外は闇に包まれており、街灯と家から漏れる光が町を明るくする。
コンビニに客はおらず、がらんとしており店員は暇そうに欠伸をしている。
「あ〜、暇だ。これだから田舎のコンビニは」
これならレジに立たなくても、と思ったこの店員の名は相沢 祐一という。
「時給が良くても、ここまで暇だとは思わなかった」
都会と違いこの町は眠るのが早いので殺伐したコンビニとなっている。
「いらっしゃい……ませ」
会話を打ち切り、香里は篭に様々な物を詰めて出した。
買い物篭にはバニラアイスと雑誌が入っており、頼まれた物だと分かる。
「バージニア・スリム・ライトメンソールあるかしら」
意外そうに香里を見る祐一だが、何も言わずに棚から取り出した。
「未成年には売ってはいけないんじゃないのかしら?」
会計を打ち終えると乱雑に袋に詰め込んで、香里に渡す。
「おい……金はどうした」
ちらりと目を細めて、呆れた表情をする香里。
「分からないのかしら?」
分かるかと言う表情を浮かべる祐一。
「ああ、分からないのね。ならば言ってあげるわ。
香里は踵を返して自動ドアに向かって行く。
「ちょっと待ちやがれ」
しかし、香里はそのまま袋を持ち何も聞かずに出ていった。
煙草の封を開け、一本取り出し口に咥えライターを探す為にポケットをまさぐる。
「まったく、この時間に相沢君に会うなんてね」
確認する様に呟き、失笑が漏れる。
「今日は2月1日か……」
香里がしている腕時計にはそのように表示されている。
「あれから一年か」
舗道された石畳を歩きながらあの時を考える。
「ほら、土産よ」
どさどさと袋から先ほど買ったバニラアイスと雑誌を適当に置く。
「あなたが惚れていた相沢君、たいした事無かったわよ。
だから、あたしから振ってあげたわと囁く。
石畳に座りながら墓に寄り掛かり、月を見上げる。
「ん……そろそろ、行くわね」
もう来る事は無いでしょうと付け加える。
「じゃあね、栞」
墓から背を向けながら、手を振り闇に消えていった。
残ったのは供えられたバニラアイスと雑誌がその存在を示していた。
煙草ネタが合いそうなキャラは香里でした。