今、あたしはちらちらと花が散っている木の下で花見を行っている。
と言っても女だけの花見なので、遠慮無しに花より団子状態である。
時折、軽そうな男達がナンパしてくるが丁寧にお断わりっ。
残念ながらあたしにはキチンと彼氏がいるので。
……年下だけどね。
けれど、この事は友人には不評なのがちょっとカチンと来てしまう。
「年下だと、話とかが合わなくない?」
今時珍しく黒髪のロングヘアの友人がそう言って切り出してくる。
貴方と彼はあたしを介して何度も会っているのに、そう見えるかな?
因みにあたしと彼の間には、そんな事は関係無いわよ。
あたしは新しくビールの缶に手を伸ばして、これで4本目と数える。
……さすがにちょっと飲みすぎた。
あたしもお母さんに似て、あまり飲めないのかな?
んー? なんか視線がぐるぐるする。
「ちょっと、大丈夫?」
「えへへ、大丈夫だよー」
友人は何故か、頭が痛そうに眉間に手を置いて溜息を吐いているし。
まだまだ、飲めるからねっ。
あたしは4本目のビールを一気に流し込む。
友人はあっ、と言うだけで止めようとしなかったので飲みっぷりに関心しているのだろうな。
うーん、お酒はやっぱり美味しいね。
「ここまで弱かったとは思わなかったよ。それにしても性格変わり過ぎだよ」
失礼な、あたしはそこまで弱くないよ?
それに性格はいつも通りだけどなあ。
ふぁー、……眠くなってきたのでお休みなさい。
そう言えば、友人が何か言って居るようだけど殆ど聞き取れなかったなぁ。
ちょっと頭が痛いけど、何でかしら?
あたしはここが何処なのか、身を起こして周辺を眺めようとするがガツンと何かに頭をぶつけてしまう。
「姉さん、急に起きないでくれ」
……どうやら、あたしの頭が彼の顎を当ててしまった様だ。
回りでは友人が苦しそうに笑いを堪えているのが窺える。
彼は赤くなった顎を擦りながら、半目であたしを睨んでいるがあまり気にしていない目なのは分かる。
ん? 顎にぶつかると言う事は……膝枕してもらっていたんだ。
なら、もっと眠っていても良かったかも。
「わたしが呼んだんだから感謝してね」
「うん、ありがと」
このままもう一度、彼の膝枕を堪能しようかなと考えて、身を傾ける。
そう思っていたら、友人に叩かれた。
あたしがもう一度、膝枕をしてもらおうって事が分かっていたようだ。
むぅ……そう言えば、彼氏がまだ居なかったのかしら?
「貴方はまだ、彼氏はいなかったかしら?」
「……余計なお世話だよ」
それじゃあ、あたし達を見ていれば妬けてくるでしょうね。
あたしは彼の腕を組んで、そして胸に押しつける。
すると彼は頬を赤く染めるが、友人は頬を膨らませてあたしを睨んでくる。
あまり、怖くないけど。
「所で今、何時?」
「18時過ぎた所だ」
えっと、最後にビールを飲んだ時間は……16時ごろだったかな?
はぁ、少し控える様にしないと駄目か。
あたしは眠っている間に少し捲れたミニスカートの裾をこっそりと直しておく。
下着は彼以外には見せる気無いので、見られていない事を祈っておこう。
「そろそろ、お開きにしよっか」
「そうだね……もうお終いで良いかな?」
じゃあ、ぱっぱと片付けますか。
ゴミはキチンと持ち帰って、とこれで良いかな?
と、言ってもバスケットに少しだけゴミを入れるだけで済む量だけどね。
あたし達が利用していた場所は綺麗になったが、既に次の花見客が場所を取ってシートを敷いている。
「じゃあ、明日の講義でね。君も頑張りなさいよ」
友人はひらひらと手を振って、人込みの中に掻き消えていった。
最後の一言がちょっとあたしの頬を赤くさせた。
「これからどうする?」
「んー、あたしと夜桜見ようか」
あたしの目的があるから誘った訳だし、じゃないと彼がここにいる意味が無くなってしまう。
「……姉さんの目的は分かったよ。夜桜の下でキスだろ?」
分かっていたけど以心伝心が素晴らしいな、あたしと彼は。
多分、外でキスするのは久しぶりな気がする。
今までは家の中が多かったし、外でするのはクリスマス以来かも。
そんな事を考えている内に空は薄っすらと暗くなっており、ライトアップされた桜が輝いていた。
あたしは、彼の首に抱き付いてスッと唇を合わせる。
このキスは、いつものキスより甘かった。
酔っ払いおねーさんと友人。