降りて貰おう」
株を10枚売り、名雪の総資産はダメージを受けて俺は資金が増える。
これで名雪は700G近く総資産を失いトップから陥没した。
最後にダイスを転がして、自分の店に増資しておく。
「名雪ごめんね」
香里も10株売りをして名雪の総資産はまたもダメージを受ける。
ごめんねと言いながら邪悪な微笑みを出している。
香里も同様に自分の店に増資して終了。
「悪いがオレもさせてもらう」
「う〜」
上目使いをして、気を引こうとしている名雪だがゲームには慈悲は無いぞ。
この攻撃によって名雪はトップから転がり落ち最下位になった。
まだ差は少ないので鴨が自分の高い店に止まらないとトップには立てない。
「お返しだよ。祐一」
ぐぁ、これでは名雪との差がキツイ。
100G近くだとまた最下位になってしまう。
しかし、マークは全て揃っているが場所が悪く、孤島にいるのだ。
「チャンスカードか……うしっ」
俺が引いたカードは銀行城に戻る事が出来るカードだ。
つまり城に戻れてレベルアップする事でトップに立った。
このまま逃げ切れるかもしれない。
そう思った時点で勝ちはするりと手から抜け出した……
「がぁ、何だよ最後の1500G近くの連続支払いって」
「まあまあ、ゲームなんだからね」
最後の最後でどんでん返しを食らった俺は最下位決定してしまった。
罰ゲーム?
語りたくも無い。
「優勝したお前には言われたくないぞ」
「えへへ、残念だったね祐一」
ちくしょう、次回はリベンジしてやるから覚えておけよ。
いたストSPをやらせてみる。
天然は強いんだよなこういうゲームは特に。
切れる人は安定した順位が多く、馬鹿は極端な成績が多い(w
因みに香里が2位、北川が3位です。